緊急事態再発令 暮らし・雇用守る支援を

 政府は7日、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言の再発令を決める方針だ。首都圏の1都3県が対象。医療崩壊と全国的なまん延を防げるかどうかの瀬戸際である。官民一体で感染防止対策を徹底しなければならない。それには事業と雇用、暮らしを守る国の十分な支援が不可欠だ。

 政府の対策分科会は5日、首都圏の埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県はステージ4(爆発的感染拡大)相当の対策が必要な段階と指摘。首都圏の感染が沈静化しなければ「全国的かつ急速なまん延のおそれもある」と危機感を示し、宣言の発令を提言した。菅義偉首相は既にその方針を表明しているが、専門家の裏付けを得た格好だ。

 政府の対応は今回も、観光支援事業「GoToトラベル」の一時停止と同様に「後手」と「受け身」になったと言わざるを得ない。宣言の発令に首相は慎重だった。しかし昨年大みそかに東京都の新規感染者数が初めて1000人を超え、先の3県でも最多を更新。1都3県の知事から1月2日に発令の検討要請を受け、方針を転換した。

 特措法の改正でも同じだ。全国知事会は昨春、休業要請などの実効性を担保する法改正を提言。野党も12月初めに改正案を提出した。政府は事態収束後との考えだったが、軌道修正。給付金と罰則をセットにした改正案を検討し通常国会に提出するとして、与野党協議に入った。

 今回の宣言に基づく対策として分科会は①飲食店の営業時間短縮の前倒しや要請の徹底②不要不急の外出・移動の自粛、テレワークの徹底、イベントの開催要件の強化──などを挙げる。前回の教訓として分科会の尾身茂会長は12月25日の記者会見で、事業者に要請を守ってもらうにはしっかりしたインセンティブが必要との認識を示した。

 また新型コロナ感染拡大に関連した解雇や雇い止めは昨年、累計で8万人近くに上る。

 首相は1月4日の会見で、感染を減少に転じさせるには「国、自治体、国民が同じ方向に向かって行動することが大事だ」と語った。それには、時短営業に応じた飲食店への協力金を含め十分な対策を先手先手で実施することが重要である。

 一環として政府は、農畜産物の需給や価格、農業経営への影響を注視し、必要なら対策を拡充すべきだ。昨年4~5月の宣言下では、飲食店をはじめ業務需要が落ち込み、和牛枝肉や切り花などの価格が下落。宣言解除以降は持ち直してきた。しかし忘年会や新年会の自粛、時短営業が行われ、また今回は宣言の対象地域と対策が限定的とはいえ、1都3県は日本の人口の約3割を占める大消費地だ。影響が懸念される。

 他の道府県も感染防止対策の徹底が必要だ。前回は当初、7都府県に宣言を発令したが、感染拡大が止まらず全国に拡大した。その轍(てつ)を踏んではならない。

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