未来への「布石」が大事である

 未来への「布石」が大事である▼戊辰戦争に敗れ、三度のかゆをすすることすらできない士族が出るほど窮乏を極めた越後長岡藩。見かねた支藩の三根山藩が米百俵を贈るが、大参事小林虎三郎は「国漢学校」の新校舎資金に充てる。この人づくり優先の精神が長岡教育の礎となり、山本五十六元帥ら逸材の糧となる。きょうは1870年の開校日に当たる▼山本有三の戯曲『米百俵』(新潮文庫)に、米を配るよう詰め寄る藩士を虎三郎が諭す名場面がある。「今でこそただの百俵だが、後年には一万俵になるか、百万俵になるか、はかり知れないものがある」。底流にある、人を大切にする考えが嫌われたか、戦時中「反戦」を理由に絶版になった。教えの深さが心を打つ。近頃「忖度」で官邸に取り入ろうとする官僚ばかり見ているからか、留飲が下がる▼国家の“台所”が危ういのに、自民党は「GDP比2%」へ防衛費の増額を提言した。現在の倍である。教育や年金と入り用が増えるのに。“金庫番”の財務省が公文書改ざんとセクハラ疑惑で骨抜きにされ、歯止め役も期待できない。軍事費を聖域として、戦争に突入した過去が頭をかすめる▼アベノミクスで影が薄くなった財政再建の精神。キリギリスのような国の将来に不安がよぎる。

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