眞島秀和さん(俳優) ドラマ撮影で再会 しそ巻き懐かしむ
父方の祖父が季節になるとマツタケを採ってきたんです。東京だと高級品ですが、地元ではその時期になると普通に食べられました。
マツタケの炊き込みご飯がおいしかったなあ。今になって思えば、子どもの頃にすごくぜいたくなものを食べていたわけですよね。
旬の食材を生かした料理といえば、芋煮会。山形の人間にとってはとても大事なアウトドア料理です。
秋になると、大きな鍋でサトイモを煮るんです。米沢牛のバラ肉も入れて。町内会の芋煮会があって、部活の芋煮会があって……。大人の人たちは職場でやったり、同窓会でやったり。毎週何かしら芋煮会がありました。
たれは「うまいたれ」という商品があって、必ずそれを使っていました。
山形市の方に行くと、「マルジュウ」というしょうゆがあって、それを使う。米沢と山形の人は、うちの方のたれがおいしいと言い合いをしますよね。
お米は、母方の祖父母がよく「ササニシキ」を送ってくれたので、それを食べていました。母方の実家は宮城県の大崎で、米作りと和牛の畜産をやっていたんです。
大崎地方は農業が盛んで、大崎耕土として世界農業遺産にもなりました。ご存じの方も多いかもしれませんが、「ササニシキ」は大崎地方で生まれた米なんです。昔はすごく有名でしたが、今は新しくできた「ささ結」に変わっていってるようですね。
祖父母の田んぼはかなり広かったです。夏に遊びに行き、近くの薬莱山でジンギスカンを食べました。
母方の祖父母は、年末年始を宮城県の鳴子温泉の「農民の家」という旅館で過ごしていました。湯治です。
両親に連れられて鳴子に行き、農民の家で一緒に年越しをしたことが、記憶としてすごく残っています。3年前に経営破綻したとニュースで見て、ああ子どもの頃に行ってた旅館がなくなっちゃうんだと寂しい気持ちでいっぱいでしたが、復活するという話を聞きました。営業が再開されたら、ぜひ行ってみようと思っています。
僕は新しく始まる「#居酒屋新幹線」というドラマに出演いたします。
出張先でおいしいお酒と料理を買って、新幹線の中で楽しむという設定です。古川(大崎市中心部)で撮影した時、懐かしさを感じるものや初めて食べるものと出合いました。
懐かしかったのは、しそ巻き。みそにクルミなどを混ぜ込んだものをシソの葉で巻いて揚げたものです。うちでもよく食卓に出てました。
今回、道の駅に行きましたら、何種類も売っていたんですね。見た目は同じなんですけど、きっと味は違うのでしょう。作っている人それぞれのこだわりがあるんだと思います。
染みっぱなし丼ってご存じですか?今回、初めて食べました。豆腐を凍結熟成させた保存食がありまして、それをカツ丼みたいな味付けでご飯の上に載せて食べるんです。独特の食感で、おいしかったですよ。
宮城県は山形の隣の県なんですが、同じ東北地方でも県が変わると知らない食べ物だらけです。
これからも全国の知らない食べ物を食べて、地域に密着した味を楽しんでいきたいと思いました。(聞き手・菊地武顕)
ましま・ひでかず 1976年、山形県生まれ。99年、映画「青~chong~」でデビュー。映画「スウィングガールズ」(2004)、「心に吹く風」(17)、ドラマ「海峡」(07)、「ゲゲゲの女房」(10)、「隣の家族は青く見える」(18)、「おっさんずラブ」(18)などに出演。14日から放送開始のドラマ「#居酒屋新幹線」に主演する。