[達人列伝](84) トマト 愛知県豊橋市・大澤 広通さん(47) 養液栽培で多収追求 甘く大玉、安定生産実現

高軒高ハウスでトマトの出来を確認する大澤さん(愛知県豊橋市で)

 愛知県豊橋市の大澤広通さん(47)は、養液栽培の大玉トマトで10アール収量が48トンと、全国トップクラスの多収を実現した。地域でいち早く養液栽培を始めた一人。周りの農家と技術の研さんを重ね、収量・品質ともに安定して作れることを実証。「養液は土耕より食味が劣る」という評価を覆した。全国有数の産地を支えるJA豊橋トマト部会の一員として、強い産地づくりを目指してまい進する。

 大澤さんは大玉トマトを長期多段取りで栽培する。管理で最も重視するのは、成長点がある茎頂部の「芽」の状態。3日に1回は全株を見て、芽の伸びや太さの変化から樹勢と着果の具合を見極める。

 「結局、頑張るのはトマト。農家はそれをサポートする役目」と大澤さんは話す。株が伸長と着果の両方を続けられるよう、温湿度などのハウス環境を調節していく。

 養液の肥料バランスは、生育ステージに応じて1作で5回変える。葉かきは正午、日光が当たっていない葉を取り除く。着果数は1房3、4果。日射量で判断する。

 徹底した樹勢管理で、これまで最多で10アール48トンを収穫。メインとなる高軒高ハウスでは同40トン以上、その他のハウスでも同30トン以上は安定して取れているという。

 大澤さんは22歳で親元就農をした。土耕から養液栽培に切り替え始めたのは2000年。地域に前例がなく「マニュアル通りに作ると収穫は3段止まり。果実は倍以上に膨れた」と散々だった。

 それでも「海外では成功している。自分もできるはず」と信じ、マニュアルを捨てて、他の導入農家と一つずつ問題を解決していった。「土耕より食味が劣る」「水っぽい」などの評価もあったが、通常の大玉に加え、高糖度トマトも作れることを実証して払拭(ふっしょく)した。地域に養液栽培が普及するきっかけにもなった。

 自身のノウハウは、失敗を含めて他の農家に惜しみなく伝える。「トマトは共選共販。産地の評価を上げるには、みんなでおいしいトマトを作る必要がある」。土質によらず誰でも同様に作れることが、養液栽培の利点の一つだと考える。

 3年前に大病を患った。床に伏しながらも考えたのはトマトのこと。書籍をあさり、大学教授にメールで質問もした。「良いと思うものは全て試したい。もう怖いものはない」。生涯、挑戦を続ける。(古田島知則)
 

経営メモ


 家族3人、従業員ら4人で、ハウス63アールで大玉トマトを生産する。年1作。7、8月に定植し、9月~翌年6月に収穫する。品種は主に「麗旬」と「麗妃」を、海外品種の強勢台木に接いで使っている。
 

私のこだわり


 「他人ができることは自分もできる。怖がらずに何でも試すこと」 
 

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