全農「和牛甲子園」 若者力で畜産底上げを

 JA全農主催の「和牛甲子園」は第3回を迎え、出場校が30校の大台に乗った。創意工夫ある“農高牛児”らの発表に、今後の畜産発展への期待が膨らむ。「和牛甲子園」で培った若者の実践力を、地域の生産基盤の回復につなげてほしい。

 今回の特徴は、地域ぐるみで生産基盤の弱体化が目立つ肉牛を盛り立てていこうとの姿勢だ。地元の畜産を自分たち農高パワーで支えるという強い意識。さらに、最新技術を駆使したスマート農業や国連の持続可能な開発目標(SDGs)を踏まえた環境配慮、牛に優しい飼養法の追求などが目立った。発表者に女子生徒も多く、発表方法も図表を多用し「見える化」を重視した。こうした“牛児”の奮闘を、全農県本部や地元試験研究機関、JAが応援する。

 高校球児が熱闘を繰り広げる甲子園大会では、農高も活躍し脚光を浴びた。もう一つの甲子園である「和牛甲子園」にも注目が集まる。地元のマスコミが取材するケースもあり、地域の明るい話題としても受け止められている。

 日頃の和牛飼育の取り組み発表と、実際の枝肉評価と二つで競う。昨年は11県、23校で出品28頭。今年は17県、30校で出品も40頭を超え過去最高となった。出品牛の9割以上がA4等級以上で、肥育技術の高さも裏付けた。30校のうち初出場が9校と3分の1近くを占めた。初出場を見ると関東や中国が目立つ。農高生同士が刺激を受け、「甲子園」の“頂点”を目指す前向きな動きだ。出場は肥育部門を持つ農高。「和牛甲子園」に触発され繁殖、育成にとどまらず、肥育まで手掛ける農高が増えることにも期待したい。

 活動の中心となった3年生は、これまでの実績をしっかり後輩へバトンタッチし、来年の「和牛甲子園」につないでいくことも重要となるだろう。

 全農は、自己改革の主要な柱である農業者の所得増大と農業生産の拡大に全力を挙げる。「和牛甲子園」も将来を見据えた担い手づくりと、若い農業後継者のネットワークづくりを目指す試みだ。農業の人材供給基盤である農高に着目し、飼養技術と肥育技術を競い合う「甲子園」は就農意欲を高める大きな一助となるはずだ。

 審査では、総合評価部門の最優秀賞に鹿児島県立市来農芸高が輝いた。「和牛新時代」を掲げた全国和牛能力共進会(和牛全共)が2年後に鹿児島で開かれる。若き牛飼いの奮闘は、鹿児島全共にもつながっていくだろう。市来農芸の体験発表タイトルは「牛から学ぶ かけがえのない青春」。牛の健康に着目した飼養徹底、脂質のオレイン酸重視、地域との結び付きなどを強調した。枝肉評価部門の最優秀賞は岩手県立水沢農高で、東北の底力も見せた。

 「和牛甲子園」を契機に、競い合い、支え合いながら、若い牛飼いパワーを畜産の底上げに発揮してもらいたい。

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