農地集積 話し合い支援充実を 全中が政策提案 円滑化事業は継続
2018年10月12日

政府・与党が近く議論を始める農地中間管理機構(農地集積バンク)など農地関連制度見直しに向け、JA全中は11日、理事会で政策提案を決めた。煩雑で時間がかかる機構の事務手続きの簡素化や、農地の集積・集約に向けた地域の徹底した話し合いへの支援充実などを求めるのが柱。併せて議論される可能性がある農地所有適格法人(農業生産法人)の要件は、緩和しないよう求める。
機構を通じて農地を借りるには、借り入れ時と転貸時に別の計画を作り、その周知期間もあるため、農水省によると3カ月程度かかる。また借り手は農地の利用状況の報告を毎年義務付けられ、煩雑だとして敬遠されている。政策提案では、事務手続きの抜本的な簡素化の必要性を強調。貸借期間は機構が独自に柔軟に設定できることなどを周知し、地域実態に応じた運営の徹底も求める。
地域実態を踏まえた農地の集積・集約に向け、人・農地プランや地域営農ビジョンといった地域農業の将来像の徹底した話し合いや、地域ぐるみでの担い手の確保・育成を進める地域への支援充実を訴える。農地の出し手と受け手双方に集積・集約を促す支援措置の拡充、関連予算の十分な確保なども必要だとした。
JAなどを通じて農地を転貸する農地利用集積円滑化事業の継続も求める。機構を通じた農地集積・集約に移行する傾向にあるが、2017年度の同事業による貸借面積は1・8万ヘクタール超で一定の実績があり、JAなどの円滑化団体が農地の利用調整や担い手育成に貢献していることを考慮した。
農業生産法人の要件見直しは、前回の役員・構成員要件の緩和(16年4月)や国家戦略特区(兵庫県養父市)での条件付きの一般企業の農地所有解禁(16年9月)から間もないため、十分な検証が必要だと指摘。一般企業の農地所有につながりかねない要件緩和や同特区の全国展開はしないよう要請する。
14年3月施行の同機構関連法は、施行後5年をめどに制度を見直すと定めている。また政府の規制改革推進会議は17年11月の提言で、農地所有適格法人の役員・構成員要件の見直しについても、同法の施行後5年をめどに「さらなる改革について検討を進めていく」としていた。
政府・与党は自民党の農林関係人事が決定次第、機構見直しの議論を始める見通しだ。
機構を通じて農地を借りるには、借り入れ時と転貸時に別の計画を作り、その周知期間もあるため、農水省によると3カ月程度かかる。また借り手は農地の利用状況の報告を毎年義務付けられ、煩雑だとして敬遠されている。政策提案では、事務手続きの抜本的な簡素化の必要性を強調。貸借期間は機構が独自に柔軟に設定できることなどを周知し、地域実態に応じた運営の徹底も求める。
地域実態を踏まえた農地の集積・集約に向け、人・農地プランや地域営農ビジョンといった地域農業の将来像の徹底した話し合いや、地域ぐるみでの担い手の確保・育成を進める地域への支援充実を訴える。農地の出し手と受け手双方に集積・集約を促す支援措置の拡充、関連予算の十分な確保なども必要だとした。
JAなどを通じて農地を転貸する農地利用集積円滑化事業の継続も求める。機構を通じた農地集積・集約に移行する傾向にあるが、2017年度の同事業による貸借面積は1・8万ヘクタール超で一定の実績があり、JAなどの円滑化団体が農地の利用調整や担い手育成に貢献していることを考慮した。
農業生産法人の要件見直しは、前回の役員・構成員要件の緩和(16年4月)や国家戦略特区(兵庫県養父市)での条件付きの一般企業の農地所有解禁(16年9月)から間もないため、十分な検証が必要だと指摘。一般企業の農地所有につながりかねない要件緩和や同特区の全国展開はしないよう要請する。
14年3月施行の同機構関連法は、施行後5年をめどに制度を見直すと定めている。また政府の規制改革推進会議は17年11月の提言で、農地所有適格法人の役員・構成員要件の見直しについても、同法の施行後5年をめどに「さらなる改革について検討を進めていく」としていた。
政府・与党は自民党の農林関係人事が決定次第、機構見直しの議論を始める見通しだ。
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JA全農は18日、カーリング男子日本代表の公式スポンサーになると発表した。日本カーリング協会と3月末に、公式スポンサー契約を締結する。
2019年02月19日

[一村逸品] 後期優秀賞3点 日本農業新聞
日本農業新聞は12日、各地の農産加工品を紹介するコーナー「一村逸品」から、優れた商品を表彰する「第15回日本農業新聞一村逸品大賞」の後期(7~12月掲載分)審査会を開き、次の3点を優秀賞に選んだ。
▽「JA小松市のとまとケチャップ」(石川)▽「五郎島金時いしやきいも」(石川・JA金沢市)▽「まんのうひまわりオイル」(香川・(株)グリーンパークまんのう)。
年間表彰は20日開催予定の中央審査会で、前期・後期の優秀賞から大賞1点と金賞2点を決める。
2019年02月13日

二度漬け白菜、だいこん漬け 広島県福山市
広島県JA福山市の子会社、JAファームふくやまが、自社生産のハクサイとダイコンで作った漬物。ハクサイは3日かけて二度漬けした浅漬けで、切って干さずにすぐ漬け込み、みずみずしさを残した。
味付けは砂糖や食塩、調味酢などの調合割合を研究。子どもから高齢者まで食べやすいよう、やや甘めに味付けした。しゃきしゃきとした食感が楽しめる漬物は、JA産直市「ふれあい市」や、道の駅「びんご府中」で3月上旬まで販売する。
価格は「二度漬け白菜」が1袋150~250円、「だいこん漬け」が1袋160~200円。問い合わせは同社、(電)084(960)0007。
2019年02月18日

やきそば 北海道・JA清里町
北海道のJA清里町が同町産小麦「きたほなみ」100%で作った焼きそば。「バーベキュー味」と「ガーリックバター味」の2種類を用意する。JAのフードアクションチームが、子どもとのキャンプで提供し好評だったことや、祭りなどで多くの人に好まれた味を選んだ。麺は色鮮やかで、もちもち感が特徴だ。
1袋(2人前、300グラム)の価格はいずれも330円。JAはこれまでにも、地場産小麦の消費拡大と地産地消に取り組んでおり、ラーメンやうどんなど6種類の加工品を商品化している。
同町のエーコープきよさと店や北広島市のホクレンくるるの杜(もり)などで販売する。問い合わせはJA企画審査課、(電)0152(25)2211。
2019年02月19日
和牛精液流出防止で初検討 新制度構築を
農水省は15日、和牛の精液や受精卵の海外流出防止策などを話し合う検討会の初会合を開いた。家畜の遺伝資源の育成者権を巡り国内外の法制度がない中、国内での管理の徹底や不適切に流通した場合の厳しい取り締まりをどう担保するかが焦点。有識者からは新たな仕組みを提案する声も上がった。現場での管理実態なども聴取し、対応方針を取りまとめる。
2019年02月16日
農政の新着記事
農地付き空き家 取得面積に特例 市町村が 「下限」設定へ
政府は、農村移住を促すため、農地付きの空き家について、農地取得の下限面積を引き下げやすくする方針を固めた。農地法は農地の取得を認める下限面積を原則、都府県で50アール、北海道で2ヘクタールと定めている。今回、地域再生法を改正して市町村が下限面積を定められる仕組みを設ける。通常国会に改正案を提出する。
現行制度でも担い手が不足している地域では、農業委員会の判断で下限面積を1アール程度まで引き下げられる特例がある。
農水省によると、この特例で原則より低い下限面積を設定した農業委員会は2018年10月現在で全国で153あるという。ただ、特例を活用するには、農業委員会による公示などの手続きが必要となっている。
改正案では、市町村が「既存住宅活用農村地域等移住促進事業計画」を作成。空き家などの取得や研修など就農への支援に加え、下限面積の例外を記載する。特定区域内で農地を取得する際の「基準面積」を設定。農業委員会が同意すれば、この基準面積を下限として扱えるようにする。
ただし、現行同様、既存の営農に支障が出ないよう、特定区域内に①遊休農地がかなり存在する②担い手への農地集積に支障がない──を同意の要件とする方針だ。
2019年02月19日
中山間地ルネッサンス バイオマスに優先枠 雇用創出を後押し 19年度農水省
農水省は、予算に優先枠を設けて中山間地を支援する「中山間地農業ルネッサンス事業」の拡充を決めた。2種類ある関連事業の優先枠の予算規模をそれぞれ増額。その上で、バイオマス施設の整備でも、優先枠を新たに設ける。農産物にとどまらない中山間地の資源を幅広く活用し、雇用創出などを後押しするのが狙いだ。2019年度から始める。
2019年02月17日

停電、断水に備え 酪農災害対応で手引 北海道
昨年9月の北海道地震による道内全域の停電で酪農に大きな被害が出たことを踏まえ、道は酪農家やJAの災害対応のマニュアルをまとめた。被災の経験を参考に、自家発電での搾乳に必要な電力を把握する方法や発電機の扱い方、断水時の備えなどを示す。今後、JAを通じ道内の全酪農家に配る。
条件想定、作業手順も
大規模停電では搾乳が滞り乳房炎が発生した他、自家発電装置のない乳業工場は操業を停止。道の推計では、集出荷できなかった生乳は2万3000トンを超える。停電を経験した酪農家の間では自家発電機を整備する動きが広がっている。
マニュアルは、まず搾乳などに必要な電力を把握することが重要だと指摘。使用電力が大きいほど、発電機などへの投資額も増える。経営に合った発電規模を決めてから設備を整えるよう呼び掛ける。
停電時に想定するパターンは①通常通り②生乳を出荷できるよう搾乳と生乳冷却③搾乳だけ──の三つ。動かす機械類の消費電力を合計し、その1・2倍ほどの能力を持つ発電機を備える。バルククーラーなど一部の機械は、起動する時に電力使用が増えることも計算に入れる。
発電機の調達では、「購入」「レンタル」「他の生産者と共同利用」「JAのものを利用」などから最適なものをあらかじめ選定する。
発電機を使い始めるための作業手順も示した。「電源切替開閉器」を通じて配電盤とつなぐ方法などを図で示す。
断水への備えでは、牛の飲み水や機械の洗浄に必要な水の量の計算法を示した。過去には、設備が不十分で、給水車が来ても貯水できない例が多発したと指摘。ポリタンクなどに加え、ビニールシートとコンテナなどで簡易貯水槽ができることも紹介する。
道は、個々の酪農家だけでなく、地域全体の停電対策の検討にも活用されることを期待。「JAなどが地域の酪農家に災害対策を働き掛けるきっかけにしてほしい」(畜産振興課)とする。3月中に、道のホームページに掲載する予定だ。
2019年02月16日

豚コレラ 愛知 処分2・2万頭 渥美半島入り口一般車両も消毒へ
愛知県は、田原市の養豚団地の一部農場で豚コレラの感染が見つかったことを受け、未感染の農場を含め、団地内と関連農場合わせて計16農場の豚1万4600頭の殺処分に踏み切った。ウイルスを封じ込め外部に拡大するのを防ぐ。今回を含めた県内の殺処分頭数は約2万2000頭に上る。田原市のある渥美半島は、養豚場が集中しているため、原則24時間体制で一般道の消毒などに乗り出す。
防疫措置の対象農場は団地内の14農場と、団地内の生産者が管理する周辺2農場の計16農場。8戸が経営しており、事務所や堆肥場、死体を保管する冷蔵庫や車両を共同利用している。県は13、14と連日、団地内の2戸3農場で疑似患畜を確認していた。
3農場以外の検査結果は陰性だったが同じ作業形態、動線があるため、県は今後新たな発生が確認される可能性を懸念。団地全体を一つの農場とみなした上で、団地内の農家が管理する周辺の2農場を含め、一括して防疫対象とした。
団地内での殺処分は13日から始まっているが、防疫措置が完了するには今後、1週間から10日かかる見込みだ。
今回を含めた県内の殺処分頭数は、農水省によると、10年の口蹄(こうてい)疫の約23万頭に次ぐ規模。県全体の飼養頭数約33万頭(18年)の7%に当たる。
同省は、今回の養豚団地から半径約10キロ圏内の9カ所で、畜産関連車両の消毒地点を拡大。さらに、搬出制限区域外の一般道で一般車両も消毒する。
一般車両を想定した消毒は昨年9月に豚コレラが発生以来、初の措置となる。国道3本と県道1本の渥美半島の入り口に消毒地点を置く。同地点から半島の先端まで散水車を走らせ、消毒液を散布する。交通量が多い国道23号沿いに、消石灰帯を8カ所設ける。
畜産関係車両には、消毒地点のある道を積極的に通るよう呼び掛ける。警察や自治体、畜産関係団体の協力を得て、原則24時間体制で消毒する。
2019年02月16日
和牛精液流出防止で初検討 新制度構築を
農水省は15日、和牛の精液や受精卵の海外流出防止策などを話し合う検討会の初会合を開いた。家畜の遺伝資源の育成者権を巡り国内外の法制度がない中、国内での管理の徹底や不適切に流通した場合の厳しい取り締まりをどう担保するかが焦点。有識者からは新たな仕組みを提案する声も上がった。現場での管理実態なども聴取し、対応方針を取りまとめる。
2019年02月16日
豚コレラ巡り農相 愛知全県調査も視野 飼養衛生管理徹底へ 衆院予算委
吉川貴盛農相は15日の衆院予算委員会で、豚コレラの拡大防止に向け、感染例が相次ぎ見つかっている愛知県内全198農場を対象に、適正な衛生管理をしているか、調査を検討する考えを示した。拡大防止には、飼養衛生管理基準の順守と早期発見、迅速な殺処分という対応が「今のところはベスト」と強調し、ワクチン接種は慎重に判断するとした。
2019年02月16日

豚コレラ 封じ込めへ 1万2000頭殺処分 連日発生の田原市養豚団地
愛知県は14日、一部農場で豚コレラの発生が確認された田原市の養豚団地で、団地内で飼養する全ての豚を豚コレラの疑似患畜とし、約1万2000頭を殺処分することを決めた。同日午前までに発生が確認された団地内の3農場を除き、他の農場の検査結果は陰性だった。ただ、全農場で施設や機材、車両などを共同利用しており、各農場へのウイルス侵入の可能性を懸念。封じ込めを狙い団地内の全農場を防疫対象とした。
農水省の要請を受けた措置。同県の大村秀章知事は、自衛隊の災害派遣要請を決めた。
田原市の養豚場では13日、同県2例目となる豚コレラの発生が確認されていた。14日午前には、隣接する同市の養豚場で発生が新たに確認。いずれも同じ養豚団地内にある。
国の拡大疫学調査チームによる現地調査によると、発生農場を含む養豚団地の全農場は、事務所や堆肥場、豚の死体を保管する冷蔵庫、車両などを共同利用していることが分かった。
県は13日から、2例目の発生農場から半径3キロ圏内の移動制限区域にある33農場で検査を開始。このうち「発生リスクがより高いと判断した」(県畜産課)同養豚団地を先行検査をしていた。
団地内では3カ所を除いて検査結果は陰性だった。ただ、共同利用している施設や機材を通じて各農場にウイルスが侵入している恐れがあるため、団地内の全農場で防疫措置に踏み切った。
一方、2例目の農場から半径3~10キロ圏内の搬出制限区域には、34農場がある。移動制限、搬出制限両区域での飼養頭数は10万頭に上り、県全体の3割に当たる。
昨年秋に発生した豚コレラは岐阜県に集中していたが、今月6日に愛知県豊田市の養豚場とその系列である田原市の養豚場で発生が確認され、子豚の出荷を通じて長野、岐阜、滋賀、大阪の4府県にも広がった。
農水省は感染経路の究明を急いでいる。豚コレラは豚やイノシシの病気で、人に感染することはなく、感染した豚を食べても健康に影響はない。
2019年02月15日
豚コレラ発生5カ月 181農場 監視を徹底
岐阜県での豚コレラの発生から5カ月。発生の拡大が収まらない中、感染経路の特定が急務の課題となっている。だが、ウイルスを持った野生イノシシ、と畜場を含む施設を通じた感染源などが想定されるものの、経路の特定には至っていない。そうした中、農水省は181の農場を監視対象にし、拡大を防止する狙い。感染拡大を食い止めるため、感染経路の早期の特定と、それに応じた対策が欠かせない。
感染経路では、野生イノシシがウイルスを拡散しているという見方は強い。農水省も両県へ防護柵設置などの助成を拡充しているが、野生イノシシがどうウイルスを広げたか、具体的なメカニズムは解明されていない。
愛知県では1例目の豊田市の養豚場と、同ウイルスに感染した野生イノシシが見つかった犬山市は30キロほど離れる。同省の疫学調査チームは、野生イノシシ以外の原因を含め調査している。
と畜場など発生農場が使った施設に人や車両が立ち入り、消毒も不十分だとウイルスが運ばれ、新たな感染が起きる恐れがある。愛知県の2例目は、先行して発生が確認されていた農場と同じと畜場を使っていた。
同省は感染経路究明に向けて「あらゆる可能性を想定している」(吉川貴盛農相)。疫学調査チームは岐阜、愛知両県に入り、感染経路などを調べており、近く結果をまとめる見通しだ。
監視対象の農場では、不安を抱えながら県への報告や出荷自粛を続けている。心のケアを含め、生産者へのきめ細かい対策が重要になっている。
2019年02月15日

高知市に仮住まい→県内の居住地検討 農村移住 2ステップで
田舎暮らしはしたいけど、移住への一歩が踏み出せない──。そんな悩みを解消するため、高知県で「二段階移住」の取り組みが始まった。まずは高知市に移住し、県内の市町村を巡って次の移住先を探す。移住のミスマッチをなくして費用の負担も軽減し、移住へのハードルを下げる狙い。高知市独自の制度で、全国的にも珍しい仕組みだ。
ハードル下げ ミスマッチ防ぐ
東京都出身の鈴木助さん(28)は、高知市が実施する二段階移住制度を活用して、東京から高知市を経て今月、香南市への移住を実現した。二段階移住は、まず比較的都市部の高知市に移住・滞在し、そこを拠点に県内を巡って自分に合った場所を見付けてから、最終的な移住を決める手順。同市から家賃やレンタカー代などの補助が受けられる。
鈴木さんが高知への移住を希望したのは、就職した企業の転勤で高知で暮らしたことがきっかけ。東京に戻ってからも、再び「自然豊かな高知らしい暮らし」がしたいと、自治体の移住相談窓口を訪問する中で同制度を知り、昨年12月に第一段階の同市に移住した。
鈴木さんは起業を目指していることから、住居は一軒屋が条件だ。「インターネットでも物件情報は見られるけれど、開業に合う一軒家は実際に見ないと分からない」と、同市土佐山で借りた住居を拠点に各地を探して回った。
同市から約1時間ほどの香南市で希望の物件を見付けた鈴木さん。2月初旬に新たな生活をスタートさせた。「口コミで地元の人に聞いたり、頻繁に通って探すことができた」と話す。
市が制度化 費用補助 中山間へ人口分散を
同制度は昨年、高知市が創設。県内での移住先を探す人が、まず同市にお試し移住した後、県内の市町村の相談窓口を3カ所以上巡って実績を報告すると、高知市での物件の1カ月分の家賃や引っ越しの費用などが20万円を上限に、県内の市町村の移住相談窓口を巡る際に使うレンタカー代が2万円を上限に補助が受けられる。市によると、これまでに19件の利用があり、「腰を据えて相談しながら移住先が探せた」などの反響があったという。
高知市が二段階移住制度を始めた背景には、県の人口の46%が同市に集中する一方で、中山間地では人口減少や高齢化が進んでいる現状がある。経済、社会的にも他地域との相関関係が高いことから、同市は18年4月に県内全市町村と「れんけいこうち広域都市圏」を形成し、人口減少の克服を目指す。制度はその一環で、県内の移住相談窓口と連携して、移住者のサポートを行う。同市は「移住者を増やして中山間地の1次産業など、県全体で振興していく必要がある」(定住・移住促進室)と強調する。
県への移住者は17年度は816世帯。20年度1000世帯を目標に、県は県移住促進・人材確保センターを立ち上げた。センターでは県内の事業者の人材ニーズなどを集約し、移住相談者の希望に応じた求人情報を提供するなど、暮らしと仕事の窓口を一本化する。農林水産業や福祉、企業などの団体が参画し、「半農半X」などの働き方にも対応していくという。県は「オール高知の体制づくりを進めていく」(移住促進課)と力を込める。
まず地方都市から ふるさと回帰支援センター・嵩和雄副事務局長の話
地方都市は比較的仕事も住む所も見つけやすく、移住のニーズが高まっている。さらに、地方都市は県からの人口流出を食い止める機能を果たしている。移住はしたいが、行きたい場所がはっきりしない人には、二段階移住制度を使うことで、気になった場所に頻繁に通って地元のキーパーソンに話を聞いたりイベントに参加したりと、じっくり探すことができ、選択の幅が広がる。高知市が主体となって制度が実現したのは、県全体で移住に取り組んできた表れだろう。
2019年02月15日
ノウフクJAS新設 障害者雇用後押し 農水省来年度
農水省は、障害者が作った農産物について、新たな日本農林規格(JAS)を定めた。収穫や家畜の飼育など主要な生産工程に障害者が関わり、その取り組みを意味する言葉「ノウフク」を表示することが条件。障害者と連携して作った農産物や加工品のブランド価値を高め、障害者の就労先拡大や賃金向上、農家の労働力不足解消につなげる。
2019年02月15日