[達人列伝 41] 春レタス 北海道むかわ町・馬場信悦さん 産地化の立て役者 技術も販路も30年間けん引

春レタスの生育を確認する馬場さん(北海道むかわ町で)

 北海道むかわ町で越冬させて春に収穫する「春レタス」。春先の貴重な道産野菜として、市場の評価も高い。先駆者として産地をリードするのが馬場信悦さん(67)。先進地での学びや仲間の協力で、約30年で同町を道内一の春レタス産地に育てた。

 同町の春レタスは、葉は厚いが柔らかく、寒い中で育てるため甘味も強い。11月末~2月末に種をまき、1カ月、JAむかわの施設で育苗。ビニールハウスに苗を植えて、4、5月に出荷。厳しい自然条件での栽培は、馬場さんが培ったノウハウが随所に生きる。

 育苗温度は18~20度。水は多過ぎると病害虫が発生しやすいため与え過ぎない。苗をハウスに植えた後は暖房ではなく、ビニールの被覆や開閉などで小まめに温度調整する。換気も十分に行う。研究を重ねる中で、最適な苗の植え付け間隔をつかみ、メーカーと産地独自のマルチを開発した。

 馬場さんが30代のころ、産地は米からの転作を余儀なくされ、施設野菜の栽培を始めた。年間を通じてハウスを活用したいと、冬に栽培できる品目を模索した。JA企画の視察に参加し、春レタスに着目。約5年、産地に通い栽培技術を学んだ。

 仲間と春レタスの栽培を始め、少しでも所得を得るため、自ら育苗も手掛けた。露地栽培や他産地で学んだ技術を生かし、品質の良い苗作りを追求し続けた。「冬は寒さが厳しい。温度管理などが難しく、試行錯誤の連続」と振り返る。技術は惜しみなく伝え、産地づくりに賛同する30~50代の約20人と、JAの育苗施設を使って、生産者やJAが協力して育苗する体制をつくり上げた。

 販路拡大にも力を入れた。産地化に取り組む時期が、レタスの需要拡大と重なり、「市場関係者から運が良いと言われた」という。野菜産地としての知名度がなかった同町産を自ら、苫小牧市の卸売市場に売り込んだ。札幌市や釧路市などにも販路を広げ、産地としての基盤を固めた。

 JAは「栽培技術確立への努力が、大産地にすることに貢献した」と評価する。同町の春レタスは現在、JA蔬菜(そさい)園芸振興会レタス部会で、生産者約90人が30ヘクタール栽培する。

 10年ほど前から、小カブの栽培にも乗り出した。次のブランド化に向け、再び試行錯誤を続ける日々だ。(望月悠希)
 

経営メモ


 経営主である息子と妻と大豆などの輪作で5ヘクタール、トマトやレタスなどの施設野菜を2ヘクタール栽培する。
 

私のこだわり


 「病害虫を防ぐため、土壌と水の管理を重視する。栽培技術は惜しみなく地域の仲間に教え、生産者、栽培面積ともに拡大させる」

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