[メガFTA] 日米初会合終わる 物品交渉加速で一致 今後に不透明さ残す

 【ワシントン岡信吾】日米両政府は16日(日本時間17日)、新たな貿易協定交渉の初会合を当地で終えた。農産物や自動車などの物品の交渉を始め、「早期の成果」を目指して交渉を加速させることで一致した。交渉範囲は詰め切れず、今後の展開に不透明さを残した。米国側は対日貿易赤字の削減や、農業分野に強い関心を表明。今後の交渉で攻勢を強めてくる見通しだ。今月下旬に開かれる日米首脳会談で交渉状況を確認する方針だ。

 茂木敏充経済再生担当相と、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が15日(同16日)から2日間、自動車と農産品を中心に議論した。

 終了後、茂木担当相は記者会見をしたが、ライトハイザー氏の記者会見はなく、USTRが声明を発表。交渉で巨額の対日貿易赤字を取り上げたことを明らかにした。

 同氏は農産品を巡り、TPP発効で米国産農産物が対日輸出で不利な状況に置かれ、米国の農業団体の不満が大きくなっている現状を踏まえ、農業分野に強い関心を示したという。米国にとって不利な状況の早期解消へ意欲を鮮明にした。

 茂木担当相は、会合の中で昨年9月の日米共同声明は「過去の経済連携協定で約束した譲許内容が最大限」としていることに触れ、「日本側として越えられない一線だ」と強調。自民党の対策本部が茂木担当相に申し入れた決議の内容も説明した。

 対日貿易赤字の8割を占め、交渉の大きな焦点になっている自動車・同部品に関連し、茂木担当相は、日本産自動車の輸出の数量規制を受け入れない考えを表明。トランプ政権が検討する自動車の追加関税は、交渉中は発動されないとの認識を重ねて示した。通貨安誘導を防ぐ「為替条項」は「(日米両国の)財務相間で議論されるべきものだ」と主張した。

 初会合では、交渉対象分野の範囲が焦点となっていた。物品に加え、インターネットを使った商取引や音楽配信などのデジタル貿易分野も対象にすることで合意。米国の意向に応じた。サービス分野は、米国は言及しなかったという。

 安倍晋三首相は今月下旬に訪米し、トランプ米大統領と会談し、日米交渉の初会合の成果を確認する。会談に向け、茂木担当相は再度ワシントンを訪れ、ライトハイザー代表と協議する予定だ。さらに、細部を協議する事務レベルの交渉会合は5月にも始まる見通しだ。
 

[解説] 米国圧力 冷静対応を


 日米は新たな貿易協定交渉で、農産品や自動車で早期の合意を目指すことで一致した。相手は、支持層の焦りや不満の強まりを露骨に交渉圧力に反映させてきたトランプ政権だ。早期合意を意識するあまりに米国のペースにのまれ、安易な譲歩につながらないよう、冷静に交渉に当たる必要がある。

 初会合では、TPP発効による農業団体の不満を背景に、早期合意を切望するライトハイザーUSTR代表の姿勢が鮮明になった。今後、交渉の加速を重ねて求めてくるとみられる。一方、日本に交渉を急ぐ理由はない。米国側の要求を冷静に分析し、市場開放を抑えていく戦略が求められる。

 丁寧な情報開示も欠かせない。交渉を担当する茂木敏充経済再生担当相は交渉後の会見で、交渉経過について「まだ合意していない」として言及を避ける場面も目立った。自民党の対策本部は日米交渉を巡る決議で、十分な状況説明などを要求した。国会でも交渉についての審議が本格化する見通し。充実した議論に向け、情報提供は欠かせない。

 米国議会の対応も注目される。今回は交渉の対象となっていない物品以外の業界団体と気脈を通じた議員が不満を募らせ、交渉対象に入れるよう米国政府を突き上げる可能性がある。上下院で多数派が異なる「ねじれ」の中で来年は大統領選も控える。日米交渉への議会の反応を注視する必要がある。(ワシントン・岡信吾)
 

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