「恣意(しい)的な人事が起こるようなことは全くない」

 「恣意(しい)的な人事が起こるようなことは全くない」。14日の記者会見で安倍首相が断言したその時、「関白宣言」という歌が頭の中に流れた▼〈お前にはお前にしかできない事もあるから それ以外は口出しせず黙って俺についてこい〉。さだまさしさんが作詞作曲した。結婚後の立ち振る舞いを男が指図しているような歌詞が女性蔑視だと騒ぎにも。「根拠なき断定」が共に権威主義的に感じられ、重なったのだろう▼首相の発言は、検察庁法改正案を巡って。政治家をも逮捕・起訴する権限を持つ検察で、政権寄りの幹部だけが特別に役職定年を延長されるのでないか。そうした懸念への答えである。改正法の施行予定は再来年4月。首相はいつまで今の任にとどまる気かと突っ込みたくなった。延長の判断基準も未定である▼東京高検の黒川検事長の辞職で懸念は増す。違法行為をする人が、現行法の解釈を変えてまで特別扱いをするのに値したのかと。幕引きは許されない。政府が法解釈を勝手に変更できるなら国会は立つ瀬がない。改正案の扱いでは、懸念への対応が問われる▼さださんは後に「関白失脚」という歌を作った。尻に敷かれつつも、誠実に家族に尽くす世のお父さんへの応援歌。家族を国民に換えると、首相はどっちを歌うだろうか。

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