[あんぐる] 白銀に 白球追う センバツ出場・北海道の帯広農高

早朝、白い息を吐きながら学校の敷地内をランニングする野球部員。冬場は氷点下20度を下回る日もある(北海道帯広市で)

 3月19日に始まる第92回選抜高校野球大会に出場する北海道帯広市の帯広農業高校。試合に向けて野球部員の練習にも熱がこもる。同校は、今大会唯一の農業高校で、部員の多くが農家出身だ。後継者の卵は、農業の学習と野球を両立させながら、甲子園での勝利を目指す。
 
 2月中旬、雪が積もった白銀のグラウンドで部員が円陣を組み、2年生でエースの井村塁主将が気合を入れた。

 「開花!」

 ユニホームの左肩に手をかざし、両手を握って大きく振り下ろす。農高らしい独特の掛け声だ。主将の合図で部員は一斉にグラウンドに散り、日没まで練習に汗を流した。

 今年で創立100周年を迎える同校は、農業科学科や酪農科学科など五つの学科を持ち、大農業地帯を支える農業者を育ててきた。野球部員37人の半数以上が農家出身。将来の担い手を目指しながら練習に励む。チームを率いる前田康晴監督は「100%挑戦者の気持ち。全国の農高生や農家に元気を与えられる試合をしたい」と意欲を見せる。
 
雪室を作るため雪をコンテナに集める野球部員ら。実習もトレーニングの一環だ

 農業実習もトレーニングだ。農業科学科では毎冬、野菜を保管する雪室を実習室に作る。スコップでコンテナに約10キロの雪を詰め、実習室と校庭を数十回、往復する。同学科2年でサードの梶祐輔さん(17)は「足場が不安定な雪中の作業は体幹が鍛えられ、筋力トレーニングにもなる」と汗を拭った。練習の合間には、生徒が育てた農作物で栄養を付ける。この日のメニューは、カボチャ入り特製シチュー。部員数の2・7倍に当たる100皿分を全員で平らげた。

 地元農家も甲子園での活躍を期待する。野球部OBで、同市の畑作農家、白木康博さん(23)は「甲子園出場は私たちの代がかなわなかった夢。帯農らしい野球をしてほしい」とエールを送る。

 初戦の対戦相手は13日の組み合わせ抽選会で決まる。井村主将は「甲子園は憧れの舞台。どこと当たっても練習通りの平常心で試合に臨みたい」と闘志を燃やす。(富永健太郎)

「あんぐる」の写真(全5枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます 

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