東日本各地で凍霜害 雌しべ枯死広範 山形・サクランボ

雌しべが枯死していないか確認して回る秋場部会長(14日、山形県寒河江市で)

 先週末の関東から東北にかけての広い範囲で発生した冷え込みの影響で、果樹を中心に各地で凍霜害が出ている。特に国内生産量の7割を誇る山形県のサクランボでは広い範囲で雌しべが枯死し、作柄への影響が懸念されている。

 山形県天童市の大町さくらんぼ園では「紅秀峰」を中心に被害を受けた。武田章代表は「近年ない規模での凍霜害。生育が前進し、花が咲きかけていた」と話す。防霜ファンを回したが、氷点下4度近くまで冷え込み、被害が避けられなかった。「昨年はコロナ、今年は凍霜害と生産者にとっては厳しい年が続く」と嘆く。
 

十分な対策も…サクランボ直撃 想定外の低温 肩落とす


 全国随一のサクランボ産地である山形県では、低温による凍霜害で、生産者が悲鳴を上げる。白い花の中、緑色に伸びているはずの雌しべが茶色に染まり、枯死が相次いで確認された。産地は残る雌しべを守り、確実に受粉できるように対策を呼び掛ける。(高内杏奈)
 

残った雌しべ「受粉確実に」


 出荷量が上位の東根、天童、寒河江の各市では、3月から気温が高く降水も少なかったため、サクランボの発芽は平年より5日程度早まっていた。10日から11日未明にかけて最低気温がマイナス4度近くに下がり、長時間の低温が影響。開花直前という最も霜に弱い時期に低温・降霜が重なり、被害が相次ぐ事態となった。

 JAさがえ西村山の秋場尚弘さくらんぼ部会長は「ここまで気温が下がるとは思わなかった」と肩を落とす。秋場部会長は、約50キロの収穫を見込む木で雌しべの枯死を確認。「収量は半分あるかどうか心配。ここしばらく日中の気温も低い。例年は15度程度だが、10度を下回る日が続いている。今夜も心配で眠れそうにない」と打ち明ける。 県全体の雌しべの枯死率は主力「佐藤錦」が20~60%、大粒の晩生「紅秀峰」は40~80%に達する。特に「紅秀峰」は晩生ながらも他品種より発芽が早いため、降霜の打撃を大きく受けている。

 凍霜害対策として、樹上からマイクロスプリンクラーなどで連続散水し、凍るときに放出する熱を利用する散水氷結法がある。東根市で1・2ヘクタール栽培する岡崎貴嗣さん(47)はこの方法で対策を立てていたが、それを上回る低温で雌しべの枯死が確認された。

 同市は昨年、新型コロナでサクランボ狩りに来る観光客が激減した。だが、ふるさと納税などで着実にファンを獲得してきた。岡崎さんは「来年も買うと言ってくれた消費者を裏切らないよう、残った雌しべの受粉を確実にしたい」と人工授粉の徹底で着果率を高めることを誓った。

 JAさがえ西村山は14日に緊急会議を開いて被害状況を把握。生産者に、ちらしなどで凍霜害対策と人工授粉の徹底を呼び掛けることを確認した。

 福島県では梨や桃などの果樹とアスパラガスで被害が出た。長野県では、11日現在で10市3町2村の農作物被害が、2億4220万円に上った。松本地域ではリンゴや梨などの果樹やアスパラガスに被害が出た。

 栃木県によると、13日現在、梨で約5億4938万円の被害が発生。芳賀町や高根沢町など3市3町で花への低温障害が生じた。群馬県でも14日現在各地で梨、リンゴ、柿、サクランボの花が枯死する影響が出た。

 新潟県内では新潟市など9市町で果樹の凍霜害が発生。13日現在、梨を中心に西洋梨や柿、桃など約400ヘクタールで花芽の褐変が確認されている。

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