正念場の米政策 20年産に向け検証急げ

 米政策の課題が浮き彫りになった。2019年産米の生産量は適正量を十数万トン上回る見通しだ。今後の作柄次第で需給に影響する可能性も残す。米の需要減は加速している。需給を均衡させるには、作付け段階で生産を絞る「入り口」での対応が重要だ。国、産地は来年産に向けて検証を急ぐべきだ。

 農水省がまとめた作付け動向(9月15日現在)によると、主食用米の作付面積は137万9000ヘクタール。作況指数101を反映すると、見込み生産量は736万9000トンとなる。同省が設定する需給安定に向けた適正生産量を11万~19万トン上回る。来年6月末の民間在庫量は200万トンに迫り、米価が安定する適正水準(180万~200万トン)の上限ぎりぎりだ。

 19年産は、国による生産数量目標の配分が廃止され、産地や生産者団体が主体的に生産量を決める新たな米政策の2年目。主食用米の価格が堅調に推移する中、1年目の18年産は主食用米の作付面積が増加に転じた。19年産は「米政策の真価が問われる」(自民党農林幹部)とされていた。ふたを開けると前年を7000ヘクタール下回ったが、米の需要減のペースを考えると十分でない。転作作物では、政府備蓄米が低調だった前年産から5割(1万1000ヘクタール)増えたが、備蓄米と並んで要となる飼料用米は大きく落ち込んだ。飼料用米の減少は前年産と合わせると2万ヘクタール近くに及ぶ。

 主食用米が過剰になれば、収穫後に米を市場から隔離して、その際の保管費用を助成する国の「米穀周年供給・需要拡大支援事業」も活用できる。しかし、隔離した米は翌秋以降に主食用市場に戻ってくるため、抜本的な対策にならない。

 今後は月末発表の10月15日時点の作柄概況に注目が集まる。9月時点では3割弱だった全国の刈り取り進捗(しんちょく)は8、9割で、精度は高い。作柄に加えて、取引価格や需要の動向などを踏まえて、農水省の食料・農業・農村政策審議会食糧部会で、20年産米の適正生産量が11月末に設定される。

 年10万トンとする米の需要減のペースがこのまま続くなら、堅調米価を保ち水田を維持するためには、非主食用米への転換がこれまで以上に必要となる。懸念材料もある。農水省は飼料用米などの直接支払交付金を、20年度から3年を基本とする複数年契約を結ぶことを交付要件とする方針を打ち出した。作付面積を確保し、実需者への安定供給につなげる狙いだが、作付け規模の複数年固定を敬遠する農家が出てくる可能性がある。

 政策転換後、県や地域再生協議会からは「生産量の目安通りに非主食用米を推進するのが難しくなっている」との声が上がる。各産地の調整を誰が担うのか。国の関与の在り方も含めて改めて検証が必要だ。年末に向けて20年産作付けの議論が進む。政策の課題を共有し、改善につなげる視点が欠かせない。

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