施設園芸 ロボットと二人三脚    

ロボットハンドなら人でも難しい豆腐だって持てる

トマトを1個だけを包んでもぎ取ってくれる

 ロボットが腕を伸ばしてトマトを収穫、いらない葉も取り除く――。未来と思っていた話が現実になった。ロボット化がどんどん進む施設園芸では、新たな担い手として活躍する日も夢じゃない。「ロボットが活躍するほど人はいらなくなるの?」なんて声もあるけれど、ロボットだけじゃ何もできない。農業がもっと楽に、もっと簡単になるには、人とロボットの協力が必要だ。
 

(1)接ぎ木ロボット


 穂木と台木をつないでクリップで留める細かい作業が求められる接ぎ木。台木をトレーにセットすれば、ロボットが穂木の苗を受け取り、根を切って、台木に留めるよ。

 ベテラン作業員なら1時間100本の苗を接ぐ。ロボットなら穂木用苗を供給してもらえれば、1時間で約1000本できる。細かい作業は、肩が凝り、目も疲れるけど、ロボットなら疲れ知らず。ナスの接ぎ木だってできるよ。
 

(3)収穫ロボット


 パナソニックが開発しているロボットは、1時間に360果のミニトマトを収穫するよ。2019年度の発売までに、人と同じ6秒に1果、1時間で600果を収穫できるようにするよ。

 カメラで果実を見分けて、収穫適期の果実だけをもぎ取るんだ。収穫したらコンテナに入れて、運搬ロボットにバトンタッチ。デビューの頃には、大玉トマトも収穫できるように能力アップするんだ。
 

(5)選別ロボット


 収穫後に、腐った果実を取り除く選別作業は、ロボットハンドにおまかせ。腐って軟らかくなったものでもセンサーで検知して、適切な力加減でつぶさずに持ち上げる。豆腐だって持てる。

 見た目では分からない腐敗も、透視して見逃さない。ミカン用に作られたけど、イチゴ、桃などいろんな果実で使えるよ。
 

(2)葉かき・芽かきロボット


 半年以上も収穫が続く、長期多段取り作型は、収穫が終わった段から下葉を取り除く作業が大変だ。オランダのPriva(プリバ)社が開発したロボットは、通路を走り回り、下葉を見つけては、腕を伸ばしてはさみで切り落とす。

 腕の先端に付いたカメラで、果実が付いている葉柄は切らないようにしてるよ。ふるさとのオランダじゃ、試験販売もしてるんだ。
 

(4)運搬ロボット


 果実がたくさん入った箱は重い(当たり前だけど……)。15年にDoog(ドーグ)が発売した「サウザー」は、最大100キロ積んで、人の後ろを付いてきてくれて便利。障害物があっても避けるよ。

 運搬ロボットとペアで、ロボットスーツを装着すれば、箱の揚げ降ろし作業だってへっちゃら。重さ20キロの箱が、半分の力で持てちゃう。

 トマト1作の作業のうち、ロボット化が進んでいる作業は①接ぎ木②葉かき③収穫④運搬⑤選別――の五つ。その他の播種(はしゅ)や育苗、定植、誘引などは、人の手がないとできない。

 園芸先進国のオランダの養液栽培ハウスは、地面が舗装されてロボットが働く環境が整うが、土にこだわる土耕栽培はロボット化が難しい。葉かきや収穫するロボットは、通路に敷いたレールの上を動くからだ。
 

人が頼り


 ロボットを使うのは人。接ぎ木ロボットを使い、トマトやナスなど年間4000万本の苗を生産・販売する農業生産法人ハルディン商品企画部の樋口幸彦部長は「機械に合わせた生産が必要」と言う。ベテランの接ぎ手さんなら、軟弱な苗でもうまく接ぐ。しかし、ロボットは、苗の状態に合わせてきめ細かい調節ができない。

 だから苗は、生育をそろえたり、適した穂木・台木品種を探したりしている。一定の品質で大量にそろえるためには、育苗担当者の熟練技術も頼りになる。葉かきロボットが切り落とした葉を掃除したり、収穫ロボットが取りやすいように房を通路側にうまく並べたりするのも人。収穫ロボットから運搬ロボット、選果機に流す作業も人の手が必要だ。
 

メリット


 ロボットの強みは、高温多湿な条件が多いハウス内でも、疲れ知らずで動くところ。収穫ロボットは、夜間も働く。時間がたっても作業効率が落ちる心配もない。

 人工知能(AI)で、ハウス内を監視し、病気の発生を予測したり、かん水量を自動調節して高糖度トマトを作る技術もある。科学はどんどん身近になって、ロボットも進歩している。

 便利になるけど、おいしいものを消費者に届けたいという農家の気持ちは変わらない。

 高齢化や人手不足などで、農業を続ける環境は厳しくなっている。ロボットは気難しく、扱うにはハードルが高そうだが、ハルディンの樋口部長は「戸惑いもあったが、すぐに便利だと分かった。うまく付き合えば、数も品質も安定する。人手不足でもロボットがいれば生産を維持できる」と話す。

 人もロボットも協力することができれば、もっと農業が楽になるかもしれない。 
 

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