食品ロス削減 飢餓減らす意識持とう

 食べられるのに捨ててしまう「食品ロス」は資源の無駄遣いであり、食料不足で苦しむ人々の食生活の悪化につながる。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で、飢餓人口の増加が懸念されている。食品ロスを減らす取り組みを一層加速しなければならない。食料輸入大国、日本の責務だ。

 国連は2015年に採択した持続可能な開発目標(SDGs)で、30年までに世界の食料廃棄を半減させるとしている。これを受け政府は、昨年成立した食品ロス削減推進法などを基に同年度までの半減を目指す。

 食品ロスは、日本だけで612万トン(17年度)に上る。前年度より31万トン減ったが、政府が推計を始めた12年度以降、600万トンを超え続けている。国連世界食糧計画(WFP)による食料援助量の1・5倍近い。半減には、本腰を入れた取り組みが必要だ。

 食品ロスには、事業活動に伴って発生する事業系と、各家庭から発生する家庭系の二つがある。削減するには、それぞれで減らす取り組みが必要だ。

 事業系は328万トンで、原因の一つに食品業界の商慣習がある。例えば、賞味期間の3分の1以内で小売りに納品する「3分の1ルール」。それを過ぎると、卸などは賞味期限までに期間があっても納品しにくい。政府はこうした慣習の見直しを求めており、少しずつ改善されている。しかし、流通経済研究所の調査では、改善に取り組んでいるのは大規模な小売り事業者がほとんどで、中小ではあまり進んでいない。

 また賞味期限の1日単位(年月日)表示から、月単位(年月)に切り替える「大くくり化」も遅れている。大くくり化は、在庫品よりも賞味期限が前の商品を納品しにくい商慣習の改善と、賞味期限内でも日付が先のものを消費者が選ぶのを防ぐのが狙いだ。しかし、実践は大企業の食品製造事業者が中心で、中小の取り組みが課題となっている。

 政府は中小事業者への指導と支援を急ぐ必要がある。中には、経費負担や販売不振を懸念する経営者もいる。政府は「粘り強く啓発していく」(農水省)としているが、効果的な支援対策も考えるべきだ。

 消費者の意識改革も欠かせない。17年度の家庭系の食品ロスは前年度より7万トン減ったが、284万トンもある。賞味期限を過剰に意識するような購買行動は、避けなければならない。食べきれない「過剰購入」も慎むべきだろう。

 WFPによると、世界では7億近い人々が飢餓に苦しんでいる。今年は新型コロナウイルスの感染拡大で「2億7000万人が飢餓のパンデミック目前」と指摘。「最大のワクチンは食料だ」と、支援を呼び掛ける。

 多くの食料を輸入に頼る日本は、政府と業界、消費者が一体となって食品ロス削減の成果を上げるべきだ。
 

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