原料ブドウ栽培、醸造法実証・・・日本ワイン質向上へ 研究機関、企業が一丸

 高品質で世界と競争できる日本ワインにするため、国内の研究機関と企業など20機関が一丸となり、醸造用ブドウの栽培・醸造の実証研究を進めている。気象・情報通信技術(ICT)を活用した栽培支援情報システムの開発や優良系統の選抜、ワイン品質を高める栽培技術、日本産に適した醸造技術などの試験を北海道、山梨県、長野県、広島県にある31圃場(ほじょう)でしている。その結果、一部で成果が出始めている。

 日本ワインは現在、コストや品質で多くの課題を抱えている。米国抜きの環太平洋連携協定(TPP11)や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)で、競争力強化の必要性が高まってきた。

 実証研究は、酒類総合研究所が代表機関となり、山梨県果樹試験場など10の共同研究機関と、道産ワイン懇談会など10の研究協力機関が「日本ワインの競争力強化コンソーシアム」を組織。農水省の革新的技術開発・緊急展開事業を利用し、2016年度から取り組む。

 高齢化でブドウ栽培面積が減少し、面積拡大が必要になっている。珪藻(けいそう)土による土壌改良、挿し木苗の密植などで糖度の高い果実を早期に収穫する成園化技術と防除を省力化する簡易ハウスを開発。定植4年目で黒字化し、法人の参入促進につながる収益モデルを実証する。

 優良系統では、山梨県の「甲州」7系統と海外導入5品種・12系統の特性を調査、地域に適した優良系統を選抜し苗木を供給する。「甲州」は候補を絞り込んだ。

 多雨の日本で高品質ブドウを栽培するために、栽培支援情報システムや日本向きの技術を開発する。栽培支援情報システムは、農研機構・北海道農業研究センターが担当、北海道から広島まで34地点の気象を観測、発育ステージを予測し配信する。品質に影響を与える防除と適期収穫に役立てる。これまでに開花期の予測式を作成した。

 醸造技術では、品質向上のため捨てていた早期収穫果を活用しスパークリングワインを試作。摘房のタイミングを明らかにし、30%の増収量を目指す。日本の赤ワインは、色が薄い課題があり、初期低温仕込みという醸造法で濃くなることを確かめた。

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