[達人列伝 64] キュウリ 新潟市・錦沢政伸さん(50) 節間長さ適正見極め 勘とデータ駆使 食味追求

土耕にこだわりキュウリ本来の味を追求する錦沢さん(新潟市で)

 乾燥したハウスに足を踏み入れると、湿度計を見るまでもなく頬が「ぴりり」と反応する。「かん水は今だ」。新潟市白根地区で30年間、キュウリを育ててきた錦沢政伸さん(50)は、経験に裏打ちされた小まめな管理で高品質果実を生産している。収量を高めながらも「キュウリ本来の風味」を求め、昔ながらの土耕栽培にこだわる。

 同地区は県内のキュウリ生産量の6、7割を占める最大産地。しかし、他の大産地と比べ、日照時間が短く、冬場の夜温管理も簡単ではない。錦沢さんは、気候のハンディを手間暇と技術でカバーし、促成栽培で10アール当たり18トンの収量を確保する。

 作型は春と秋の2作。単価の高いキュウリを作るには、低温時「節間の長さを適正にすることがポイント」だという。節間が長いと果実は長く、反対に短ければ果実も短くなる。最も高値が付く規格で出荷するため、節間を調整する温湿度管理などには細心の注意を払う。

 錦沢さんが頼るのは長年の経験や勘だけではない。スマートフォンで、その日の天候はもちろん風向きや風速もチェックし、換気のタイミングを見極める。「感覚だけでなくデータも大切」と言い切る。

 頭を悩ませているのが、ネコブセンチュウの被害だ。薬剤で防除すると抵抗性を持つ可能性があるので多用は禁物。土壌還元消毒は効果があるものの、処理する期間が長く、年2作に間に合わない。たどり着いた答えは「線虫と上手に付き合う」ことだ。

 秋作後に、わらなどの有機質と微生物資材を施用する。また、ハウスに水を張り込むことで土壌を団粒化させ、ハウス内でも雨が降った土の状態を再現する。春作後には、石灰窒素の施用と太陽熱消毒を組み合わせる。線虫が全滅することはないものの、被害は最小限に食い止めることができたという。

 JA新潟みらいしろね野菜部会部会長を務める錦沢さん。部会の中で若手に話すことがある。「他人の畑をたくさん見る」ことだ。仲間の技術を参考にしたり、話し合ったりできる環境づくりを大切にし、産地としてのレベルアップを目指す。

 これらの実績が評価され、2018年度の新潟県施設園芸立毛品評会で日本政策金融公庫新潟支店農林水産事業統轄賞の受賞が決まった。しかし、錦沢さんは「情熱を持って普通に作っているだけ」と笑う。(雫石征太郎)
 

経営メモ


 キュウリ20アール。春作「ハイグリーン21」「ハイグリーン22」、秋作「大将」を栽培する。中玉トマトや水稲、西洋梨「ル レクチエ」も手掛ける。
 

私のこだわり


 「植物は手間をかけた分だけ応えてくれる。収量も大切だが、あくまで味で勝負していきたい」 
 

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