TPP対策で外資支援? 宮崎県都農町でキウイ栽培 NZ系法人に補助

農家=「チェック甘い」 国、自治体=地域の所得向上「問題ない」


 環太平洋連携協定(TPP)対策として国が設けた中山間地域等担い手収益力向上支援事業で、ニュージーランド(NZ)資本の法人が交付金を得ていたことが分かった。宮崎県都農町でキウイフルーツを栽培するマイキウイが2016年度に155万5000円を得た。同社はNZの資材を使い、NZ資本のゼスプリに販売を委ねる。同社や国などが問題ないとの認識を示す一方、農家からは疑問の声も上がる。

 宮崎県に対する日本農業新聞の公文書開示請求で分かった。県が示した文書によると、マイキウイは16年度の同事業で、直営園地のうち3・11ヘクタールを対象に、10アール当たり5万円の国庫補助を受けた。名目は栽培技術指導者2人の旅費と指導料だった。

 同社は、従来その土地で地元農家が栽培していた飼料作物をキウイに転換することで、19年度までに販売額を飼料作物の6倍超に増やす計画を策定。同町と県を経由して九州農政局に提出した。これを受け、農政局が交付を決めた。

 同社幹部は、日本国内で営農しており構成員に日本人も含むとして、交付金を得たのは「問題ない」との認識を示す。同町の河野正和町長も問題ないとの立場。過疎地域の所得向上につながるため、国が交付を決めたとみる。「事業がTPP対策だとは認識していなかった」という。

 一方、同事業の目的は「TPPで悪影響を受ける国内農業を支援する」(農政局)こと。政府はTPPの大筋合意後、国内対策を実行するなどとして農業関係者に理解を求めてきた。これらを踏まえ、県内のある農家は「国内で営農しているとしても、外資を補助するのでは国内対策の効果が薄くなってしまう」と困惑。「交付を決めた国のチェックも甘いのではないか」と疑問視する。

 同農政局は「外資か否かは事業の要件ではなく、マイキウイが外資だとは把握していなかった」と明かす。同社への補助は「国内農業の活性化に資する」との考えだ。

 マイキウイは、NZのキウイ生産法人・ジェイスが設けた日本法人。14年に同町に参入し、現在町内の直営園地16・6ヘクタールでゼスプリの品種「サンゴールド(G3)」を栽培する。将来的に県内外の400ヘクタールまで規模を広げる考えだ。
 

<ことば> 中山間地域等担い手収益力向上支援事業

 国が中山間地域向けのTPP対策として2015年度から実施。高収益作物の導入などで販売額を増やすとする「収益力向上計画」の策定などが要件。専門家の招聘(しょうへい)などに要する経費を10アール5万円以内で助成する。16年度で終了した。 
 

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