対中牛肉輸出 「月齢30カ月」障壁に 長期肥育産地で懸念

 約20年ぶりに再開される見通しとなった牛肉の対中輸出を巡り、月齢制限の撤廃に向けた要望が銘柄牛の産地から上がっている。中国への輸出条件となっている「生後30カ月以下」がこのまま適用された場合、長期肥育が特徴の「神戸ビーフ」などの輸出が難しくなる恐れがあるためだ。日本産和牛の生産実態を踏まえた条件設定が求められる。

 中国への牛肉輸出は、日本国内で牛海綿状脳症(BSE)が発生した2001年から禁止されていたが、昨年12月に中国が輸入の解禁令を出した。再開に向け、今後、生後30カ月以下の牛の骨なし肉について、処理加工施設の認定条件などの協議を進めていく。

 焦点となる月齢制限「生後30カ月以下」は、BSEの発生リスクが低いとされることを念頭に中国側が求めたものだ。しかし、適用された場合、産地によっては、輸出できる牛の対象が狭まる可能性がある。

 中国向け輸出で業界からの注目度が高い兵庫県の「神戸ビーフ」は、長期肥育が特徴の一つで、出荷時の平均月齢は、去勢で31カ月、雌が33カ月。県内の生産者や流通業者らでつくる神戸肉流通推進協議会によると、19年に出荷された約5300頭のうち、30カ月齢以下の牛は2割弱と少ない。「(月齢制限は)輸出のハードルになる」(同協議会)と懸念する。

 海外での知名度が高い三重県の「松阪牛」も、平均32カ月齢、「特産松阪牛」で38カ月齢以上と長期肥育で良質な肉質に仕上げる。「長期肥育という強みが生かせないとなると、輸出は考えにくい」(松阪牛協議会)という。地理的表示(GI)保護制度の相互協定の締結など、偽装対策の徹底も求める。

 早期の輸出解禁に向け両国は協議を進めており、農水省は「産地の実情は理解している。月齢制限についても、協議を進めていく方針」(動物衛生課)としている。

 同省によると、中国の牛肉輸入量は106万トン(17年)と、この10年で100倍以上に急増している。経済成長や、アフリカ豚コレラ(ASF)による豚肉不足で牛肉に需要がシフトしており、今後も市場拡大が見込まれる。
 

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