農地集積の課題 集落での話し合い急げ

 法律を改正したからといって、それだけで集まるわけではない。農地の集積・集約は、地域の話し合いで、信頼できる担い手に集める主体的な取り組みこそ重要だ。高齢化で担い手不足が進む中、急ぐ必要がある。

 農地中間管理機構(農地集積バンク)関連改正法が成立した。農地の集積や集約を急ぐため、地域での話し合いを深めたり、手続きを簡素化したりする。JAなどが担ってきた農地利用集積円滑化事業も取り込み、農地集積バンクとJA、農業委員会などの組織が一体となって取り組む体制となる。大きな制度改善と言える。

 しかし、これはあくまで「手段」の改善である。実際に農家や経営体がその気にならなければ集積や集約は進まない。鍵を握るのが地域の話し合い。担い手を決めて農業の将来像を描く「人・農地プラン」である。

 これまでは、有利な国の助成や融資、税制の適用を受けるために市町村が机上でプランを作るケースが目立っていた。作成は1万5000程度に上るが、農地の出し手などで曖昧なところがあった。農地集積のペースも上がらず、2017年度に集積できた面積は4万1000ヘクタールと前年度より2万ヘクタールダウンした。23年に「8割」を担い手に集積するという目標達成に必要な年間集積面積(14万ヘクタール)の3割弱にとどまった。

 特に生産条件が厳しい中山間地域は、耕作を引き受ける担い手が見当たらず、集積どころか耕作放棄が進んでいる。農地面積の4割を占める中山間地域の生産基盤弱体化が加速していることに危機感を強めるべきだ。

 消えそうな農地を守るためには、実効性のある「人・農地プラン」作成を急がねばならない。農地の集積・集約には、なにより地域の「理解と納得」が必要だ。アンケートの実施や農地マップの作成を急ぐべきだ。国内には13万8000もの農業集落があり、集落での話し合いを盛り上げる必要がある。

 改正法では、計4万人に上る農業委員と農地利用最適化推進委員の役割を明確にした。プラン作成の話し合いに積極的に参加し、地域農業の活性化に取り組むべきだ。農地を所有する農家が安心して託すためには、農地をどう活用するのか「未来図」がなければ難しい。JA組織は、農地集積バンクを通した集積の話し合いに積極的に関われるようになった。体制が一本化されたことで、JAも話し合いに参加すべきだ。

 農地は農業生産に欠かせない生産手段である。相続未登記で集積が難しい農地が増える中、中山間地域を中心に耕作放棄地はさらに増える恐れがある。農村の高齢化と担い手不足は予想以上に進んでおり、土地改良区の維持が困難になるなど、食料生産を支える農業の土台が揺らいでいる。農地の荒廃は国民的な損失である。生産基盤の立て直しを急ぐべきである。残された時間は、多くない。

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