広島で緑化フェア 花で広げる平和・癒やし

 花と緑に平和への祈りを込めた第37回全国都市緑化ひろしまフェアが23日、閉幕する。被爆から75年。直後は、75年間は草木が生えないといわれた広島市での開催は、花が平和の象徴であることを改めて示した。新型コロナウイルス禍で癒やし効果も再確認された。これを機に、花の魅力を全国に広げよう。

 緑化フェアは、復興を見守り続けた原爆ドームの眼前に広がる市民球場跡地と、その周辺をメイン会場に3月19日に開幕。テーマは「ひろしま はなのわ 2020『花笑(はなえみ)』ひろしまから花と笑顔と平和の わ」。開幕時には会場を300品種18万本の花で彩った。

 残念だったのはコロナ禍の直撃だ。オープニングセレモニーや県域で予定していたイベントは相次いで中止になった。また東京五輪・パラリンピックを想定し、世界中からの訪問に期待。メイン会場の他、フェアの中核を担う協賛会場を県内4カ所に、スポット会場を県内23全ての市町に設け、イベントを準備していた。しかし、十分なおもてなしができず、花き生産者や県民は悔しい思いをした。

 全国的にもイベントなどの自粛が長期化、卒業式や入学式、結婚式などの中止が相次ぎ、花きの消費が大きく落ち込んだ。こうした状況を受け、生産者を支援する取り組みが始まった。国や自治体、JAグループなどが街を花で飾る運動を推進し、花を購入する消費者の動きも出た。花を飾る家庭が増え、国民は、花で癒やされることを認識。フェアのテーマだった「花笑」の輪が全国に広がった。

 自然災害が恒常化、甚大化する中で、食料供給とダム機能など多面的機能の両面から、命を守る農業への期待が高まっている。さらにコロナ禍で、花の持つ癒やし効果が見直された。

 一方、核兵器保有国による核軍縮の動きは停滞。危機感を強めた非保有国や広島・長崎の被爆者、非政府組織(NGO)などの努力で、核兵器禁止条約が来年1月発効する。だが唯一の戦争被爆国の日本は参加しない方針だ。こうした中、緑化フェアが被爆地・広島で開催された意義は大きい。あふれるような花と緑に、復興を成し遂げた県民の力と平和への願いを感じた。

 農水省によると、2018年の全国の花きの作付面積は約2万6000ヘクタール、産出額は約3600億円で、農業産出額の4%を占める。花きの産出額は、1998年の約6300億円をピークに減少し、10年以降は横ばいで推移。重油の高騰や東日本大震災などを乗り越えてきた。

 そして今年、コロナ禍に襲われた。厳しい中だが、平和と癒やしのメッセージを込め、業界挙げて花きを供給し続けてほしい。また消費者は家庭や職場などに飾り、それを受け取ろう。

 次回の緑化フェアは熊本県で22年春に開催される。熊本地震や水害など苦難続きだが、花を通して“がまだす(頑張る)”力を見せてほしい。
 

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