〈桃栗三年 柿八年 柚の大馬鹿十八年〉

 〈桃栗三年 柿八年 柚(ゆず)の大馬鹿(ばか)十八年〉。小説家の壺井栄はこの言い草を好んで使った。故郷の小豆島の文学碑にもある▼一粒の種が芽を出し、大きくなって花が咲き、実がなる時期はそれぞれ違う。「柚がどんな馬鹿でも、十八年まてば実がなるとは、これはまたこれでうれしいではないか」。『随筆柚の大馬鹿』で書いた。名作『二十四の瞳』に込められた、個性を大事にする大きな人間愛に通じる▼いつからか、このことわざには続きができた。「女房の悪いは六十年の不作」「亭主の不作はこれまた一生」。人生の連れ合いは慎重に探せという教えだと聞く。身勝手な戯(ざ)れ言との批判もあるが、心にうずきを感じる向きも多いのではないか▼昔から言葉には不思議な霊力が宿ると信じられた。口に出すとその通りになったり、ことさらに言い立てて命を落とすことになったり。参院選を前に、相次ぐ失言問題に危機感を募らせた自民党は「失言防止マニュアル」なるものを作った。手取り足取りのような内容に党幹部の嘆きが悲しい。「自民党は幼稚園も併設していますと、看板を掛け直さなければならない」▼きょうは、こ(5)と(10)ば(8)の語呂合わせで「ことばの日」。政治家の皆さん〈口は災いの元〉。今も昔も同じである。 
 

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