ラグビーW杯 改革の鍵はワンチーム

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が20日開幕する。4年に1度の祭典が、初めてアジアにやってくる。興奮と熱狂が世界を包む。「ワンチーム」が日本の合言葉。「桜の戦士」はベスト8の高みを目指す。個の力と多様性がかみ合い、チーム一丸で目標を目指す姿は、JA自己改革に通じる。

 「One for all , all for one」。ラグビーの神髄を伝える言葉だ。

「1人はみんなのために、みんなは1人のために」。一人一人が自分の役割を果たし、全員で勝利という一つの目的に向かう、とも解される。協同組合精神そのものだ。試合の楽しみと併せ、組織論や人材育成論に通じるラグビー文化の奥深さに触れてみるのもいい。

 国際競技連盟「ワールドラグビー」が定めたラグビー憲章は、その精神を「品位」「情熱」「結束」「規律」「尊重」の五つの言葉に込めた。ラグビーの中心となる価値だ。この基本原則は、全ての選手と関係者に課せられる。チームプレー、フェアプレー、試合後に互いをたたえ合うノーサイドの精神が、それを表す。

 もう一つの大きな価値が多様性。選手たちは、国籍や宗教などさまざまな文化的背景を持つ。それは、代表チームの国籍がなくても代表選手になれる柔軟な仕組みによる。例えば、外国籍であっても直前3年間日本に住んでいれば日本の代表になれる。今回の日本代表31人のうち、外国出身選手は過去最多の15人を占める。出身国や言語が違った者同士が、同じ目的で集まり尊重し合いチームを形づくる。グローバル時代の協調と結束の姿がそこにある。

 では多様な人材をどうまとめ、成長に導くか。そこには、あらゆる組織づくりに通じる方法論がある。就任3年でチーム力を底上げしたジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチが語った強化策とは──。まず選手の特性を見極め、チームの成長を妨げる要因を取り除いた。JA自己改革で言えば、適材適所、働きやすい職場づくりである。次に選手の能力を最大限引き出すための強化プランを作成した。JAなら職員教育と育成計画だ。そして、海外リーグなどより高いレベルで強豪国と戦う豊富な実戦。攻めの営農販売に置き換えられよう。

 その過程で重視したのは選手の主体性と話し合い。学習と対話運動だ。強くなるために何が必要か。選手が自ら導き出した答えが「ワンチーム」だった。自立した強い個が連携してより大きな力を発揮するには、チームが同じ目標を共有し、一つになるしかない。JA自己改革の本質に通じる言葉だろう。

 さあ、熱狂の渦に身を投じよう。1カ月半にわたり、20チームが世界の頂点を目指す。全国12会場には、岩手県釜石市、熊本市などの被災地もある。大会理念は「絆 協創 そして前へ」。熱いパスをつなごう。
 

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