水害への備え 警戒レベル周知、活用を

 一部地域を除き、雨の季節に入った。梅雨は田畑を潤す恵みとなる一方で、前線の活動が活発化することで気象災害も懸念される。西日本豪雨などの災害を教訓に、防災に関する情報提供が新しくなった。「自分は大丈夫」と過信せず、この情報を基に、まずは命を守る行動を取ってほしい。

 先月29日、気象庁は防災気象情報に「警戒レベル」という表現を導入した。市町村が発表する避難勧告などの情報に合わせて同レベルを採用。リスクの度合いを簡潔に示し、「自分の命は自らが守る」の考えの下、住民に分かりやすく避難の決断を促す。

 警戒レベルには同庁が発表する各種情報と、それに合わせた住民が取るべき行動を明記した。例えば、「氾濫警戒情報」はレベル3に相当し、高齢者らに避難を促す。「土砂災害警戒情報」はレベル4相当で、全員に避難を促す避難勧告・指示に当たる。最も高いレベル5は、数十年に1度といわれる「大雨特別警報」や「氾濫発生情報」が出たときで、命を守る最善の行動を取るよう呼び掛ける。

 「自分の命は自らが守る」ことが基本だが、スマートフォンや携帯電話を使えない、身体が不自由といった高齢者ら災害弱者を避難場所に導く「共助」も欠かせない。西日本豪雨が発生した時の住民避難の在り方を議論した広島市の検証委員会は昨年、災害時に住民同士が危険性を伝え合う「声掛け避難」の重要性を訴えている。

 住み慣れた地域がどのような地形にあるのか。市町村が公表する防災ハザードマップも地域や集落、家族で改めて確認したい。

 併せて活用したいのが、スマホ向けの気象情報サービスだ。気象庁は、民間事業者を通じて大雨・洪水が発生する危険度を迅速に知らせる情報発信サービスを7月から始める。

 国土交通省は「逃げなきゃコール」の運用を始める。離れて暮らす高齢の親を想定し、避難を呼び掛ける仕組み。アプリに親が暮らす地域を登録すると、付近の河川の増水状況などの情報がメールで送られてくる。この情報を基に、電話をかけて早めの避難を促す。避難勧告が出ても自宅を離れなかったり、逃げ遅れたりして犠牲になるケースが多いためだ。

 これからの季節は、台風も接近しやすくなる。昨年は6月に2個、7月は4個が日本列島に接近した。地球温暖化に伴う気温上昇で大気が含む水蒸気量が増え、梅雨前線を台風が刺激し、大雨の頻度は年々高まっている。2015年の関東・東北豪雨、17年の九州北部豪雨、18年の西日本豪雨など水害が常態化していることは明白だ。

 「自分の所は大丈夫」「あの川が氾濫するわけはない」といった考えは改めるべきだ。大雨の中での用水路見回りも厳禁だ。警戒レベルなど気象情報を活用し、命を守ろう。 
 

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