増える廃園 減る人手 輸出拡大したいけど… 将来に「不安」 青森・リンゴ

廃園となった園地を確認するJA職員(青森県弘前市で)

 国内のリンゴ生産量の半数以上を占める青森県で、生産基盤の弱体化が深刻だ。農家の高齢化や後継者不足により、廃園が目立っている。県によると2018年の放任園・管理粗放園は41ヘクタールに上り、13年よりも7ヘクタール増えた。手の入らない園地は、近年被害が増えている黒星病の温床になりかねないことから、病害虫の感染拡大の観点からも危機感を持つ。労働力不足も重なり、農家からは産地を維持できるのか不安視する声も上がる。(音道洋範)

 全国有数のリンゴ産地、弘前市相馬地区の山間部。立ち並ぶリンゴ園の中に、切り株だらけの草原が点在する。高齢化や後継者不足からやむなく廃園となり、切り倒されたリンゴ園の跡だ。JAの担当者は「廃園となった園地は、少しずつだが増えている」と説明する。

 JA相馬村が2017年1月に管内のリンゴ生産者450人を対象に行ったアンケートでは、204人から回答があり、そのうち43%が「労働力が足りない」と回答した。「今は良いが将来足りなくなる」を合わせると77%が労働力不足に不安を持っていることが分かった。18年の販売量は83・5万ケース(1ケース15キロ)と10年前より5%ほど減少している。

 相馬地区でリンゴ3・5ヘクタールを栽培する成田馨さん(62)は、家族5人に加え、2人の作業員を雇用する。春の摘花から秋の収穫まで成田さんの休みはほとんどない状態だ。「あと2人ほど作業員がいれば余裕のある作業ができる」と話す。薬剤による摘果も広がってきているものの「最後の仕上げには、やはり人手が欠かせない」と指摘する。

 農水省のまとめによると、18年のリンゴの輸出額は約140億円と輸出品目の柱の一つだ。だが、今後市場の伸びが期待されるベトナム向けは手間のかかる有袋栽培が輸出の条件となっている。生産基盤が弱体化している中では、袋掛けに手が回らず、輸出を増やしたくても増やせなくなる可能性がある。

 JAの担当者は「袋掛けは負担が大きく、有袋の出荷量は年々少なくなっている」と話す。

 農家の労力不足に対応するため、JAでは「援農隊マッチング支援事業」として、リンゴ栽培に必要な労働者の確保に力を入れている。市内のスーパーなどで募集を行い、JAが中心となり農家と就労希望者との間で日時や就業先を調整する仕組みだ。JA農業振興課の齊藤大貴さんは「農家と作業員とのミスマッチをなくし、仕事を続けてもらうようにしたい」と期待する。

 18年の全国の結果樹面積は前年比1%(300ヘクタール)減となる3万6200ヘクタール。青森県の結果樹面積は1万9800ヘクタールと前年より100ヘクタール減少し、3年連続で2万ヘクタールの大台を下回った。ピークだった1987年時の2万4100ヘクタールより18%減少している。 
 

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