親と子に絡む悲劇に心がふさぐ

 親と子に絡む悲劇に心がふさぐ。家庭に潜む暴力は人ごとではない▼東京都目黒区で虐待を受けて死亡した船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=の母親の初公判が東京地裁で開かれた。痩せ細った体で吐いたり、「おなか痛い」と訴えたり。明らかにされた死ぬ前の様子が痛々しい。暴力を振るう夫におびえ、警察に通報できなかった被告。自ら「怒ってくれてありがとう」と言ってしまう心理状態になっていたという。DV(家庭内暴力)の恐ろしさである▼もう一つの「愛」。鹿児島県出水市で先月4歳になる大塚璃愛來(りあら)ちゃんが風呂場で溺死した。「しつけ」を口実に虐待をしていた疑いで、母親の交際相手の男性が逮捕された。警察に何回か保護されていたのに、助けることができなかった▼家庭という密室の悲劇を救うすべはないのか。高齢の親が中年の子を養う中で起きる不幸もある。元農水事務次官は暴力を振るう引きこもりの息子を手に掛けた。身の危険を感じての生活は生き地獄に等しいものだったろう。令と口を合わせた「命」は天から与えられたもの(『常用字解』白川静)。いかなる理由があるにせよ奪う権利はないが、同情に余りある▼外面の作り笑いに隠された「悲鳴」を見逃してはいけない。家庭がおかしくなっては社会が壊れる。
 

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