まるで巨像がアリを踏みつぶす姿ではないか

 まるで巨像がアリを踏みつぶす姿ではないか。デモはやまず“香港有事”を憂う▼やはり「あの日」が浮かぶ。30年前の6月4日、北京の天安門は血で染まる。民主化を求める学生らに人民解放軍の戦車が突入し武力鎮圧する。その後、中国は国際的な批判を浴び孤立を深めた▼タイムリミットが迫る。14億の民を束ねる巨像・中国にとって、10月1日の国慶節は建国70周年の特別の日である。対米貿易戦争の今、足元が揺らぐことは許されない。情報操作や挑発、暴力が相次ぐ。習近平政権は、香港での市民デモにあらゆる手を使い封じ込めを狙う▼天安門事件当時、香港でも民主化運動が盛り上がった。中国返還を数年後に控え共産党政権への不信も募る。思い出すのは、アジアの歌姫、テレサ・テンの深い悲しみ。香港の民主化支援コンサートに突如姿を現し、憤り涙を流し歌ったのは「私の家は山の向こう」。かつての抗日戦争時代の曲だという。〈民主化の火を燃やそうよ 私の育った所を忘れちゃいけない〉と。あれから30年、民主的選挙を求めた「雨傘運動」から5年がたつ▼「香港頑張れ、自由な香港を」の叫びが続く。香港は自由経済社会と中国を結ぶ「金の卵」。それを失えば最も困るのが持ち主自身とは、イソップ寓話(ぐうわ)の教えである。
 

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