需要に合わせたイチゴづくりと防除の徹底を

 


 イチゴの国内消費額や輸出額はここ数年増え続けている。イチゴは生食から加工、スイーツまでさまざまな用途で使われている。その需要に合わせたイチゴづくりがポイントになる。一方、栽培期間の長いイチゴは病害虫防除が欠かせない。本特集では、イチゴの消費者の動向を統計データと実需者の現場視点から紹介。さらに、WEB特集限定でイチゴ農家におすすめの資材をピックアップし、育苗期の病害虫防除について識者に解説してもらった。



コロナ追い風に国内外で人気


 総務省の家計調査によると、世帯あたりのイチゴの消費金額は、2016年の3215円から20年には3478円と着実に増え続けている。20年度は、巣ごもり需要や加工品のニーズの高まりなどで価格を維持し、むしろ不足がちな時期もあった。そのため、21年度は、ブランド化や産地化に力を入れる事例が増えている。

 さらに海外でも日本産イチゴの需要が伸びている。財務省貿易統計によると21年は5月の時点で輸出額29億円、輸出量は1392㌧に上る。過去最高の輸出額と輸出量だった18年(1237㌧)をわずか5カ月で追い越した。こちらも世界的な新型コロナウイルス禍での巣ごもり需要が追い風となった。日本産のイチゴは食味の良さからアジア圏を中心に人気が高い。


(左)イチゴの根強い人気を実感していると話す高森氏(右)北海道産「すずあかね」を使用したストロベリーパフェ(下)開放的な雰囲気のカフェで素材にこだわったスイーツを楽しめる
(左)イチゴの根強い人気を実感していると話す高森氏(右)北海道産「すずあかね」を使用したストロベリーパフェ(下)開放的な雰囲気のカフェで素材にこだわったスイーツを楽しめる

〝果物の王〟新メニューに意欲 資生堂パーラー


 世界中の食卓で親しまれる一方、菓子の材料として使われたり、ジャムやジュースなどに加工されたりもするイチゴを、実需者はどのように捉えているのだろうか。
 1902(明治35)年創業の資生堂パーラーは、定番のストロベリーパフェをはじめ、ケーキやフルーツサンドイッチといったメニューに新鮮な国産イチゴを使用する。同社サロン・ド・カフェ ラゾーナ川崎店(神奈川県川崎市)飲料長の高森崇氏は、イチゴは旬の時期に限らず常に人気があり、「果物の王。スイーツにも活用できるオールマイティーな存在」だと指摘する。昔に比べて夏秋イチゴの見た目や味が向上し、冬取りのものに引けを取らないほどになったため、年間を通じておいしいイチゴを提供できているという。今後はさらに甘みの強い夏秋イチゴの生産に期待する。

 同店は、「あまおう」や「とちおとめ」、「紅ほっぺ」、「すずあかね」といった品種を全国の産地から仕入れる。材料として採用するにあたり、甘みに加えて程よい酸味があること、肉質がしっかりしていて崩れにくいことにこだわる。同社の代表的なスイーツであるパフェのアイスクリームとマッチさせるためだ。厳選した果実をふんだんに使用したパフェは、イチゴの品種によって3000円以上の高価格で提供されることもある。

 「まだ食べたことのない品種もたくさんあり、今後機会があれば直接産地を訪れるなどしてそれぞれの味わいを生かしたメニューを作っていきたい」と高森氏。全国のイチゴ生産者に、「コロナ禍で大変な状況下だが、妥協せずに生産を続けていただいている。苦境に負けずに、これからも一緒に頑張っていきたい」とエールを送る。

 資生堂パーラー サロン・ド・カフェ ラゾーナ川崎店は2018年5月、資生堂パーラーのカフェ業態の店舗としてJR川崎駅に隣接する複合商業施設「ラゾーナ川崎」内にオープン。白を基調とした店内は、高校生からファミリー層、中高年まで、幅広い年代の客でにぎわう。

  8月1日(日)~31日(火)に開催予定の「2021真夏のパフェフェア第2弾」では、徳島県産の夏秋イチゴ「サマーアミーゴ」を使ったパフェも登場する。



【日本農業新聞 おすすめ資材一覧!!】


 記事の途中ですが、イチゴのおすすめ資材をピックアップしました。農薬からアシストスーツまでさまざまな資材を取りそろえています。興味のある人は、商品名をクリックして各社の商品ページをご覧ください。


商品名:天敵殺虫剤セット商品 スパスパトリオ、ナチュポール・ブラック、トリコデソイル
会社名:アリスタ ライフサイエンス
 天敵によるハダニ防除、マルハナバチで受粉省力化、微生物による根張り改善。高品質のイチゴに総合的作物管理体系(ICM)資材を提供します。

商品名:マッスルスーツ Every(エブリィ)
会社名:イノフィス
 マッスルスーツ Everyは収穫・運搬など腰がつらい作業時の負担を軽減します。電力不要・防水防じん仕様で幅広い現場に活用できます。

商品名:アグリmoぐっぴー
会社名:イーズ
 農業用ヒートポンプ導入実績NO.1!※(株)冨士経済調べ。 品質向上、病害抑制。ハウス内の空調管理により、快適で儲かる農業を応援します!

商品名:野菜かん注用殺虫剤 ベリマークSC
会社名:エフエムシー・ケミカルズ
 ベリマークSCは、定植前のイチゴ苗に処理することで約3~4週間にわたり、ハスモンヨトウやアブラムシ類の加害を防ぎます。

商品名:真呼吸
会社名:誠和。
 収量向上に有効な二酸化炭素(CO2)。群落が小さいイチゴに、局所施用+選べる制御で低温のCO2を効率良く施用できるCO2発生機です。

商品名:防虫サンサンネット、遮熱ネットスーパーホワイト、高反射防草アグリシート
会社名:日本ワイドクロス
 「すこやかな農業を念じて」を企業理念とし、農林水産大臣賞を受賞した開発製品で、人と作物に優しい栽培環境を実現しませんか。

商品名:ムシラップ
会社名:丸和バイオケミカル   
 イチゴ栽培におけるハダニ類、コナジラミ類、うどんこ病防除に高い効果を示す気門封鎖剤「ムシラップ」をぜひお試しください。

商品名:らくらく散水くん(モノレール式全自動散水装置)、らくらく見守るくん(監視システム)
会社名:三和サービス
 散水くんは生長に合わせて全自動で葉面散布。作業を省力化できます。見守るくんは全国対応で作物の盗難対策に効果的。見積もり無料です。 

商品名:モスバリアジュニアⅡレッド
会社名:ユニコ ゼロビーム事業部
 赤色光照射がアザミウマなどの緑色(植物)の識別能力を低下させます。結果、定着が妨げられ次世代幼虫数が減少します。

 引き続き、イチゴ特集をお楽しみください。



育苗期の防除がポイント~病害虫を持ち込まない~

栃木県農業試験場 研究開発部 病理昆虫研究室 室長 野沢英之


 イチゴ栽培での病害虫の発生は、気象条件、栽培法や品種によって大きく変わる。さらにイチゴ栽培では、親株期、育苗期を経て本圃(ほんぽ)での栽培、と期間が長いため、長期にわたって病害虫の発生に注意する必要がある。

 特に育苗期の病害虫防除は本圃に病害虫を持ち込まないという観点から重要なポイントである。以下に、育苗期に注意が必要な病害虫防除のポイントを述べる。


イチゴ炭疽病にかかった株元
イチゴ炭疽病にかかった株元

雨よけ・水はね防止を徹底 炭疽病(たんそびょう)


 同病は、主に萎凋(いちょう)枯死症状を引き起こすものと、葉枯れ症状を引き起こすものの2種類に分けられる。

  特に問題となるのは、萎凋枯死症状を示すもので、夏季の多雨、高温によって多く発生し、夏季の最も問題となる病害の一つだ。多雨、高温となる夏季の気象によって多く発生し、苗不足を引き起こすなど、イチゴの安定生産の大きな阻害要因の一つとなっている。

  発病した株の周辺の見かけ上健全な株にも感染していることが多い(潜在感染)。潜在感染株は、本圃に定植した後、保温を開始する頃から発病するので防除が困難であり、欠株を生じる。そのため、育苗期に防除を徹底し、潜在感染株を本圃に持ち込まないことが重要だ。  降雨は病菌の感染を助長することから、親株期・育苗期は雨よけ栽培を基本とし、チューブかん水などにより水はねしない管理を徹底する。  同病の発生が見られた場合は、発病株から周辺の株に感染が拡大している恐れ(潜在感染)があることから、発病株だけでなくその周辺の株を直ちに除去し、圃場(ほじょう)外で適切に処分する。 

 発病してからの防除は困難なので、発生前からの定期的な予防散布を基本とする。なお、Qol剤などの一部の薬剤では感受性の低下が確認されており、薬剤の選定に当たっては同一系統の薬剤の連用は避けるなどの注意が必要である。



土壌消毒は畝上げ後に 萎黄病 


 同病の主な症状は新葉の奇形(一部の小葉が小さくなる、船形に巻く)や黄化である。 

 伝染経路は、苗伝染と土壌伝染の両方で、特に親株で発生した場合、ランナーを通じて小苗が感染する。そのため、親株での発病に注意するとともに、健全な苗を選び、発病株は早期に除去し、発病した親株のランナー苗は用いない。

  また、土壌伝染することから、特に前年発生が見られた圃場では、土壌消毒剤を用いて圃場の消毒を行う。なお、ハウスサイドなどの未消毒部分の土壌混入による圃場の再汚染を防ぐため、畝上げ後の土壌消毒が望ましい。根傷みも発生を助長するので、適正な肥培管理・水管理に努めることも重要である。


育苗期の予防散布が要 うどんこ病 


 糸状菌(カビ)の一種で、発病すると葉や果実が白色のカビで覆われるのが特徴である。葉や果実が「うどん粉」を振りかけたように白色のカビで覆われる。同病菌は、イチゴの植物体上で生活を繰り返し、気温20度前後で活動が活発となり、圃場内にまん延する。乾燥、多湿のいずれの条件でも発生するが、特に多肥などにより軟弱徒長した場合に発生が多くなる。

  夏季には活動が抑制され、発生が一時停滞するが、菌糸で越夏し、秋季以降に本圃で活動を再開し、分生子で圃場内にまん延する。本病は、多発してからでは十分な防除効果が得られない。これらのことから、育苗期の防除が重要であり、予防散布に重点を置いた防除を行う必要がある。


イチゴうどんこ病
イチゴうどんこ病

薬剤のローテーション散布や併用を ハダニ類 


 イチゴで発生するハダニ類は、ナミハダニとカンザワハダニであり、特にナミハダニの発生が問題となりやすい。本害虫は、発生初期には主に葉裏に寄生・吸汁し、かすり状の白い斑点を生じる。密度が高くなると、葉縁が本害虫の吐糸(とし)で覆われ、クモの巣状となることがある。体長は0・5㍉程度と微少で、増殖力が高いため、発生初期の確認が難しく、防除適期を逃しやすい。本害虫の本圃での発生源は、苗からの持ち込みが主な要因である。作期を通して本害虫の発生を抑制するには、親株期から育苗期にしっかり防除を行うことが重要である。一般的に、発生初期は部分的に発生することが多いので、圃場をよく観察し発生状況を把握した上で防除を行う。苗から本圃へ本害虫を持ち込まないため、高濃度の農薬炭酸ガス処理によるくん蒸法や、定植前の有効な薬剤のかん注処理も有効である。

  近年、薬剤に対する感受性の低下が問題となっている。そのため、同一系統の薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけるとともに、薬剤抵抗性リスクのない気門封鎖系薬剤や天敵であるカブリダニ類を併用するとよい。


葉裏に発生しているハダニ
葉裏に発生しているハダニ

分散前の捕殺か薬剤防除を ハスモンヨトウ


 本害虫の発生は、年次、地域による変動が大きい。圃場周辺の大豆やサトイモなどで発生が多い場合は、特に注意が必要である。

 卵塊から孵化(ふか)した幼虫は、集団で産卵場所やその周辺にとどまり、葉の表皮を残して葉肉部を食害するため、防除は、幼虫の分散前が効果的だ。比較的見つけやすい幼虫の分散前に捕殺するか薬剤を散布する。分散後の幼虫は葉裏や株元に生息することが多いため、薬剤がかかりにくく、防除が困難となるため、早期発見、早期防除を心がける。





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