自分に都合がいいように予測することを希望的観測という

 自分に都合がいいように予測することを希望的観測という。これにより日本は国を危うくしたことがある▼日米開戦の直前、内閣直属の研究所が対米戦争をシミュレーションした。奇襲で緒戦の勝利は見込まれるが、物量で劣る日本に勝機はない。戦争は長期化しソ連が参戦、日本は敗北する。食料や工業原料の自給力などのデータを分析し結論づけた。猪瀬直樹著『昭和16年夏の敗戦』(中公文庫)に詳しい▼しかし東條英機陸相は「(戦争では)意外裡(り)なことが勝利につながっていく」と述べ、口外を禁じた。戦局は予測に近い経過をたどった。「意外裡なこと」は起こらなかった▼敗戦を経ても為政者の体質は変わらないらしい。地域格差や経済格差への批判から文部科学省は、大学入試への英語の民間試験の導入を見送った。問題は早くから指摘されていた。だが多くの支持を得ていると高をくくっていたのだろう。柴山昌彦文科相(当時)がツイッターで「サイレントマジョリティーは賛成」と発信したことに表れている▼日米貿易協定の衆院審議が大詰めを迎えた。論点となっている政府の影響試算は国内対策で生産は減らないことが前提だという。対策は決まっていないのに、この見立てで大丈夫か。希望的観測なら国の基を危うくする。
 

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