持続可能な社会へ「総合バイオマス企業」が拓(ひら)く未来(日本製紙株式会社)

 

 持続可能な社会を実現するため、世界的に脱炭素などの環境への取り組みが加速し、大きな変革期を迎えている。日本製紙グループでは経営理念に「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」を掲げ、同社の祖業である洋紙偏重から、生活関連事業など成長分野への事業構造転換を加速している。本年5月には「2030 ビジョン・中期経営計画 2025」を策定した。新たに育成していく事業の成長を加速するための中核組織として、本年6月に「バイオマスマテリアル事業推進本部」を新設した。グループの総力を挙げて、変革を加速している。最先端バイオマス素材の中には、農畜産分野と親和性があるものも多く、様々な用途での活用が期待されている。キーマンとなるバイオマスマテリアル事業推進本部の杉野本部長のインタビューを交えて紹介する。

日本製紙株式会社 執行役員 杉野光広(バイオマスマテリアル事業推進本部長)
<プロフィール>1988年入社。2014年企画本部経営企画部長、2015年企画本部長代理兼経営企画部長兼研究開発本部CNF事業推進室主席調査役、2018年執行役員技術本部長代理兼生產部長、2019年執行役員技術本部長兼エネルギー事業本部長を経て本年6月より現職。

総合バイオマス事業へ事業構造を転換

 創業以来、日本の紙の歴史とともに歩み続ける日本製紙グループはその社名の通り、印刷用紙や紙パック、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの生活紙、牛乳などの飲料用の紙パックだけでなく、農産物梱包用段ボール原紙などを製造し、私たちの暮らしや農業を支えてきた。主力となる「紙事業」や「生活紙」、「紙パック事業」の他、「エネルギー」や「ケミカル」などの分野にも、事業領域を拡げている。
 これまで「木質資源を余すところなく使い切る」を事業領域の根幹とする日本製紙は、「総合バイオマス企業」として、2030年に向けて循環型社会への寄与と事業成長を両立させることを目指している。
 杉野本部長は「当社が目指す『総合バイオマス企業』とは、社会に貢献する複数の事業で構成されます。再生可能な木質資源を多様な技術・ノウハウを最大活用し、循環型社会の形成に貢献する製品を幅広く提供することで、豊かな暮らしと文化の発展を実現するものです。中核組織であるBM事業推進本部を新設し、少子高齢化、IT化などによるグラフィック用紙の需要減少などに適切に対応しながら、持続可能な社会構築や温室効果ガス(GHG)排出量削減といった社会課題に対し、しっかりと貢献する会社に変革していきます」と語る。


多様な技術で農畜産業に貢献

 バイオマス素材「セルロースナノファイバー」(CNF)は木質繊維を最先端技術によって、ナノレベルまでときほぐしたものでアラミド繊維並みの高い弾性率と、温度変化に伴う寸法変化がガラス繊維並みに小さい。
 日本製紙のCNFが「セレンピアⓇ」だ。多種多様な機能(強度向上、増粘性、保湿性、乳化安定性、酸素バリア性)があることから、食品から工業用途まで幅広い分野でその性能を活かすことが期待されている。特に農業分野では、米粉利用の拡大や食品ロス削減が期待できる。
 例えば、従来の米粉パンに添加することで、しっとり感が維持される。また、賞味期限を延ばす効果もある。国の「みどりの食料システム戦略」にも通じる取り組みだ。
 畜産分野では、木材から純度の高いセルロースを抽出した次世代養牛用飼料「元気森森Ⓡ」「にんじん森森Ⓡ」の給与試験を行っている。牛の健康維持、乳量増加、繁殖成績向上など、有用な効果が発現している。家畜、魚用飼料には「トルラプラスⓇ」もあり、市場への投入を進めている。
 農畜産物の包装材における脱プラスチック化には、リサイクル可能な多機能段ボール原紙「防水ライナ」がある。ユーザーニーズから発砲スチロールの代替品として開発した。高い防水性で、氷や鮮魚なども直接入れて輸送が可能だ。石油由来原料、発泡スチロールと比較しても保管スペースの削減ができ、輸送効率の向上につながる。

日本製紙×農業=SDGs

 JAグループは、第29回JA全国大会で「持続可能な農業の実現」を掲げ、SDGsの取り組みを進めていく。
 杉野本部長は「現在、紙製の『マルチシート』を研究しています。生分解性があり、実用化できれば、ビニールやプラスチック製品から切り替わりが進み、海洋汚染や産業廃棄物などの問題解決にもつながります。日本製紙の製品開発はJAグループが目指すSDGsの取り組みと連携できる部分が多くある。持続可能な農業に貢献していきたいと考えています」と、決意を語った。

持続可能性につながる日本製紙グループの技術・製品

木質資源を最大限に有効活用することで
農業に貢献する製品

①米粉利用の拡大 食品ロス削減 ②畜産分野の発展
セレンピア 元気森森®
にんじん森森®
CNFは木材繊維をナノレベルまで細かくときほぐした最先端バイオマス素材。多種多様な機能(強度向上、増粘性、保湿性、乳化安定性、酸素バリア性)があることから、食品から工業用途まで幅広い分野でその性能を活かすことが期待されています。 「元気森森®」は木材から純度の高いセルロースを抽出した次世代養牛用飼料です。牛の健康維持、乳量増加、繁殖成績向上など有用な効果を発現します。その「元気森森®」に発酵人参ジュースを混合し、β-カロテンを併せ持った、嗜好性の高い飼料「にんじん森森®」を開発しました。
バイオマスマテリアル事業推進本部
Tel.03-6665-1020
②畜産分野の発展  
トルラプラス®  

 
健康食品等の原料としても広く知られる核酸(RNA)を多く含む酵母由来の新しい飼料。家畜、魚に給与することで体重維持、育成安定化、生体に悪影響のあるカビ毒の吸着などが期待出来ます。  
ケミカル営業本部
Tel.03-6665-5920
 

減プラにより農業に貢献する製品
③減プラ可能な包装材
防水ライナ 軟包装向け資材
「シールドプラス®
「ラミナ®
水産会社からの脱プラの要望を受け発泡スチロール代替として開発。高い防水性を有しており、保管スペースの削減や、輸送効率の向上、石油由来原料の削減による環境への貢献が期待されています。使用後は古紙としてのリサイクルも可能です。 内容物の品質を守り、においバリアができる紙製バリア素材「シールドプラス®」と“紙だけでパッケージができる”ヒートシール紙「ラミナ®」という機能の異なる2つの素材をご用意しています。軟包装用途で紙化による減プラにご興味がありましたらぜひご相談ください。
日本東海インダストリアルペーパーサプライ㈱
Tel.03-6665-5016
白板・包装用紙営業本部
Tel.03-6665-5175
④減プラ可能な農業資材 ⑤減プラ可能な飲料紙容器
マルチシート 学校給食用紙パック
「School PoP®」 
   
生分解性を持ち、黒色の耐水性紙製マルチシート(パルプ51%以上)を開発中。プランターでの防草性や土中崩壊性を確認しており、今後実機試作品の農地での作業性などの評価を実施、製品として完成させる予定です。 児童・生徒は紙パックを簡単に開封でき、ストローを使用することなく容易に飲用することができます。プラゴミ減量化につながり、SDGs教育の材料として身近なところから環境意識を高めます。
日本製紙パピリア㈱
Tel.03-6665-5833
紙パック営業本部
Tel.03-6665-5565

農業生産に貢献する製品
⑥農業分野の価値向上
みみずふん土由来の
有機特殊肥料
「みみず太郎100」
茶セル苗
「ネプラス®」
椎茸の菌床、牛ふんを1年間発酵させた餌をミミズに与え、ミミズから代謝される粘液が土壌に結合する事で空隙のある、ふわふわした土壌に改良ができます。また「みみず太郎100」は植物病原菌の増殖を抑制する効果があり、有機農業に最適な商品といえます。 美味しいお茶は良い茶園から。日本紙通商の茶セル苗は品質に自信があります。初期成育が早いので早期茶園整備が実現可能です。また、機械による自動植栽ができるため手植栽の重労働から解放してくれます。
㈱豊徳
Tel.0885-37-2222
日本紙通商㈱
Tel.03-6665-7444



理念   日本製紙グループは世界の人々の豊かな暮らしと文化の発展に貢献します 

スローガン   木とともに未来を拓く 〜日本製紙グループ〜 
木とともに未来を拓く総合バイオマス企業として、これまでにない新たな価値を創造し続け、真に豊かな暮らしと文化の発展に貢献します。

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<企画・制作>日本農業新聞 広報局