死んだら行く所と思っていた

 死んだら行く所と思っていた。そう、お寺のことである▼戒名を付けてもらうと30万~100万円。墓地を作れば約200万円。仏になるのも金次第かと思うと自然に足が遠のいていた▼それが昨今、どうも様子が違うらしい。過疎化が進み、複数のお寺を掛け持ちする住職や兼業住職、檀家(だんか)離れで経営ピンチに陥っているお寺も多いと聞く。関係者によると「年収300万円以下の寺院が半分を占める」とか。JA同様、お寺も“自己改革”が求められる時代となった。地域に開かれた場を目指し、広い境内や菓子のお供えなど「あるもの」を生かし月1回、子ども食堂を運営するお寺もある▼埼玉県和光市の満願寺。住職の石井秀和さんは「シングルマザーの家庭にとっては唯一の外食。お線香に包まれ、みんなでご飯を食べるのもいいのではないでしょうか」。地域のボランティアに支えられ今年で3年。規格外野菜を寄付する近隣農家の富岡正浩さんは「みんなおいしいって食べてくれる。それだけでうれしい」と喜ぶ。野菜や菓子のお土産まで付くため参加者は次第に増え、予約制とした▼きょうは彼岸の入り。石井さんいわく、彼岸とは「生きている者が仏の世界に至るための功徳を積む時」という。物心ならぬ“仏心”を抱く日としたい。
 

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