九州北部豪雨3年 地域想い弁当屋 復旧事業者に販売 福岡県朝倉市の住民

弁当を買い求める常連客(福岡県朝倉市で)

 3年前の九州北部豪雨で被害が大きかった福岡県朝倉市杷木松末(ますえ)地区で、地域住民が運営する地産地消の手作り弁当屋「ますえ想」が好評だ。真竹集落の住民ら約10人が、地域ににぎわいを取り戻そうと奮闘する。提供する弁当は復旧工事に携わる事業者の昼食を支えている。

 18世帯が暮らしていた集落は、豪雨で4世帯だけとなった。開店のきっかけは、同地区内の住民らで開く会議で「地元で皆が集まって何かやりたい」「にぎわいのある松末を取り戻したい」との意見が出たことだった。

 そこで注目したのは昼食事情。地区内では道路・河川などの復旧工事で地元の工事関係者らが集まるが、周辺に飲食店はなく、「お昼ご飯があれば喜ばれるのでは」と考えた。調理師や栄養士の資格を持つ住人らの力を借り、2019年5月に弁当屋「ますえ想」がオープンした。

 毎朝、地元の農産加工施設で女性らが調理。平日営業の一日3人態勢で勤務し、約50~60個を販売する。「から揚げ弁当」など、10種類のメニューがある。米や農産物をふんだんに使い、食材は住民からお裾分けされることもある。

 電話で予約を受け付け、数に応じて配達もする。今では隣接する東峰村の工事関係者や、市内に拠点を置く国土交通省の事務所からも注文が相次ぐ。

 4、5月は新型コロナウイルスの感染拡大防止で販売を休止していたが、6月に再開した。販売を待ち望んでいたという周囲の声は、住民らの活力になった。

 「ますえ想」の名前の由来は「松末を“想(おも)う”皆と一緒にいるから。平仮名にしたことで、松末をなじみやすくした。発起人の一人である小林藤一さんは「松末の火が消えないように、もう一度人々が集まる場所を築いていく」と意気込む。

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