農泊地域の支援拡充 ワーケーションに対応 農水省
2021年02月19日
農水省は2021年度から、農泊に取り組む地域への支援を拡充する。新型コロナウイルス禍による需要の変化を受け、旅先で休暇を楽しみながら仕事をする「ワーケーション」の受け入れ環境の整備や、地域の食や景観を活用した集客を後押しする。インバウンド(訪日外国人)が減る中、地域がより多様な需要に対応できるようにして集客力を高める。
同省によると、農泊に取り組む地域の19年度の宿泊者数は延べ約589万人で、17年度比で2割増えた。コロナ禍を受けて民間事業者が都市住民に行った調査では、6割が3密を避けて農山漁村への旅行を希望。旅行目的としてワーケーション(テレワークなど含む)を挙げる回答も3割に上っている。
こうした情勢に対応し同省は21年度予算案に98億円を計上した農山漁村振興交付金の内数で、「農泊地域高度化促進事業」を用意した。ワーケーションの環境整備には半額を助成。受け入れ施設に導入する机や椅子、Wi―Fi、コロナ感染対策のアクリル板などが対象となる。農業体験など、利用者が休暇中に楽しむ活動をPRする費用も対象だ。
地域の食や景観を生かして集客するための費用も、半額助成する。地場産食材を使った統一メニューの開発、地域の農業遺産を巡るための自転車や看板の整備といった費用が対象となる。①ワーケーション②食③景観──のうち、1項目取り組む場合の助成上限額は100万円。2項目以上取り組む場合は同150万円とする。
同交付金では17年度から、農家や宿泊業、市町村などでつくる協議会に対して「農泊推進事業」で農泊の体制づくりを支援している。この事業を活用し終えた協議会が、今回の支援対象となる。支援を活用する期間は1年か2年で、協議会で選ぶ。
インバウンド向けのキャッシュレス化や外国語への対応などの費用も、200万円を上限に引き続き支援する。インバウンド向けの支援を活用する場合、他の項目の支援は受けられない。
農山漁村に宿泊し、その地域ならではの食材や農業、文化、自然環境などを活用した食事・体験を楽しむ旅行のこと。宿泊を伴うことで滞在時間が長くなり、地域が得られる利益も大きくなる。農水省の支援策を活用した農泊実践地域数は全国で554。
同省によると、農泊に取り組む地域の19年度の宿泊者数は延べ約589万人で、17年度比で2割増えた。コロナ禍を受けて民間事業者が都市住民に行った調査では、6割が3密を避けて農山漁村への旅行を希望。旅行目的としてワーケーション(テレワークなど含む)を挙げる回答も3割に上っている。
こうした情勢に対応し同省は21年度予算案に98億円を計上した農山漁村振興交付金の内数で、「農泊地域高度化促進事業」を用意した。ワーケーションの環境整備には半額を助成。受け入れ施設に導入する机や椅子、Wi―Fi、コロナ感染対策のアクリル板などが対象となる。農業体験など、利用者が休暇中に楽しむ活動をPRする費用も対象だ。
地域の食や景観を生かして集客するための費用も、半額助成する。地場産食材を使った統一メニューの開発、地域の農業遺産を巡るための自転車や看板の整備といった費用が対象となる。①ワーケーション②食③景観──のうち、1項目取り組む場合の助成上限額は100万円。2項目以上取り組む場合は同150万円とする。
同交付金では17年度から、農家や宿泊業、市町村などでつくる協議会に対して「農泊推進事業」で農泊の体制づくりを支援している。この事業を活用し終えた協議会が、今回の支援対象となる。支援を活用する期間は1年か2年で、協議会で選ぶ。
インバウンド向けのキャッシュレス化や外国語への対応などの費用も、200万円を上限に引き続き支援する。インバウンド向けの支援を活用する場合、他の項目の支援は受けられない。
<ことば> 農泊
農山漁村に宿泊し、その地域ならではの食材や農業、文化、自然環境などを活用した食事・体験を楽しむ旅行のこと。宿泊を伴うことで滞在時間が長くなり、地域が得られる利益も大きくなる。農水省の支援策を活用した農泊実践地域数は全国で554。
おすすめ記事

熊本地震から5年 復旧の歩みに隔たり 営農本格化 工事「足踏み」 南阿蘇村、山都町
14日と16日に、2度の震度7を記録した熊本地震から5年がたつ。土砂崩れや地割れで被災した農地は多くが復旧し、営農再開を果たした。熊本県南阿蘇村では土砂に埋もれた棚田を大区画に整備。一方で山都町では復旧が遅れ、あぜなどの工事の3割が未完了だ。生産者の中には自ら補修し営農を続けている人もいる。(岩瀬繁信)
南阿蘇村乙ケ瀬地区の棚田は、2016年4月16日の地震で、大規模な土砂崩れが起きた。水稲を栽培する藤原三男さん(73)は、「50年、耕した水田が一瞬でなくなった」と振り返る。
おいしい米ができるよう土づくりに力を入れ、若い頃は堆肥を牛の背中に載せて運んだ。10年前には山の湧き水を導く水路も整備したが、地震で土砂と一緒に崩落した。
個人で建てたライスセンターは、乾燥機8台のうち3台が駄目になった。「残りもメーカーが直せるか分からないほどめちゃくちゃだった。廃棄すると思ったら涙が出た」と話す。
米作りを「やめようか」と思ったが、幸い建物は無事だった。被害を免れた水田で田植えもできた。稲刈り後に必要になる調製施設は、壊れた部品を交換し、毎日少しずつ復旧作業を続け、収穫に間に合わせた。
16年秋、藤原さんら地区の住民は棚田復旧の協議を始めた。以前から区画整理が必要と話しており、災害を機に大区画化を進めると決めた。県や国、村の支援で26ヘクタールの工事を開始。以前は1枚数アールの水田もあったが、20~30アールに広がった。
藤原さんは「大きな機械も格段に入りやすくなった」と喜ぶ。20年に一部で田植えが始まり、21年は全面を植える。来年のことは分からないが、「元気なうちはこの土地で米を作り続ける」と藤原さんは決意する。
熊本県は、農家の営農再開率を21年3月末で100%とする。一方で農道や水路などの復旧工事は完了率が86%。地域差が大きく、16年6月に豪雨の被害が重なった山都町は69%にとどまる。
棚田が広がる山都町白糸地区は、工事完了率が56%。水稲を2・7ヘクタール作る岩崎邦夫さん(78)は、崩れたあぜや水路11カ所で工事を申請したが、完了はまだ2カ所だけだ。「先祖が守った土地を荒らすわけにはいかない」と話し、早期の工事完了を訴えている。
工事が進まない中、地区では多くの生産者が農地を自身で補修して営農を続ける。
山下徹さん(50)は、崩れたあぜの内側に簡易のあぜを設置し、採種用の米を作る。山都町は県の主食用米種子の半分以上を生産していて「作り続ける責任がある」と、山下さんは力を込める。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年04月14日

栗山千明さん(女優) レンコン映画に悪戦苦闘
私が生まれ育った茨城県は、レンコンの生産日本一なんです。
でもそのことを知ったのは、大人になってから。私の住んでいたところに農地はなく、ちょっと遠出してレンコン畑があると、親から「落ちたらダメだよ」と言われたことを覚えています。
今回、加賀レンコンを題材にした映画『種まく旅人~華蓮のかがやき~』に出演させていただきました。レンコン農家の生き方を描く作品で、畑に入っての撮影シーンもありました。
覚悟はしていたんです。埋まってしまう、思うように動けない。事前に知っていましたので、これは大変だぞと思いながら入ったんですが、やっぱり。
このせりふを言う時にはこの動きを……と思って体を動かすんですが、いざやってもできないもどかしさが。
農家の苦労実感
畑の真ん中で、撮影のセッティングを待つこともありました。普通なら一回上がって待つのでしょうけど、端まで行くのが大変なんです。ですからスタッフの方に「私はここにいます」と言って残るんですが、どんどん足が埋まっていって動けなくなってしまうんです。それを防ぐため、たまにもじもじ動いてみたり。農家の方のご苦労に頭が下がりました。
私は初めて畑に入るという設定の役でしたから、慣れていなくても成立します。私のあたふたしている様子が、ナチュラルに映っていると思います。
金沢での撮影というと、夜はおいしい魚を食べたんだろうと思われるでしょうが、残念なことに違うんです。夜のシーンの撮影がたくさんありましたし、宿泊しているところから繁華街が遠い上、朝早くから撮影が始まりましたので、食べに行けませんでした。前に舞台で金沢に行った時は、いろいろ食べられたんですが。
地元野菜を堪能
その代わり今回は、地元の方々がレンコンをはじめ野菜を使った料理を振る舞ってくださいました。面白い上においしかったのは、レンコンをすりおろしてお好み焼きに入れたもの。他にも、言われないとレンコンだと分からない料理がいくつも出てきました。
子ども時代は、レンコンはきんぴらとか煮物とかでしか食べたことがなかったんです。おいしい食べ方がいろいろあるんだと、初めて知りました。
『種まく旅人』はシリーズ化され、今回が4作目。私が出演するのは2作目ですけど、おかげで食に対する探究心が強まりました。
もともと日本食派なんです。ご飯が大好き。おそば、うどんも好き。茨城生まれですから、納豆は常に冷蔵庫に入っています。あと、生ものが好きなんですよね。魚、貝、鶏のささ身。野菜もそのまま生で食べるのが好きです。セロリとかは、マヨネーズも何も付けずにバリバリと食べます。
生でいただくのが好きだから、料理が上達しないという欠点があるんですが。
仕事で海外に行くことはあっても、海外旅行には興味を持てません。観光は楽しめても、長くいられないんです。「あー和食を食べたい」という気持ちになるから。日本に帰ってきたら、真っ先に刺し身を食べたくなります。
以前、舞台の仕事で金沢に行った時は、おいしい刺し身に感動しました。今回は加賀野菜の素晴らしさを知ることができました。次に金沢に行くことがあったら。ゆっくりと魚と野菜をいただきたいと思っています。(聞き手=菊地武顕)
くりやま・ちあき 1984年茨城県生まれ。モデルを経て、99年に映画『死国』で女優デビュー。『バトル・ロワイヤル』(2000年)での演技がクエンティン・タランティーノ監督を魅了し、同監督の『キル・ビルVol.1』(03年)に出演した。『種まく旅人~華蓮のかがやき~』は3月26日石川県先行上映、4月2日公開。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年03月06日
気の利いた言葉を残せたら、後悔だらけの人生も少しは救われる
気の利いた言葉を残せたら、後悔だらけの人生も少しは救われる▼「北の国から」(フジテレビ)で主役を演じ、先月88歳で亡くなった田中邦衛さんのせりふが、胸を打つ。「金なんか望むな。倖(しあわ)せだけを見ろ。ここには何もないが自然だけはある。自然はお前らを死なない程度には充分毎年喰(く)わしてくれる。自然から頂戴しろ。そして謙虚に、つつましく生きろ。それが父さんの、お前らへの遺言だ」(『北の国から2002遺言』)▼北海道勤務時代、舞台となった富良野市に何回足を運んだろう。東京が嫌になった男が故郷に帰って、自然の中で生きる。脚本を書いた倉本聰さんから、「一番情けない」印象だったことで主役の黒板五郎役に選ばれた。あまりにぴったりの役だった。今も憧れる▼昭和という時代がどんどん遠ざかる。大きな足跡を残し、訃報が続く。NHK連続テレビ小説「おしん」の脚本を書いた橋田寿賀子さんが、今月亡くなった。享年95。貧乏のどん底からはい上がる女性一代記の名は、「辛抱のしん」などから生まれたと聞く。両親と別れ、筏(いかだ)に乗って最上川を下る場面は、涙が止まらなかった▼きょうは遺言の日。どんな言葉を残そうかと考えながら、お二人のご冥福を祈る。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年04月15日
農業遺産と里山システム 農村は可能性の宝箱 農業ジャーナリスト 小谷あゆみ氏
地域伝統の持続可能な農業システムを評価する「日本農業遺産」に、今年新しく7地域が加わりました。これは国連食糧農業機関(FAO)による「世界農業遺産」の基準にのっとって国が定めているもので、世界および日本の「農業遺産」は、30地域に上ります。この農業遺産で最も特筆すべきは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)17目標の全てに貢献する点です。
そもそもSDGsが国連で提唱されるに至った背景には、世界的な科学者グループによる「プラネタリーバウンダリー(人間の活動が『地球の限界』を超えつつある)」という概念が元になっているのですが、そうした自然共生社会へ世界一丸となってかじを切る先駆けとしてFAOが提唱したのが「世界農業遺産」なのです。
日本初の世界農業遺産として2011年、石川・能登と新潟・佐渡を申請登録する道筋を作った専門家会議委員長で、公益財団法人地球環境戦略研究機関理事長の武内和彦氏は、先日の認証式で、「自然資本の健全性はSDGs達成の基礎であり、国連では、家族農業の振興や生態系の回復(エコシステム)を掲げている」と講演しました。世界的な環境学者である武内委員長は、10年に開かれた第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)で、日本における自然共生型モデルを「SATOYAMA」として国際社会に広めたことでも知られています。
農業を持続可能なものにすることは、いま議論されている「みどりの食料システム戦略」のテーマです。
日本農業遺産や里地里山に注目が集まれば、伝統的な農業や美しい景観が評価され、農村にやる気が生まれ、経済や地域の活性化につながります。
ところで、今年認定された7地域のうち、特に時代を表していると感じたのは、兵庫県・南あわじの水稲・タマネギ・畜産システムと、宮崎県・田野清武地域の干し野菜システム(名称略)です。いずれも「耕畜連携」が環境や生産に貢献しているという評価で、これは国の畜産の未来を考える上でも希望となるものです。
農業遺産はどれも生産性、大規模、新技術の真逆にありますが、地域の個性が輝き、継承者が誇りを持っています。実はこれが一番の宝で、農泊、観光、商品開発、教育や人材育成につながっています。
プレーヤーが楽しそうに取り組む地域には、人を呼び込む力があります。まず農村に必要なのは、郷土への愛着や誇りではないでしょうか。循環型の里山ライフスタイルは、SDGsの根底に通じます。本当はどんなむらも、可能性の宝箱なのです。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年04月13日
輸出基本方針を改正 マーケットイン型へ転換 政府
政府は9日、農林水産物・食品輸出促進法に基づく基本方針を改正した。昨年11月にまとめた、輸出拡大に向けた実行戦略を反映。相手国の需要に応じたマーケットイン型の輸出への転換を強調した。各国の需要や規制に対応した「輸出産地」の育成や、生産から輸出までの事業者を束ねた「品目団体」の組織化などを盛り込んだ。
輸出産地については、輸出事業計画の認定を通じ、産地ごとの目標や課題、対策を明確化する。……
2021年04月10日
農政の新着記事
酪農ヘルパーに外国人材 「特定技能」 派遣で実証 北海道
北海道は、在留資格「特定技能」を取得した外国人を酪農ヘルパー利用組合に派遣する全国初の実証試験を始める。日替わりで複数の酪農家を回るヘルパーが特定技能の仕事にふさわしいかを見極め、適正な受け入れを道農政部とJA北海道中央会が探る。労務管理や、外国人材の技術・知識の向上につなげながら、酪農ヘルパーの人手不足対策としたい考えだ。(尾原浩子)
道中央会によると、特定技能の外国人が酪農ヘルパーになるのは全国に例がない。……
2021年04月15日
米トランプ政権時に輸入 トウモロコシどこに? 275万トン→実は6万8000トン
あのトウモロコシはどこに──。
14日の衆院農林水産委員会で、2019年8月に安倍晋三首相がトランプ米大統領(ともに当時)に輸入の意向を伝えた米国産トウモロコシの行方を巡るやりとりがあった。
質問者は立憲民主党の亀井亜紀子氏。「前から疑問だが」と前置きすると、「トランプ政権の時にトウモロコシを緊急輸入したかと思うが、どこに行ったのか」と尋ねた。
これに対し葉梨康弘農水副大臣は、19年7月に国内で害虫のツマジロクサヨトウを確認し、食害による飼料不足の懸念が生じたと説明。そこで、農畜産業振興機構の「飼料穀物備蓄緊急対策事業」で米国産を手当てしたと改めて答弁した。
当該トウモロコシの行方について、葉梨副大臣は当初、「国内で保管されて、使用されたということだ」と答弁。だが、直後に「国内で保管されたということだ」と言い直し、輸入後に使われたかどうかは言葉を濁した。
本紙の取材に対し、農水省は「同事業では報告を求めているわけではないが、順次使用されたと考えている」(飼料課)と説明する。輸入量は当初、最大275万トンと想定したが、結果的に害虫の被害が懸念ほど拡大せず、約6万8000トンに収まったという。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年04月15日
原発処理水 海洋放出を決定 風評被害を懸念 農業関係者落胆「極めて遺憾」
政府が13日、東京電力福島第1原子力発電所から出る放射性物質トリチウムを含む処理水を海洋放出する方針を決めたことを受け、福島県の農業関係者からは、落胆と同時に風評被害を懸念する声が上がった。JA福島五連の菅野孝志会長は「福島県の第1次産業に携わる立場として極めて遺憾である」とコメントを発表した。
JA福島県青年連盟の手代木秀一前委員長は、「われわれの思いが反映されなくて残念」と無念さをにじませる。県青年連盟は、国が処理水の処分方法に関するパブリックコメントを募集していた際に、海洋放出などには反対し、トリチウム分離のための技術開発への支援を要望していた。
県内の農家が懸念しているのが農畜産物への風評被害だ。手代木前委員長は「これ以上の風評被害が起きないことを祈るが、いろいろな対策をしても風評被害は起こるのではないだろうか。県産農産物の競争力が落ちないか心配だ」と今後を懸念する。
菅野会長は「政府が説明する風評被害の発生抑止対策には具体性がない」と指摘した。
事故後10年経過した現在も農林水産物の風評被害が継続している実態から、「処理水の海洋放出は海産物ばかりでなく、県農林水産業の衰退が加速するとともに、風評被害が拡大することは確実」とした。
これに加えて「一層の研究開発により、放射能物質の完全除去ができる技術開発を進めるとともに、その間は貯蔵タンクの増設などにより本県農林水産物の安全・安心情報を守るよう切望する」と表明した。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年04月14日
農地特区延長を可決 付帯決議「効果明らかに」 衆院特別委
衆院地方創生特別委員会は13日、兵庫県養父市で認めている一般企業による農地取得の特例措置の期限を2021年8月末から2年間延長する国家戦略特区法の改正案を、自民、公明、維新の各党の賛成多数で可決した。だが、特例の必要性や効果を巡る政府の説明には、与野党から疑問が続出。特例の効果を明らかにすることなどを政府に求める付帯決議を採択した。
特例の活用状況について農水省は、21年1月末時点で農地を取得した企業は6社、取得面積は計1・65ヘクタールだと説明。割合は経営面積全体の約5・5%で、残りは既に全国で解禁しているリース方式だとした。1社は19年3月から休業し、取得農地は農業利用されていないとも指摘した。
一方、内閣府は、……
次ページに付帯決議のポイント(表)があります。
2021年04月14日
法人議決権緩和 規制改革WG内でも異論 優良農地支配を懸念
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)が関心を示す農地所有適格法人の議決権要件緩和を巡り、同WG委員の農業経営者から否定的な意見が相次いでいたことが議事録から分かった。要件を緩めた場合、農業関係者以外の資金力がある出資者に農地を支配されかねないなどの指摘が出た。身内からも異論が噴出したが、同会議は要件緩和を迫る姿勢を崩していない。
資金調達円滑に→経営権脅かす
こうした指摘が出ていたのは3月5日のWG会合。……
2021年04月11日
改正種苗法施行 海外持ち出し制限 初公表 シャインなど1975品種 農水省
農水省は9日、品種登録した品種(登録品種)の海外流出防止を目的とする改正種苗法の施行に伴い、海外への持ち出しを制限する1975品種を公表した。1日の施行後、公表は初めて。ブドウ「シャインマスカット」や北海道の米「ゆめぴりか」など、いずれも同法施行前に品種登録済み・出願中だった品種で、届け出に基づいて「国内限定」の利用条件を追加した。
野上浩太郎農相は同日の閣議後記者会見で「税関とも情報共有し、わが国の強みである新品種の流出を防ぎ、地域農業の活性化につなげていきたい」と述べた。
1日に施行された改正種苗法は、品種登録の際に、栽培地域を国内や特定の都道府県に限定する利用条件を付けられるようにした。「国内限定」の第1弾の品種は、農研機構や42道府県が開発した米や果実が中心だ。同省によると、国や県など公的機関が開発した登録品種の9割が「国内限定」となった。
米では青森県の「青天の霹靂」や新潟県の「新之助」、果実では石川県のブドウ「ルビーロマン」や福岡県のイチゴ「あまおう」、愛媛県のかんきつ「紅まどんな」などが含まれる。今後、民間の種苗会社の品種も含めて、順次追加する。
条件に反して海外に持ち出した場合、個人なら10年以下の懲役や1000万円以下の罰金、法人なら3億円以下の罰金が科される。流通の差し止めや損害賠償といった民事上の措置も請求できる。
同省は、同法施行の経過措置として、施行前に品種登録済み・出願中だった品種も、「国内限定」などの利用条件を追加できるようにしていた。9月30日まで届け出を受け付ける。一方、今後、品種登録する品種は原則として「国内限定」とするよう開発者に促す。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年04月10日
輸出基本方針を改正 マーケットイン型へ転換 政府
政府は9日、農林水産物・食品輸出促進法に基づく基本方針を改正した。昨年11月にまとめた、輸出拡大に向けた実行戦略を反映。相手国の需要に応じたマーケットイン型の輸出への転換を強調した。各国の需要や規制に対応した「輸出産地」の育成や、生産から輸出までの事業者を束ねた「品目団体」の組織化などを盛り込んだ。
輸出産地については、輸出事業計画の認定を通じ、産地ごとの目標や課題、対策を明確化する。……
2021年04月10日

産地交付金の「県枠」拡大 飼料用米支援広がる
農水省は2021年産から、米の転作を支援する「産地交付金」のうち、都道府県段階で助成内容を決める「県枠」の割合を拡大した。これを活用し、県単位で飼料用米など非主食用米への支援を拡充する動きが出ている。米主産県では前年からの作付け拡大や、直播(ちょくは)をはじめ生産性向上を要件にした助成などの検討が進む。
同交付金は転作助成金の「水田活用の直接支払交付金」のうち、県や地域協議会で使途を決めるもの。……
2021年04月09日

霞が関から新動画 農水省職員・人気ユーチューバー復活
動画投稿サイト・ユーチューブの農水省公式チャンネル「BUZZ MAFF(ばずまふ)」で一番人気のコンビ「タガヤセキュウシュウ」が再始動する。九州農政局の若手2人で結成し、ばずまふ最多の再生回数を誇るが、1人が東京の本省に異動となり、離れ離れに。だが4月から“相方”も東京に異動。8日、活動再開を報告する動画を投稿した。
コンビは九州農政局で同僚だった野田広宣さん(27)と白石優生さん(24)が2020年1月に結成。同年3月、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ花きの消費拡大を呼び掛ける動画を投稿すると、時間がたつに連れて2人が花に埋もれていく演出が話題を呼んだ。再生回数は88万回で、ばずまふの400本超の動画の中で最も多い(21年4月現在)。
この続きは日本農業新聞の紙面またはデータベースでご覧ください。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年04月09日
野菜需給調整 補填引き上げ 平均価格の7割 農家負担は軽減
農水省は2021年度、主要野菜の緊急需給調整事業を大幅に見直した。市場価格が大幅に下落した場合、出荷調整に取り組む生産者への補填(ほてん)水準を市場平均価格の7割に引き上げた。国と折半で造成してきた資金の負担割合も2割に軽減。生産者に手厚い内容で活用しやすくし、野菜相場の安定につなげる。
事業はダイコン、ニンジン、キャベツ、レタス、ハクサイ、タマネギの6品目が対象。……
2021年04月08日