河合雪之丞さん(俳優) 食べ方見直して体づくり

河合雪之丞さん

 好きな物を好きなだけ食べて飲んで……という生活をずっと続けてきました。

 若い頃は全然太らなかったですからね。先輩の役者さんから「お前、腹の中に虫がいるぞ。虫下しを飲め」と言われたほどです。でも歳を取っても続けたら、体にひずみが出るのも当然ですよね。

 体重が増えました。女形の役者として、これは良くないわけです。歌舞伎ですと全員が男の人ですし、衣装も大きいので、少々横幅があっても大丈夫です。でも新派の舞台では隣に女優さんが並んだりしますし、衣装も現代のもので体の線が出てしまいます。

 体の中も良くありませんでした。2年半前に健康番組に出演した時、中性脂肪が通常の5倍と言われました。いつ脳梗塞になってもおかしくなかったそうです。

 それであわてふためき、食生活を変えました。
 

我慢ではなく…


 空腹を我慢するのは嫌なので、食べる量は減らしません。食べるものの種類と食べ方を変えたんです。最初に野菜をたくさん取り、それからタンパク質を。これで十分に満腹感を得て、最後に炭水化物を少量いただくようにしました。これを2カ月ほど続けたことで、体重が13キロも減りました。

 一人暮らしの私は料理がおっくうなので、常に外食です。

 お店でメニューを見ると、まず野菜は何があるかをチェックします。温野菜よりもサラダの方が、得られる満腹感は大きいんですね。生の野菜の方が水分を含んでいる分だけ、おなかが膨らみます。それでたっぷりのサラダを。

 カロリーのことだけ考えるとノンオイルのドレッシングを選ぶべきでしょうけど、ストレスをためたくありません。その時に食べたいドレッシングでおいしくいただきます。サラダに飽きたら、温野菜。メニューに「キャベツの酒盗炒め」なんて見つけて食べたいと思ったら、注文します。
 

苦手だった野菜


 実は私は、昔は野菜が苦手でした。食べられないものが多かったんです。というのも、母が野菜を苦手としていたからです。食べられる野菜は5種類しかなく、それしか食卓にのらなかったんです。私が若い頃に食べられなかった野菜は、子ども時代に食卓にのらなかったものだったんですね。

 でも母は料理が上手。おいしい料理を作ってくれました。外で働いていて、仕事を終えて帰ってくると、真っ先に兄と私の夕食を素早く作ってくれました。それを終えてから、着替えて、お化粧を落としていました。

 母は好き嫌いが激しく、肉も一切食べられませんでした。でも肉料理は食卓にのりました。さすがに息子2人に肉を出さないわけにはいかなかったんですね。

 ただしとんかつを揚げるのだけは嫌だったみたいで、私が肉屋に買いに行かされました。母はてんぷらが大好きで、よく作っていました。油は1回揚げた後でも取っておいて次に使いますよね。たぶん、とんかつを揚げて肉の匂いがついた油でてんぷらを揚げたくなかったんじゃないでしょうか。

 そんな母も、なぜか50歳を過ぎた頃からいろんな野菜を食べられるようになりました。私も、大人になってからいろいろ食べられるようになったわけです。

 食生活を変えてから、体の中の方も良くなりました。それまでは健康診断で基準値よりも数値が高い「H」の印がいくつも並んでいたんですが、今では全て基準内。野菜のおかげだと感謝しています。(聞き手・写真=菊地武顕)

 かわい・ゆきのじょう 1970年、東京都生まれ。88年、国立劇場第9期歌舞伎俳優研修を修了、三代目市川猿之助(現二代目市川猿翁)に入門し、春猿を名乗る。2000年、名題昇進。17年、劇団新派に移籍し、河合雪之丞と改名した。5月3~31日、大阪松竹座「藤山寛美歿後(ぼつご)30年喜劇特別公演」に出演予定。
 

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