SFTSを媒介 死亡も相次ぐ マダニ感染最多 作業時肌出さないで 11月も警戒を

肌の露出をなくし、マダニなど虫が付きにくい素材の服を着用し、作業する岸田さん(広島県福山市で)

 マダニが媒介する感染症の2019年の発症数が過去最多ペースで増え、自治体などが注意を呼び掛けている。国立感染症研究所が29日に発表したマダニ媒介による重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の感染報告が20日現在で92人と、統計を取り始めた13年以降で最多となった。農作業中にかまれ、死亡した例もあり、マダニ媒介の日本紅斑熱の発症も後を絶たない。夏から秋に活発に活動するため、野外の作業が多い農業者はマダニ対策が必要だ。(鈴木薫子)
 

中四九州で拡大


 SFTSは、13年に国内で初めて報告された感染症。感染者数は17年の90人が最多だったが、19年は10月20日までに92人となり上回った。山口県11人、徳島県9人、島根、長崎、宮崎、鹿児島県がそれぞれ8人と、中国四国、九州での報告が目立った。

 日本農業新聞の調べでは少なくとも5人が死亡した。広島県では感染者数は7人の報告があり、10月に80、90代の女性2人が亡くなった。このうち90代の女性は、発熱や食欲不振などの症状が表れ、入院から2週間後に死亡した。宮崎県では3人が亡くなった。
 

紅斑熱も広がる


 日本紅斑熱は、20日までに248人の感染報告があった。18年同期(252人)より少ないが、高水準だ。最多は広島県で58人と、18年通年(41人)を上回った。次いで三重県31人、和歌山県22人となった。各地で死亡報告も相次いでいる。

 広島県福山市で農作業をしながら暮らす画家の岸田真理子さん(59)は、4年前の夏にマダニにかまれ日本紅斑熱を発症、生死をさまよった。中山間地域の同市内海町にIターンで移住して1年後のことだった。

 家を囲む山で雑草の刈り取りをしている間に足の付け根をマダニにかまれた。かまれるのは3度目だった。農家に教えてもらった油で窒息死させる方法でマダニを取り除き、その時は体調に変化はなかった。

 しかし、4日後に全身に発疹が出て40度の高熱に襲われた。一人では起き上がれないほどだった。

 病院に行き、点滴したことで大事には至らなかったが、「マダニの知識が薄く作業着姿が無防備だった」と反省する。
 

暖冬で活動続く


 同町ではマダニ被害が多発し、死亡事例も出ているという。回復後は、肌の露出を徹底的に防ぎ、作業に励む岸田さん。他にも「作業着のまま家に入らない」「作業後はすぐに風呂に入る」などのルールを守り、マダニ対策を徹底する。

 各自治体は、マダニが吸着していることに気付いたら、症状にかかわらず、ダニの一部が皮膚内に残らないよう、病院(皮膚科)で取り除くよう呼び掛ける。

 マダニは気温が高い秋ごろまで活発に活動するため、例年11月以降の感染症の発症数は減る傾向にある。しかし10月25日の気象庁の発表によると、11月~来年1月の気温は平年より高い予報で、注意が必要だ。
 

<メモ>


 マダニは、日本に47種類生息し、SFTSや日本紅斑熱などの感染症を媒介する。SFTSウイルスに感染すると6日から2週間の潜伏期間を経て、発熱や嘔吐(おうと)、下痢、出血など多くの症状が出る。SFTSは致死率が6~30%と高いが、現時点で有効な薬剤やワクチンはない。日本紅斑熱では発熱や発疹が現れる。
 

おすすめ記事

営農の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは