農地バンク見直し JAの役割位置付けよ

 政府・与党の農地中間管理機構(農地集積バンク)の見直し論議が今週、大詰めを迎える。地域実態を踏まえた現場目線での見直しが問われる。農地利用調整に貢献してきたJAの役割を制度的に位置付けることが欠かせない。

 JA全中は8日の理事会で機構見直しに関連し、政策提案から絞り込んだ重点事項を決めた。会見で中家徹会長は「JAの位置付けも踏まえ、現場実態を踏まえた柔軟で現実的な対応が欠かせない。中山間地などでは実際に農地集積が難しいという課題も残る」と、現場の理解と納得による見直しを強調した。

 JAはこれまで農地利用集積円滑化事業などを通じて、農地の集積に主体的な役割を果たしてきた。機構見直しに当たり全中は、地域の話し合いによる「人・農地プラン」を基本に据え、煩雑で時間がかかる手続きの簡素化を求めた。

 「顔の見える関係」での集積・集約化には、JAの存在が欠かせない。円滑化事業同様、JAの役割を制度にしっかり位置付けることは当然だ。“JA外し”のようなことがあってはならない。土地利用型農業の青写真を描くことは、地域の水田農業をどうするのかと同義だ。市町村やJAなどで構成する地域農業再生協での「水田フル活用ビジョン」ともしっかり連動しなければならない。

 検討課題は、①人・農地プランと機構の連動強化②集積円滑化事業の存廃③事務手続き簡素化──に絞られる。安倍政権が5年前に掲げた農政改革で、米政策の見直しとともに目玉とされたのが機構の創設だ。強い農業を目指す官邸農政の“象徴”と言っていい。だが、計画通りに農地集積・集約化の実績は上がっていない。理念ばかりが先行し、地域実態にそぐわなければ、いくら財政的なてこ入れをしても機能しないのは当然だ。

 何のための、誰のための見直しか。その点をいま一度考えたい。機構の抜本改正の結果、地域の農業者の使い勝手が良くならなければ意味がない。農業振興と地域の食料自給率引き上げとも連動させるべきだ。担い手に加え、多様な農業者と共存する道筋も考慮する必要がある。

 特に平場とは違い、農地の引き受け手が少ない中山間地での対応は大きな課題だ。JAは地域を守る視点から、多様な担い手の結集した集落営農を組織化し、5月にはJA全国集落営農ネットワークを立ち上げた。農地集積にも結び付く動きだ。

 農相時代に機構創設に関わった林芳正自民党農地政策検討委員長は「人・農地プランを軸に地域での話し合い活性化を重視する」としている。税制改正や予算編成も踏まえ、党内での議論を進め、週内にも論点整理、中間取りまとめを急ぐ。だが、拙速な対応は逆に現場の混乱を招きかねない。JAを制度的に位置付け、地域の意向を踏まえた実際に機能する見直しが必要だ。 

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