転機の中国全人代 コロナ対策で融和図れ

 中国は22日、大幅延期となっていた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を開く。同国から広がった新型コロナウイルス感染が世界で猛威を振るう中で、「内憂外患」を抱えての全人代だ。コロナ禍の中で国際的な融和と協調こそが問われる。

 コロナ大恐慌が現実化する中で、全人代で中国発の感染をどう総括し、経済回復に向けてどういう政策指針を示し、どの程度の財政支出を行うのか。世界の注目はここに集中する。 

 コロナ禍も利用し国際的な立場を高めようとする戦略は、壁に突き当たっている。中国が進める「健康シルクロード」は世界経済戦略「一帯一路」の医療版だ。各国へのマスクや防護服の支援、医療チーム派遣などは「マスク外交」とも称される。一方で、コロナ後の中国の影響力浸透の動きに警戒も強まる。

 国際的な日程が続く中での転機となる全人代だ。最大の焦点は、大統領選を半年後に控えた米国で、対中政策が喫緊のテーマに急浮上したことだ。トランプ、バイデン両氏とも対中強硬姿勢を競い合う。米中対立の根底は、経済覇権を競う先進技術競争だ。加えて、コロナ禍を逆手に取った中国の外交攻勢である。大統領選が本格化する中で、中国批判が一段と高まるのは間違いない。既に米中対立の前哨戦は、18日からの世界保健機関(WHO)総会での台湾オブザーバー参加問題で起きた。

 一方、中国政府はオーストラリアの4社からの牛肉輸入停止に踏み切った。新型コロナの発生源の調査を巡る両国関係の悪化を反映したとの見方が強い。また、トランプ大統領は第1弾の米中合意に満足せず、一層の対中関税引き上げも示唆し始めた。対抗して中国が米国産農産物の購入などの約束を撤回すれば、貿易紛争は再び一触即発となる。農産物通商問題は、対日市場開放圧力に飛び火しかねないだけに警戒が必要だ。 

 中国の基本路線は、「二つの100年」を大きな区切りとする。来年2021年には中国共産党結党100年を迎える。約30年後の49年には建国100年。22年には北京冬季五輪も控える。こうした中で、経済力をテコに国際的な影響力を一挙に高めていく習近平中国指導部のシナリオは今、大きく揺らぐ。

 国内ではコロナ対応への批判を力で抑え込んでいる。再燃の兆しが見える香港の民主化運動には、今も高圧的な態度で臨んでいる。対外的には強硬姿勢を強める米国と対抗しつつ、国際的理解をどう深めるのか。こうした「内憂外患」の中で迎える全人代は、習近平主席にとって難しいかじ取りを迫られる。

 習政権は、感染抑え込みを共産党の指導力と社会主義制度の優位性の表れと繰り返すが、とても世界の理解を得られまい。コロナ禍で強権政治と国民への監視体制も一段と強まったとされる。全人代では、自己の正当化を抑え、国際協調路線を国内外に示すことこそが重要だ。

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