豚コレラ ワクチン接種準備 防疫指針改定へ 合意取り付け前提

 豚コレラ対策を巡り、政府・自民党は19日、豚への予防的なワクチン接種を可能とするため、国の防疫指針を改定する方針を固めた。接種する地域は限定する方向だが、範囲や順序、流通を規制するかなどは今後検討する。ワクチン増産などの準備も進める。指針の改定を受け、接種するかどうかは都道府県が判断するが、関係者の合意形成や風評被害の防止などが課題となる。

 一連の方針を20日に発表する。現行の豚コレラに関する防疫指針は、予防的なワクチン接種を認めていない。昨年9月に国内で26年ぶりに発生を確認した後も政府・自民党は接種に慎重だったが、飼養頭数の多い関東への感染拡大などを受けて方針を転換する。

 防疫指針は、パブリックコメント(意見公募)や都道府県知事への意見照会などを経て、予防的ワクチンの接種が可能となるように改定する。手続きには通常、数週間程度かかるが、短縮を目指す。

 家畜伝染病予防法の規定上、ワクチンを接種するかどうかは都道府県知事が判断する。改定した指針に基づき、ワクチンの使用を命令する。接種は獣医師が行う。

 ワクチンを接種する地域や順序、流通規制などの具体的な仕組みについては、関係者との意見交換を踏まえて検討する。範囲は発生状況などに応じて限定するとみられる。

 ワクチンは現在100万頭分程度備蓄しているが、増産する。飼養衛生管理基準の徹底や農場囲い柵の設置、野生イノシシ対策の強化なども合わせて進める。

 一方、ワクチン接種を巡る課題は多い。関係者の合意取り付けが大前提となり、接種が長期にわたれば農家の負担は過大になる。野外からのウイルスに感染した豚とワクチン接種豚の区別は難しく、流通規制をする場合には実効性や販路の確保が不可欠だ。

 豚コレラは人間には感染せず、ワクチン接種豚の肉を食べても影響はないものの、風評被害による豚肉の買い控えや、価格下落を招く恐れもある。国際獣疫事務局(OIE)の「非清浄国」となり、輸出への悪影響や、非清浄国からの輸入圧力が高まる可能性もある。
 

おすすめ記事

農政の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは