豪雨1カ月の熊本 先が見えない… 復旧懸命 阻む猛暑

ハウスの解体作業を進めるJA支援隊(7月15日、熊本県あさぎり町で)

 熊本県を襲った豪雨から4日で1カ月がたつ。生活や営農の再建が、いまだ見通せない地域もある中、復興の足かせになっているのは35度に迫る連日の暑さだ。被災者は新型コロナウイルスの感染防止にも神経をすり減らす。県内の農業被害額は445億5600万円に達した。
 

修理費懸念 よぎる離農


 多くの住宅が浸水した人吉市中神町の大柿地区。住民は今も避難所生活を続ける。町会長も務める農家・一橋國廣さん(76)はメロンとキュウリを育てるハウスに泥が流入する被害に遭った。自宅は2階まで浸水。農機も全て壊れて、まだ修理中という。

 一橋さんはこの1カ月間、町会長の仕事にも骨を折った。JAグループ熊本の支援隊の協力で片付けだけは終えたが、営農再開は「何も見通せない」とこぼす。災害は孫を農業の後継ぎにする話が出ていた矢先だった。「農機の修理代が100万円を超えたら離農しようかと。今のままでは営農する気にはなれない」と肩を落とす。

 同町の花農家・松下慎吾さん(64)は出荷間際の夏菊など20アールが泥水にまみれた。畑は泥が20センチほど積もったままだが、暑さが復興作業を妨げる。人吉市内の最高気温は梅雨明け後、35度前後。松下さんは「泥のかき出しは冬まで見送ることになりそうだ」と話す。

 また、土砂崩れで3人が犠牲になった芦北町田川集落では道は通れる状況になったが、土が流入した水田の復旧などは手付かずだという。
 

出荷と並行 JAも支援


 JAくまでは7月中旬から、梨の出荷が始まった。露地栽培の「幸水」が最盛期だ。JAくま果樹研究会会長の平川哲郎さん(59)は「品質は問題ない。サイズも例年通りだ」と喜ぶ。JAによると全国的な品薄傾向で、単価は昨年比で1割高いという。

 農家は出荷の傍ら、復興作業を進めている。平川会長は「気温上昇で体力的に厳しさが増すのでは」と懸念。新型コロナ感染の再拡大も影を落とす。JAは室内で集まる機会を減らし感染防止に万全を期すが、農家は出荷作業だけに集中できない状況だ。

 農家やJA施設の復旧のため、JAグループ熊本は支援隊の派遣を続けてきた。JA熊本中央会・連合会など10の県域組織と、県内11JAの職員が8月7日まで延べ約1000人が参加。被害の大きかった3JA(やつしろ、くま、あしきた)管内で、泥かきや、ビニールハウスの撤去作業に当たる。

 JA熊本中央会・連合会農政・営農支援センターは「コロナ禍で広域では協力を求めにくい。複数回、支援に向かう職員も多くいる」と明かす。
 

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