米の需給改善対策 “地域ぐるみ” 後押しを

 政府・与党は、主食用米の需給改善対策を今月まとめる見通しだ。焦点は地域ぐるみの取り組みをどう後押しするか。非主食用米への転換をはじめ水田農業のあるべき姿を地域で描き、実践。実効確保へ国は支援を拡充する。両者の歯車がかみ合うことが危機を突破し、食料自給率向上へと前進する鍵となる。

 主食用米は、2020年産の過剰作付けや新型コロナウイルス禍による消費減少で民間在庫が増加。需給が緩和し、価格が下がるとの見方が強い。以前、過剰在庫を抱え、13、14年産にかけての2年間で米価が60キロ4000円超下落、一定の回復まで3年かかった経緯がある。

 米価の大幅下落は農家の経営を圧迫し、生産基盤の弱体化と食料供給の不安定化を招く恐れがある。生産基盤を強化し、自給率の向上を目指す食料・農業・農村基本計画の実践がつまずきかねない。国民全体にとっても避けるべきシナリオだ。

 需給と価格の安定には、21年産で40万トン近い減産が必要だ。5%の生産調整強化に当たる。JAや行政、農家、農業法人、集荷業者、実需者など関係者で危機感を共有し、一体で取り組むことが求められる。これは、JA全中などが18日に予定していた「将来の水田農業に向けた全国農政フォーラム」の趣旨といえる。中止にはなったが、改めて重要性を確認したい。

 大切なのは、主食用米の削減だけを目的にするのではなく、地域の水田農業の課題を把握し、その解決を通して手取りを最大化し、農業者の所得向上につなげる前向きな思考である。

 具体的には、用途別需要に応じた主食用米の作付けと、転作での①非主食用米や麦・大豆、野菜などの作付け②水田活用の直接支払交付金などの助成金③団地化や組織化といったコスト削減の取り組み──などを総合的に検討。水田フル活用ビジョンや産地の計画に落とし込む。課題解決や産地形成には時間が必要で、あるべき姿を見通した3年分程度の策定が望まれる。

 これらは米政策改革の方向と重なる。しかし2度の政権交代に伴う政策転換を経て、生産調整は農家の経営判断の自由度が高まる一方、「地域ぐるみ」との位置付けが後退。過剰作付けが続く要因の一つといえる。

 政府・与党に求められるのは、経営判断としての「地域ぐるみ」への参加を促す政策支援などである。JAグループの政策提案にあるように、非主食用米に転換するインセンティブ、特に主食用米との手取り格差の是正が不可欠だ。輸出向けなど実需者ニーズに対応する産地への新たな支援も重要である。支援の拡充と併せ、JAや集荷業者などが、米の用途転換や交付金のプール精算を必要に応じて行えるようにする仕組みも要る。

 コロナ禍による外出やイベントの自粛、外食店の休業などで多くの農畜産物で需要が減少した。米も同様で、過剰感の一因になっている。対策が必要だ。

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