ドライバー不足 産地 流通一体で対応を

 深刻化するトラックのドライバー不足解決に向けて産地、流通業者の挑戦が始まっている。輸送手段を鉄道や船舶に切り替える「モーダルシフト」の推進や、積み降ろし時間を削減する統一パレットの活用だ。物流問題は産地の努力だけで克服できない。業界挙げて関係者が連携し、対応すべきだ。

 全日本トラック協会が会員各社に行った「労働力の不足感」調査(2018年10~12月)によると、「不足」「やや不足」と回答する割合が7割を占めた。近年、ドライバー不足を感じている企業の割合は増加傾向にあり、将来も不足するとの回答も多く、深刻さを物語る。

 現状を打開しようと、動きだした産地や流通業者もある。

 JA宮崎経済連は、船舶を使う「モーダルシフト」に力を入れる。首都圏などへの農産物輸送の中心は、宮崎~神戸便のフェリーにトラックを載せて対応する。だが、近年はフェリーの人気が高く、確保しにくいなどの問題が発生。このため18年度から試験的に、志布志港(鹿児島県)と東京港を結び、コンテナやトレーラーだけを運ぶ「RORO船」の活用を始めた。荷台の部分だけを運ぶもので、九州から東京までの長距離輸送を船で代替する形だ。ドライバーは宮崎から鹿児島まで、東京では別の輸送会社のドライバーが卸売市場などに農産物を配送する仕組みだ。

 農産物の集散地である卸売市場でも取り組みが始まった。JA全農や東京青果などは昨年8月、農産物パレット推進協議会を設立した。農産物輸送に統一パレットを使い、産地、卸、仲卸、小売り、パレットレンタル会社で循環させる。パレットの活用で、ドライバーにとって大きな負担となる積み降ろし時間の短縮を目指している。

 パレットには、移動情報を記録する電子タグが付いているため、輸送時のデータを把握でき、輸送時間の省力化やパレット回収率の向上につなげる。実証試験は約半年間で、パレット回収に課題はあるが積み降ろし時間が短くなるなどの一定の成果が出ているという。ドライバー不足に対応した新たな取り組みとして注目したい。

 国土交通省と厚生労働省、全日本トラック協会は、トラックドライバーの長時間労働など、物流を巡る課題の改善に向けたガイドラインをまとめた。ガイドラインは「ほんの少しの作業改善が物流コストの削減やサプライチェーンの全体の効率化などにつながる」と指摘する。手積み、手降ろしの荷役作業がある場合は荷主と調整してパレットを活用し、時間を短縮するなど13の事例を紹介。荷主と運送業者が話し合いの場を設け、連携を強めているケースもある。

 農家が栽培した高品質な農産物をそのまま消費地に安定的に供給するためにも、産地、流通業者が互いに知恵を出し合い、協力して課題を解決する体制づくりが求められている。
 

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