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配合飼料高騰 長期化に農家恐々 負担増へ先手置き換え急ぐ 食べ残し削減徹底
トウモロコシや大豆など穀類相場の高騰で、国内で配合飼料の供給価格が上昇しているため、畜産現場に長期的な影響が及ぶ可能性が出てきた。JA全農によると、1~3月期の配合飼料供給価格は昨年10~12月期に比べ、全国全畜種総平均で1トン当たり3900円値上げされている。産地は、年内は高値が続く可能性があるとして、代替飼料の活用など新たな対策を模索し始めた。(関山大樹、中川達己)
北海道中標津町のTMR(完全混合飼料)センター「とうほろDairyCenter」は、配合飼料に大豆やトウモロコシなどを混ぜた混合飼料を作り、地域の酪農家の乳牛約1250頭に供給している。だが、飼料や原料を貯蔵する12個のタンクのうち現在、大豆だけが空の状態だ。
今冬、大豆を取引するメーカーに1トン当たり5000円の値上げを打診された。従来通りに飼料生産をした場合、年間400万円の負担増になる。代替策として、飼料の主要なタンパク源を加熱大豆から、タンパク含有率のやや低い「コーングルテンフィード」に置き換えた。
センターは大豆の他、トウモロコシ、しょうゆかす、配合飼料なども使う。代表の竹村聡さん(57)は「このままだと値上がりでさらに経費が増えるため、タンパク源を替えて早めに対策を打った」と説明する。
芽室町で肉用牛約4000頭を飼養する大野ファームは月700トンほど配合飼料を購入しており、飼料高騰前に比べ、毎月210万円経費がかさんでいる。代表の大野泰裕さん(56)は「配合飼料はすぐ置き換えられるものではないが、長期的に影響が続いた場合を考え、国産で置き換えられるものがあれば少しずつ替えていく」と見据える。
九州でも畜産農家が対応に苦慮する。飼養頭数50~100頭規模の養豚農家が多い宮崎県のJA都城では「豚の餌の食べこぼしを減らすなど、餌を無駄にしないこれまでの対策を継続し、徹底するよう呼び掛ける」(養豚課)としている。
穀類の国際価格の基準となるシカゴ先物相場では20日(米国現地時間)、トウモロコシが1ブッシェル5・22ドル。大豆も1ブッシェル13・70ドル。昨年1月の同相場はトウモロコシが同3ドル台、大豆は同8ドル後半~9ドル台で推移しており、今年は高値が続く。
相場高騰は昨年8月以降、南米や米国など主産地での高温乾燥や暴風雨による生育不良が原因。中国で飼料用の需要が増え、旺盛な輸入が続くことも影響した。
米国農務省が1月12日に発表した需給予測では、今年8月末の大豆の期末在庫は全需要量の3・1%と極めて低い水準に落ち込む見込み。穀類の需給逼迫(ひっぱく)が続けば、国内の配合飼料供給価格が高止まる可能性がある。
一方、1~3月期の配合飼料安定基金の補填(ほてん)額の決定は4月中旬を予定。発動されれば、5月末に支出される。
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千葉 アヒルで鳥インフル 出荷先6道府県 処分完了
農水省と千葉県は21日、同県横芝光町のアヒルふ卵農場で鳥インフルエンザの疑似患畜を確認し、約8000羽を殺処分した。今季37例目となる。アヒルのひなの出荷先である疫学関連農場は北海道、宮城、茨城、埼玉、大阪、奈良の6道府県9農場に及び、同日に各自治体が約6700羽の殺処分を終えた。
発生農場が20日、産卵率の低下を県に通報。農水省によると、産卵率低下は高病原性鳥インフルエンザでも起きる症状で、防疫指針にも記載がある。21日に遺伝子検査で高病原性の疑いがあるH5亜型と判定された。
千葉県は発生農場で防疫措置を実施。同農場から半径3キロ圏内の移動制限区域には5戸が約17万羽を、半径3~10キロ圏内の搬出制限区域には25戸が約126万羽を飼う。
疫学関連農場では、発生農場が7日間以内に供給したひなを疑似患畜とし、同じ鶏舎などで管理するアヒルを殺処分した。疫学関連農場周辺では、移動制限・搬出制限区域を設けていない。
出荷先も殺処分 拡散防止へ厳重警戒
アヒルのひなの出荷先道府県では、ひなを疑似患畜として同日中に殺処分を完了。当該農場の家禽(かきん)の移動を禁止するなど、対応に追われた。
埼玉県は同日、県内2カ所に出荷されていたアヒル2159羽の殺処分を終えた。対象は行田市の879羽、春日部市の1280羽。2月5日まで2農場の全ての家禽の移動を控えるよう求めた他、農場の出入り口を1カ所に制限し、農場外に物品を搬出しないよう要請した。
茨城県も、かすみがうら市の1農場、古河市の2農場で計2884羽の殺処分をした。対象外の約8600羽は移動を禁止し、14日間の健康観察を経て異常がなければ、2月5日にも解除する。
年間700万羽を加工する茨城県の食鳥処理会社の関係者は「ウイルスを持ち込まれては加工処理も止まってしまう。改めて処理道具の熱処理や出入り口、車両の消毒など、予防対策を徹底していくしかない」と話す。
北海道は、赤平市の農場のアヒルのひな637羽を疑似患畜と決定し、21日午前1時44分に殺処分を完了した。同農場では食用アヒル約4000羽を飼養。ひなは19日に到着し、単独の鶏舎で飼っていた。
道は21日、家畜伝染病予防法に基づき同農場に対し、家禽などの移動を禁止し、毎日の死亡羽数を空知家畜保健衛生所に報告するよう命令した。
宮城県は、角田市の養鶏場が15日に導入したアヒル517羽の殺処分と農場の防疫措置を、21日朝までに完了した。養鶏場では約7000羽のアヒルを飼っており、殺処分対象外のアヒルも検査と経過観察を行う。移動制限区域などは設けず、周辺鶏農家へ情報提供をした。
奈良県御所市の農場では21日、全205羽の殺処分・防疫措置が完了した。同農場ではアヒル約2000羽を飼養。当該のひなは複数ある鶏舎の1カ所で飼っていたため、残る家禽とは接触がないという。
大阪府も、府内の農場が購入したひな326羽を殺処分し、21日午後0時45分に防疫措置を終えた。府内の農場での疑似患畜確認は今季初めて。府は警戒の強化を呼び掛ける。
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生物多様性保全戦略 流通・消費者も一体で 来年度改定へ新項目 農水省
農水省は、生物多様性の保全方針を示す戦略を2021年度中に改定する。5月に中国で開かれる生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、新たな世界目標が決まることを踏まえる。これまで3回の有識者検討会を開き、ビジョンや目次案などを議論。現行戦略は生産者向けの記述が中心だったが、新戦略は流通、消費まで関係者一体となった取り組みを促す内容となりそうだ。
同戦略は07年に初めて策定し、農薬や肥料の適正使用、農業生産工程管理(GAP)の普及といった施策の展開を盛り込んでいる。今回が2回目の改定で、COP15を受けて決める国家戦略にも反映させる。これまでの議論で、30年に向けた戦略のビジョンは「農山漁村が育む自然の恵みを生かし、環境と経済がともに循環・向上する社会」とする方向となった。
18日の検討会第3回会合では、目次案などを議論。現行の戦略は生産者向けの記述が中心だが、同省は新たに流通業者、消費者向けの項目の新設を提起。環境に配慮した農産物の調達や、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスの削減などを促すとした。
農林水産関連のコンサルティングなどを手掛ける、いきもの株式会社の菊池紳代表取締役は「流通業者が生物多様性に関わるには、それに取り組む生産者から優先して調達するのが一番」と指摘。生産者との連携を記述するよう求めた。立教大学特任教授の河口真理子氏は「生物多様性を守る最前線にいる生産者を応援しないと何も始まらない。リレーをつないでいるのが流通、小売りという位置関係も書いてほしい」と強調した。
次回の会合は3月上旬を予定。戦略本文などを検討する。
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ダンスで「広島レモン」PR テレビ局企画動画で配信 果実連が参加
県を代表する特産かんきつ、レモンをダンスでPRする企画が始まった。中国放送(RCC)のレモンを冠した公式キャラクター「レモナルド・レモンチ」のオリジナルダンスを視聴者が踊り、動画を撮影して投稿する参加型ダンスイベントだ。……

厄介者「カヤの実」 ナッツ、食用油 人気加工品に 伐採「待った」 奈良県曽爾村
奈良県曽爾村は、村に群生するカヤの実を資源として見直し、地域活性化につなげる。ナッツや食用油など全国から注文が集まる加工品を相次いで開発。実の回収や加工で村に新たな仕事を生み出し、食べ方などの伝承を通して村民の交流も促す。かつて道を油だらけにしていた厄介者の実を、地域振興の“潤滑油”として生まれ変わらせた。
「いってカリカリのおやつにして食べるのが、子どもの時は大好きだった」。……

飼料米 立て替え払い推進へ 10アール5万円 栃木・JAなすの
年間10万トン減るといわれる米の需要は、新型コロナウイルスの影響で減少に歯止めがかからない。2021年産の主食用米は大幅な下落が予想され、非食用米への作付け転換が求められている。JAなすのは、21年産の飼料用米を作付けする出荷契約者を対象に、10アール当たり5万円を立て替え払いする独自の対策に乗り出す。米農家の経営安定・維持の後押しを目的に、昨年10月から検討を進め、12月下旬の理事会で最大4億円を立て替え払い金に充てることを決めた。

直売所連携で協定 農産物の需給拡大へ 徳島7JA県など
徳島県内の7JAと県、中国四国農政局は21日、県産農産物の需要と供給を拡大するための協定を徳島市で結んだ。直売所間で連携を進め、効率的な物流網の構築や、相互に農産物を直売所で販売する体制をつくる。新型コロナウイルスの影響で都市圏の販売が振るわない中、地産地消へ回帰するための足掛かりとする。……
直売所ライブ配信第2期 オンライン販売前面 JCAが31日から
日本協同組合連携機構(JCA)は21日、各地の直売所をライブ配信でPRする「食育ソムリエバーチャルまるしぇ」の第2期を31日から始めると発表した。今期は、視聴者が農産物を購入できるオンライン販売や商品取り寄せを前面にPR。新型コロナ禍で外出が限られる中、消費者とオンラインでつながり強化を図る。3月まで7カ所のJA直売所を予定する。……

シャリの代わりに餅使用 いなり生餅発売へ 新しい食感提案 モチクリームジャパン
大手米卸・神明グループで餅事業を手掛けるモチクリームジャパン(神戸市)は、シャリの代わりに餅を油揚げで包んだ新商品「いなり生餅」を2月1日に発売する。そばやうどんの付け合わせや助六ずしなど、中・外食で定番のいなりずし。その“新形態”としてもちもち食感のいなり生餅を投入し、餅の新しい食べ方を提案する。
新商品には、同社が独自技術で製造する、常温でも軟らかい「生餅」を使う。……

ホテルがイチゴ企画 食べ放題や客室での「収穫」
ホテルがイチゴをテーマにした企画を相次いで展開している。佐賀県のブランドイチゴ「いちごさん」を使ったスイーツビュッフェや、客室でイチゴ狩りを楽しめるプランを売り込む。人気の果実で利用者の拡大に期待する。……

広島県基幹種雄牛 「花勝百合」を選抜 能力と希少血統 両立 BMS 県歴代トップ
広島県は黒毛和種種雄牛「花勝百合」を県基幹種雄牛に選抜した。同牛は、現場後代検定で枝肉成績の脂肪交雑基準(BMS)ナンバーが8・8と、県基幹種雄牛で歴代1位を記録。枝肉重量も県内トップ級でBMS、産肉能力を兼ね備えた牛として、県は活躍を期待。高い能力と、和牛のルーツといわれる広島血統の濃い牛としてアピールする。(鈴木薫子)
「花勝百合」は、2015年11月17日生まれ。……

筋肉スーツ 続々販売 各社農業向け意識 腕上げる動作補助 都内でロボット展示会
京都江東区の東京ビッグサイトで22日まで開かれている産業ロボット関係の展示会「ロボデックス」で、梨の収穫など、腕を上げる作業を助けるアシストスーツの新製品を、各社が展示している。他産業に比べ安価にするなど、農業向けを意識した。今春の農作業シーズンに向けて販売を本格化させる。……

特定生産緑地移行 都市農業振興へ勝負の一年 行政と連携集中対応 JAグループ
30年間の営農継続などの条件で税制優遇措置を受ける生産緑地の多くが2022年に指定30年を迎える。JAグループは都市農業振興に向け、同措置を引き続き受けられる特定生産緑地への移行を進める考え。指定30年を過ぎると移行はできないため「21年の取り組みが鍵を握る」とし、JAに集中的な対応を呼び掛ける。神奈川県のJAはだのは管内の農地保全を目指し、申請支援に力を入れる。(石川知世)
秦野市内の生産緑地は約100ヘクタール。……

ベテランの技、JA出荷データ… クラウドへ集約し経営に“最適解” 高知で始動
高知県は20日、産官学で連携して構築を進めてきた「IoPクラウド(愛称=サワチ)」を始動させたと発表した。農家の栽培ハウスから得られる園芸作物データや環境データの他、JAからの出荷データなどを集約。人工知能(AI)を使って地域に最適な栽培モデルを示し、営農指導に役立てる。収穫量予測もでき、作物の販売にも活用する。
脱・経験依存、収穫予測も
IoPは、ナスやピーマン、キュウリなど園芸作物の生理・生育情報をAIで“見える化”するもの。2018年から構築を目指し、JAグループ高知や県内各大学、農研機構、東京大学大学院、九州大学、NTTドコモなどと連携している。
県は当面、①データ収集に協力する農家約30戸の作物の花数、実数、肥大日数などの作物データ②約200戸のハウスの温湿度、二酸化炭素濃度などの環境データ③園芸作物主要6品目の全農家約3000戸の過去3年の出荷データ──などを収集し活用する。
農家はスマホやパソコンから、クラウドに送られたハウスの環境データだけでなく、異常の監視と警報、ボイラーやかん水など機械類の稼働状況に加え、出荷状況などが確認できる。県やJAの指導員も、戸別の経営診断や産地全体の経営分析などに生かす。
22年からの本格運用を目指しており、最終的には、県内の園芸農家約6000戸のデータを連係させる。県は、「経験と勘の農業」からデータを活用した農業への転換を進めるとしている。
クラウドは県内の営農者、利活用を希望する企業などが利用できるが、まずはデータの収集に協力している約200戸の農家から利用を始める。3月末から、新規利用の申し込みができる予定だ。
農家がクラウドの機能を活用するのは無料。通信分野でシステム構築に協力したNTTドコモは希望者に対し、JAなどに出向いた「IoP教室」を開く。
JA高知県の竹吉功常務は「営農、販売でいかに活用できるかがポイント。技術の継承、出荷予測などにも使える。農家に還元できるよう、十分生かしていきたい」と強調する。
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今こそ地域で輝こう 全国女性大会
JA全国女性組織協議会(JA全国女性協)は20日、第66回JA全国女性大会を開いた。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、動画投稿サイト「ユーチューブ」を使って開催。大会宣言では「できることから活動に取り組み、女性組織の仲間を拡大する」ことなどを提案。宣言は27日正午まで意見を募った後に、採択する。
東京都千代田区から全国に向けて配信。……

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(下) 引きこもり生活一変 新たな居場所 たくましく歩む
「自信はまだないけれど、怖いほど迷いがない。きっと僕は農業が好きなんだと思う」。新型コロナウイルス禍の2020年度に日本農業実践学園に入校した18人の中で最年少、28歳の雙田貴晃さんが、ナスを促成栽培する温床を作ろうと土壌を掘り返しながら、白い歯を見せた。
挫折からしばらく引きこもりの生活が続いた。外の世界に連れ出してくれたのが農業だった。
諦めた司法試験
「理系一家」の末っ子だ。……

地元産トロロアオイを伝統和紙に 産地復活へ技術磨く 島根県浜田市・農家ら委員会
国の重要無形文化財やユネスコ無形文化遺産に指定された伝統工芸品「石州半紙」の産地、島根県浜田市三隅町は、和紙の粘着剤として使うトロロアオイの産地復活に取り組む。2020年は10戸が約5アールで栽培し、140キロを収穫した。地元の和紙職人が求める品質に向けて栽培技術を高めながら、23年までに生産量を倍増させ、安定供給で特産品と伝統文化の伝承を支える。
トロロアオイは「花オクラ」とも呼ばれるアオイ科の植物で、根から出る粘液が和紙の粘着剤となる。地元では1950年代まで栽培されていたが、近年は主に茨城県産を使っている。
活動の中核を担うのは、同町黒沢地区の住民でつくる黒沢地区まちづくり委員会。2012年に地域振興の一環でトロロアオイの特産化に乗り出した。種を入手して栽培したが、当初は和紙職人が求める根が太く長いものができなかった。
生産者の野上省三さん(81)は「栽培方法が分からず手探りだった」と振り返る。栽培講習会で畝の立て方や病害虫対策、芽かきなどを共有し、栽培技術を高めた。
今は職人からの評価も上々だ。和紙工房4戸でつくる石州和紙共同組合の組合長を務める川平正男さん(79)は「年々レベルが上がっている。高品質な地元産が安定供給されればありがたい」と歓迎する。
国内のトロロアオイ産地は減少している。19年には、主産地の茨城県の生産者が生産終了を検討していることが報道された。また、宅配便や郵便料金の値上げで輸送コストも上がり、和紙職人の地元産への期待は大きい。
同委員会は、地元の需要量を350キロと算定。23年に20戸で生産量300キロを目指す。齋藤正美会長は「地域一丸で、和紙作りとトロロアオイ栽培の双方を次世代につないでいきたい」と意欲を見せる。
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米、輸出へ「新JAS」 23年産めざし検討会議 農水省
農水省は20日、農産物検査規格・米穀の取引に関する検討会を開き、農産物検査や米の流通に関する見直し項目について、今後の具体的な検討の進め方を示した。米の輸出拡大や高付加価値販売に向けた新しい日本農林規格(JAS)の制定については、2023年産米からの実現を目指して、検討会議を設ける。……
家伝法の課題検証を 鳥インフルで自民、PT設立へ
自民党は20日、鳥インフルエンザ等家畜防疫対策本部(本部長=江藤拓前農相)の会合を開いた。議員からは、県による対応水準のばらつきの是正や、十分な埋却地の確保の徹底に向け、国の対応強化を求める意見が出た。江藤本部長は「法律の問題点はないのか」と述べ、現行の家畜伝染病予防法(家伝法)の課題の検証が必要との認識を表明。プロジェクトチーム(PT)を立ち上げて議論する方針を示した。
高病原性鳥インフルエンザは今シーズン、15県36事例が発生し、過去最多の604万羽が殺処分された。……
「半農半X」支援策探る 農水省の農村政策在り方検討会
農水省の新しい農村政策の在り方検討会(座長=小田切徳美・明治大学教授)は20日、ウェブ会議形式で会合を開き、「半農半X」など、農業とさまざまな仕事を組み合わせた活動の支援策を検討した。委員からは、農業など地域の産業に精通した税務・会計支援や、希望する仕事の実現に向けた学習や仲間づくりなど、多様な機会を提供する必要性が指摘された。
同検討会では、「田園回帰」の受け皿になる農村の環境整備に向けた施策を検討している。
委員の平井太郎・弘前大学大学院准教授は、「半農半X」を踏まえた事業展開を推進する上で、農業などに詳しい「中小企業診断士や税理士を地域で育てることが重要だ」と指摘。小田切教授も「地方の税務・会計支援は重要な論点」と述べた。
いわて地域づくり支援センターの若菜千穂常務は、「重要なのは、やりたいことが仕事になる、希望が持てる社会づくりだ」と指摘。実現に向けた学びの場や仲間づくりなど、政策による「多様な機会」の創出が必要とした。
同日は、島根県海士町の大江和彦町長が取り組みを報告した。同町では「半官半X」を推進する条例を制定。役場の仕事をしながら、農漁業など地域振興につながる民間の活動に参加できるようにした。
本格的に「半官半X」による地域振興を進めるため、採用試験に「半官半X」枠を新設。職員を配置する新たな部署も立ち上げる予定という。大江町長は「地方、田舎こそ公務員に複業の必要性を感じている」と強調した。
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