新型コロナ対策 二つの行動定着させよ

 目に見えない新型コロナウイルスとの闘いの中から、二つの行動が日本に定着する兆しが見える。テレワークと倫理的消費(エシカル消費)だ。日頃の働き方や消費行動の在り方を見直し、もっと広げたい。

 阪神・淡路大震災が起こった1995年は日本の「ボランティア元年」とされる。今では当たり前の災害ボランティアは、この大惨事がきっかけだ。同じように新型コロナを機に、二つの行動様式が確立されたと後世語られるかもしれない。

 一つはテレワークだ。「離れた所」を意味する「テレ」に働く「ワーク」を掛け合わせ、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方をいう。緊急事態宣言を出した安倍晋三首相は7日の会見で、人との接触を7、8割減らす必要があるとの専門家の見解を示し、テレワークの活用を訴えた。

 元々は妊娠、育児、介護、けがなどで一時的に通勤が困難な人のための仕組みだ。新型コロナ対策として政府や都道府県が推奨するのは、電車や職場などでの人の密度や接触を減らし感染リスクを下げる効果を狙ってだ。企業が積極的なのは、交代出勤制にすることで、もし感染者が職場から出ても事業が続けられるようにするためだ。団子状態の職場で感染者が出たら多くの従業員を濃厚接触者として隔離しなければならなくなる。

 つまり、テレワークは社会全体の感染リスクを下げる、従業員の命を守るという事業者の社会的責務や使用者責任を果たすと同時に、事業継続の観点からも重要なのである。JAの職場も例外ではない。今回のような感染性疾病による危機に備えた対応が求められている。情報通信技術(ICT)の発達で在宅勤務はやりやすくなった。業務の性格上難しい職場もあるが、JAも前向きに進めるべきだ。

 もう一つ注目したいのはエシカル消費である。地球、地域、人に配慮した商品を購入し消費することだ。日本での普及は欧米に比べ遅れている。だが今、「買って応援」的な購買行動として社会的な盛り上がりを見せる。外出・イベントの自粛要請や一斉休校のあおりで販売先を失った業者や需要が落ち込んだ業界の事業継続を精神的にも支える力になるだろう。

 スーパーでのキャンペーンやJAを含む各種団体の消費拡大運動は既に行われている。ウイルスとの長丁場の戦いが想定されるだけに、一過性ではなく息の長い取り組みにしたい。中でも牛肉は価格の大幅下落だけでなく、在庫の積み上がりで牛の出荷にも打撃が懸念される。在庫を動かすには消費促進しかなく、店頭での販売応援、ふるさと納税の活用、業界団体による自主的な購入運動を盛り上げていく必要がある。

 自民党が検討した牛肉の商品券にネット上で反発が広がったのは、こうした努力が伝わっていなかったことも理由の一つではないか。産地側からやれることをやり「見える化」したい。
 

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