[おまかせ菜園フクダ流]ハエでイチゴ授粉 活動する気温幅広く
ビーフライはヒロズキンバエというハエをさなぎの状態で(1パック1000個単位)製品として発送し、それを羽化させて授粉に使うというものでした。届いたのはクール便に入ったビーフライ3パックと加温ヒーター付きの羽化箱でした。羽化には2、3日かかるということだったので、農大出勤日の2日前に届けてもらいました。
届いてすぐにヒーターをつないで加温を始めました。翌日の昼、羽化箱に差し込んだ温度計は28度になっていました。開けてみるとさなぎは褐色からやや黒っぽいものもありましたが、特に羽化している様子はありませんでした。
翌日、農大に行く日の朝、箱を開けると、すでにパックの中は黒々と羽化したビーフライがいっぱいうごめいていました。タイミングはバッチリでした。
農大に持って行き温室のイチゴの前でパックを開けると、生まれたばかりのためか、すぐに飛び散らず、しばらくトロトロしていましたが、やがてイチゴの花へと行き、蜜を吸い始めました。受講生の皆さんも興味津々でした。寿命は2週間とのことで、年内の授粉はお任せしました。
ミツバチが気温18度から25度の紫外線下で活動するのに対し、ビーフライの活動は気温が10度から35度までと気温の幅が広く、紫外線がなくても活動することが大きな特徴です。ハエなのでミツバチのように刺すこともありません。
同じ週の土曜日には羽化したもう1パックをセイコー農園にも持って行きました。育苗ハウスの加温室の棚で、イチゴのプランター促成栽培をしています。農大のパックより1日遅らせて加温していたものを、空いたDVDケースの中に入れて育苗床で羽化させるようにしました。当日の朝にはいっぱい羽化していたのでケースごと持って行きました。育苗室内に放すとビーフライはすぐにイチゴの花に行きました。パックの中にはまだ羽化していないものもいたので、パックを自動かん水の当たらない高い位置に置きました。ハエといえばハエたたきでたたいてしまううるさい対象でしたが、イチゴの授粉をするビーフライを見ていると、何かいとおしく感じるようになりました。(東京農業大学アカデミー講師・福田俊)
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