「令和」農政の課題 大前提は生産基盤強化

 「令和」時代の農政はどうあるべきか。平成30年間の農政史は自由化と規制緩和で揺れ続けた。新時代のキーワードは「持続可能性」だ。そのためには食料自給率と自給力を底上げする施策が欠かせない。まずは、大前提となる生産基盤の維持と強化に向け、地域農業の支援に総力を挙げるべきだ。

 自由化と規制緩和に突き進んだ平成農政から軌道修正しなければならない。令和の時代は、頭文字をとって「Rの時代」と言われる。Rで始まる「農政3R」を提起したい。

 まずは「リセット」。地域の実態に応じ、担い手と共に家族農業を含めた政策支援の在り方を組み替える。一般に産業と地域政策は切り分けられるが、二つは密接不可分の関係にある。家族農業を地域政策という枠に押し込めず、環境保全、水源涵養(かんよう)を含め中山間地域などを維持する“緑の守り手”とし、条件不利地の生産基盤を維持する多様な担い手と位置付けるべきだ。地域を支える協同組合への軽視も、リセットすることは当然である。

 次に防災用語として定着してきた「レジリエンス」。復元力や強靭(きょうじん)の意味で、幾多の災害などから立ち直れる底力を表す。持続可能な社会づくりにも欠かせない要素だ。持続可能とは柔軟性とも通じ、地域住民や農業者のより強固な結び付きの中で育つ。協同組合と地域おこし協力隊など多様な組織が連携することが、地域の復元力となる。

 三つ目のRは「リサイクル」。循環型社会を通じ、地域や農業者が新たな付加価値を享受し、身の丈に合った経済成長を実現することが重要だ。農業は以前から耕畜連携を基礎にした循環型農業を柱に、持続可能な地域づくりを実践してきた。

 国連の持続可能な開発目標「SDGs」を国内外で進める中で、改めてリサイクルの実践が問われている。リサイクルは単なる循環にとどまらず、連携や助け合いに行き着く。生産者と消費者は食物残さの再利用を通して結び付く。身近な食料安全保障ともつながらないか。

 さらに共同販売と共同購入が重なれば、作る側の所得は安定し、食べる側は「顔の見える農産物」を入手でき、安全・安心も得られる。地域内の食料安保の確かな一歩につながる。

 JAは「令和農政」をどうかじ取りするのか。中家徹JA全中会長は会見で「平成の30年は農業の右肩下がりの時代だった。令和は農業・農村が見直されるよう努力していきたい」と強調した。令和元年は、食料・農業・農村基本法制定から20年の区切りとなる。5年に1度の基本計画見直しの時期でもある。平成30年間の農政を総括するとともに、新たな一歩を踏み出すための土台固めが必要だ。

 低迷する自給率と自給力をどう向上させるか。大前提となる生産基盤の強化は、喫緊の課題である。 
 

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