和牛精液流出防止で初検討 新制度構築を

 昨年、和牛受精卵が日本の検査をすり抜け、中国へ持ち出されていたことが発覚。同省は1月、輸出検疫を受けず和牛の受精卵と精液を持ち出したとして、家畜伝染病予防法に基づき、大阪府在住の該当者を刑事告発した。和牛遺伝資源の国外への持ち出しで同省が刑事告発するのは初めて。

 和牛には、国際的に遺伝資源の育成者権を設定して取り扱う例はなく、国内にも知的財産の保護制度もない。貿易ルール上、国が輸出を規制することはできないため、国内での管理の徹底や、海外への流出防止を法律などでどう厳しく取り締まれるかが課題になる。

 全国和牛登録協会の穴田勝人氏は、同協会が中心となって和牛の遺伝資源を守る活動をしていることを報告。一方、廃業した家畜人工授精所での管理実態などを把握するには限界があるとも指摘した。

 弁理士の櫻井通陽氏は、不正な流通を取り締まるためには、精液の販売を巡る契約を徹底することが一定の効果があると指摘。遺伝資源を法律上の「営業秘密」として保護する手法も選択肢に挙げた。

 弁護士の林いづみ氏は「特定されている和牛の遺伝資源情報の不正流通の差し止め、損害賠償請求ができるようにし、改良研究の成果を適切に保護する新しい制度を検討することが必要だ」と強調した。

 次回は家畜人工授精の現場の状況について、関係者から聴取する。
 
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