豊洲市場開場1年 販路開拓へ挑戦続けよ

 東京都中央卸売市場豊洲市場の開場から1年を迎えた。青果物の入荷量の前年同期と比べた増加率は、東京・大田市場を上回った。だが日量の取扱量は1000トンに満たず、目標の1300トンに達していない。市場の活性化は産地振興やブランド化にもつながる。実需への提案力を高め、販路開拓への挑戦を続けてもらいたい。

 豊洲市場が開場したのは2018年10月11日。18年10月中旬~19年9月の野菜の入荷量は前年同期比4%増で、果実は7%増えた。集荷力の強さで知られる東京・大田市場が野菜1%増、果実が前年割れだったのに比べると、順調な滑り出しといえる。

 果実ではミカン、かんきつ類、イチゴ、リンゴの入荷増が目立った。取扱金額の前年同期比は、野菜相場が大きく低迷する中、東京市場の全体平均や大田市場より落ち込み幅が小さかった。

 豊洲市場が一定の評価を得る形でスタートを切った背景には、手狭だった駐車場や荷さばきスペースを確保したことに加え、全国でも珍しい高機能施設を備えたことがあるとみられる。駐車場や荷さばきスペースを広げたことで、市場からスーパー各店舗の直送が可能になった。産地も「トラックの市場の滞留時間が短くなった」(東日本の産地)と評価する。トラックドライバー確保など物流上の課題がこれで全て解決したわけではないが、物流の改善に貢献した。

 全国でも数少ない閉鎖型施設を生かした定温管理への評価も上々だ。「トマトなど果菜類は、夏場の暑い中に放置されないため安心して出せる」(東日本の野菜産地)、「卸売市場到着後の冬場の凍傷のクレームは全くなく、夏場の傷みもほぼなかった」(西日本の野菜産地)など、品質劣化が少なくなったことを歓迎する声は多い。

 市場内に設けたスーパー対応の加工パッケージ施設の稼働も軌道に乗ってきた。開場半年は月間で約40万パック と目標の70万パック に満たなかったが、8月には目標に達し、スーパー対応が進む。同市場で営業する青果卸の東京シティ青果によると、一部の大手スーパーとの取引は2倍になったという。

 課題は、こうした産地や実需の評価を踏まえた上で、新たな販路をどれだけ広げられるかだろう。日量1300トンを取扱数量を確保するには、産地である川上と売り先である川下の両方の掘り起こしが急務だ。産地からは「大田市場に比べて圧倒的に取引先が少ない」「もっと提案を強めてほしい」との声もある。

 改正卸売市場法は来年6月施行され、市場間や卸売会社間の競争が一層激しくなる。国産青果物の卸売市場経由率は8割に上る。国民の食を預かる台所として、生産者からも消費者からも歓迎される新たな市場像を示してほしい。
 

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