爪痕あらわ 台風10号襲来 状況把握、修復急ぐ

パイプが折れ曲がったハウスを解体する児玉さん(16日、和歌山県新宮市で)

 大型の台風10号が広島県呉市付近に上陸、西日本を縦断してから一夜明けた16日、農業関係の被害が徐々に明らかになってきた。台風の暴風雨により四国や近畿地方の沿岸部で、水稲の倒伏やハウスの破損が発生。関係者は状況の把握とともに修復を急いだ。10号は同日、日本海を北上し、17日未明には温帯低気圧に変わる見込み。北海道や東北では17日明け方にかけて大雨になるとみられ、警戒が必要だ。
 

ハウス骨材ぐにゃり 和歌山県新宮市


 台風10号の影響で断続的に雨が降り続いた和歌山県新宮市。市内を流れる熊野川が氾濫危険水位を超え、支流の赤木川の水が水田に流れ込んだ。強風によりパイプハウスの破損もあった。

 「またか」。同市熊野川町で水稲1・3ヘクタールを手掛ける下阪殖保さん(72)が肩を落とした。田んぼは赤木川のすぐそば。下阪さんによると、赤木川沿いに広がる田んぼ約20ヘクタールに川の水が流れ込み、水稲は倒れて泥にまみれた。

 同町では、2011年の台風12号による紀伊半島大水害や18年の台風20号で熊野川が氾濫。「台風で田んぼに水が流れ込んだことは何度もある。昨夜は気が気でなかった」と振り返る。

 下阪さんは「倒伏はしたが、収量には影響はなさそう」と安堵(あんど)の表情。20日ごろ収穫する予定という。

 同町でイチゴや水稲を栽培する児玉仁志さん(46)は、農機具を入れる倉庫として使っていた約40平方メートルのパイプハウスが強風で破損。16日は解体作業に追われた。パイプはひしゃげ、使い物にならなくなった。建て直すには約10万円かかるという。

 苗作りの最中のイチゴは被害を免れたが、水田約2ヘクタールに水が流れ込み、稲が倒伏した。3分の1程度は収穫できない見込みだという。児玉さんは「昨夜は雨がひどくなかったので、大丈夫と思っていたが残念だ」と力なく語った。 
 

全倒伏 肩落とす 香川県東かがわ市 


 香川県東部では、台風10号による強風で収穫を控えた水稲「コシヒカリ」が倒伏するなどの被害が出た。

 JA香川県大川地区営農センターが管轄する東かがわ市とさぬき市は、約1500ヘクタールで「コシヒカリ」を栽培する県内有数の産地。同センターの三谷洋平次長は16日朝に巡回し、「被害は、全倒伏1割5分、半倒伏3割ほどとみている」と話した。

 気象庁によると、東かがわ市引田では、15日午前6時31分に、観測史上最大となる最大瞬間風速32・8メートルを観測した。

 東かがわ市西村で「コシヒカリ」を栽培する兼業農家の長尾與丈さん(62)は、風雨が落ち着いてから田んぼを見に訪れたところ、15アールの水田全てで全倒伏を確認し、驚いたという。

 
被害の状況を確認する長尾さん(16日、香川県東かがわ市で)

 4月27日に田植えをした稲で「色づきが早いため、20日すぎには刈り取る予定だった。稲穂がだいぶ重くなっていたので、風雨を受けて倒れてしまったのでは……。これほどの被害は、15年ぶりくらいではないか」と肩を落とす。収量は、2、3割減とみている。

 県によると16日午後1時現在、台風10号による県内の農業関係の被害金額は1577万円に上り、主に水稲の倒伏で農産物合わせて794ヘクタールの被害が出ている。
 

被害状況の共有急ぐ JAグループ高知


 JAグループ高知は16日、高知市で台風10号に関する対策会議を開いた。JA、連合会の常勤役員らが出席し、県内農業やJA施設の被害状況を共有した。

 速報値ベースでの農業被害件数は、県内全体で130件ほど。施設園芸を中心に被害が発生しており、ハウスの被覆資材の剥がれやパイプ曲がりなどとなっている。JAの関連施設への目立った被害の報告はないとした。

 JA高知中央会の久岡隆会長は「被災された農家、組合員の方々には、心よりお見舞いを申し上げる。一日でも早い復旧に向けて支援していきたい」と話した。

 徳島県では、強風による水稲の倒伏やレンコンの葉茎の破損、梨の落果などの被害が出た。

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