20年農畜産物トレンド 「物流」1位 対応急務 「東京五輪」も上昇

 日本農業新聞がまとめた農畜産物トレンド調査で、2020年の販売キーワードを流通業者に聞いたところ、「物流」が1位となった。トラックドライバーの不足といった課題への対応が不可欠となる。オリンピック年を迎え、「東京五輪」は5位にランクイン。日本の食を広くアピールする機会と捉え、販売が盛り上がる。景気は悪化する見方が前年より減ったが、五輪後の冷え込みに警戒感がある。

 20年の農畜産物マーケットのキーワード(複数回答)を業者に尋ねたところ、今回新たに加えた「物流」が49%で最多だった。ドライバー不足や物流費の上昇を受けて、「農畜産物を産地から消費地に供給する上で大きな課題」(大手スーパー)とした回答が目立つ。コストの上昇分を産地、実需でどう共有するかに関心が集まり、「業界の垣根を越えた対応が必要」(花き卸)との声が上がる。

 2位は価格や数量の「安定」(47%)で今回も上位入り。「国内産地の生産量が減少し、自給率が低下している」(青果卸)など生産基盤を課題視する意見が目立った。農畜産物の供給に関わる「気象」も4位に入った。近年の気象災害の多発で、安定調達が難しくなっている背景がある。

 3位は「安全・安心」。輸入品の増大を受けて「国産の区別化で必須条件」(食肉メーカー)と受け止める。

 今夏開催の東京五輪・パラリンピックは5位と急上昇。「日本の食をアピールする絶好の機会」(大手米卸)と期待が大きい。農業生産工程管理(GAP)や危害分析重要管理点(HACCP)など食品のトレーサビリティー(生産・流通履歴を追跡する仕組み)確保を重視する。

 「輸出・インバウンド(訪日外国人)」も9位とランクアップ。「外需の盛り上がりを、五輪後につなげられるかが焦点」(食肉メーカー)。

 「簡便・時短」は前年と同じ6位。共働き・単身世帯の増加を踏まえ、変化する生活様式への対応が引き続き必要だ。

 「値頃感(節約志向)」は10位で、前年のトップ10圏外から上昇。消費税増税による節約志向も重なり、原料に安さを求める傾向が強まる。

 環太平洋連携協定(TPP)や日欧経済連携協定(EPA)、日米貿易協定が相次ぎ発効し、3割近い業者が輸入品を「増やす」と回答。牛・豚肉、乳製品、果実を扱う業者で調達意欲が高かった。

 景気の見通しについては、「やや良くなる」が28%で前年から16ポイント増えた。しかし、最多は「やや悪くなる」(38%)。オリンピックに向けて消費が盛り上がるが、「大会後は反動で冷え込む」(大手食品メーカー)との見方が多い。

 部門別のトレンドを見ると、野菜は調理が簡単で栄養価が高いブロッコリーの注目度が高い。伝統野菜や機能性で特色を持った品目の需要も高まる。果実の消費ニーズは高級路線と値頃感の二極化が進む。ブドウなど輸入果実の出回りが増え、国産との競合が激化しそうだ。

 米は良食味の「ゆめぴりか」や「つや姫」の存在感が高い。簡便調理ニーズを受け、包装米飯に引き続き注目が集まる。食肉は、銘柄和牛がオリンピックで外食向けの消費が盛り上がる。牛乳・乳製品は鮮度や産地指定のこだわり原料に商機を見る。花きは普段遣いでの消費拡大に期待が高まる。

<ことば> 農畜産物トレンド調査

 野菜、果実、米、食肉、牛乳・乳製品、花きの6部門で実施。スーパーや生協、専門小売店、外食、卸売業者などの販売担当者に対し、昨年11月中旬にアンケート用紙を配布。計169社から回答を得た。今年13回目。

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