[新型コロナ] 真夏じゃなくても、水分補給しても 熱中症甘く見ないで コロナ対策でマスク…一層警戒

冷房が効くトラクターに乗るようにした坪井清八さん(左)と、水筒を渡す佳子さん(埼玉県加須市で)

 5月でも気温が上昇し、熱中症の危険が高まっている。今年は新型コロナウイルス感染防止のため、マスク着用で農作業をせざるを得ない場面もあり、特に注意が必要だ。気象庁が14日発表した1カ月予報では、北海道や東北を除き広い範囲で気温が高くなる見通しだ。真夏ではない時期に熱中症になった農家らは「体調が急に悪くなる」「水分を飲んでいてもかかる」と、苦い経験の“教訓”を伝えている。
 

外出10分でも水筒農作業時間を工夫


 昼前の気温が27度と「夏日」になった5月中旬の埼玉県加須市。たびたび最高気温を記録することで知られる熊谷市に近く、加須市も真夏は40度近くに達することがある。米1・1ヘクタールや野菜を作る農家の坪井清八さん(72)と妻の佳子さん(67)は、5月から水筒を持ち歩き、早めに農作業を切り上げるなど、熱中症予防に神経をとがらせる。

 真夏は農作業も少なく、炎天下には外に出ない。しかし、この時期は土づくりや苗植えなど農作業が多い上に、5月だからと油断しがちだ。2人は「夏以外でも熱中症になる」と言い切る。

 4月26日、清八さんは冷房がない古いトラクターで畑を耕すなど、午前中から農作業に励んでいた。昼食を食べ、休まずに農作業に向かった育苗ハウスの中で急に気持ち悪くなり、嘔吐(おうと)して座り込んだ。自宅で横になり体調を取り戻したが、清八さんは「季節外れに暑いと、体が慣れていない。農作業が終わっていないと無理をしてしまうのが農家のさがだが、熱中症を甘く見ていた」と後悔する。

 実は清八さんは2013年10月12日も、自治会で数人と草刈りを終えた直後に、熱中症になったことがある。すぐにかかりつけの病院で点滴をしたという苦い経験から、夏以外にも熱中症になることを教訓にしていた。

 清八さんは「天気予報で明日は暑いなと思うと気を付けるようにしていたが、7年も前なので忘れがちだった」と言う。

 佳子さん自身も3年前熱中症で苦しんだ。2人は「少しずつではなく、急激に体調が悪くなる」と説明する。

 現在清八さんは早朝と夕方、田んぼの水管理に出向くわずか10分でも水筒を持つ。今後は、炎天下では冷房のあるトラクターで農作業をするか、日中は農作業しないことを心掛けるという。

 今年はさらに、新型コロナウイルスの影響で、外出時などはマスクをしなければならない。1人で農作業している時はマスクを外すが、除草剤や人が集まる時などは必須だ。「マスクを着けて農作業はきつい。短時間にする、時間帯を変えるなどで工夫するしかないね」と佳子さんは話す。

 加須市を管内とする熊谷地方気象台の統計では、1897年から2014年の117年の間に5月の平均気温が20度を超すことは1982年のわずか1回。それが、15年から19年は5年のうち4年で、20度を超えた。熊谷市では、5月は14日間のうち8日も夏日を記録。「ここ、最近は5月でも暑い。しかも、年を重ねると暑さを感じにくい。コロナの今年は要注意だ」と清八さん。熱中症は命を落とす危険がある──。2人はそう肝に命じている。

 福岡県内でアスパラガスを作る農家は、昨年3月、ハウス内で収穫作業中に熱中症になり、救急車で病院に運ばれた。近隣の農家が発見して一命を取り留め、現在は復活して農作業に励むものの、JA担当者は「水分は小まめに取っていたベテラン農家でも、真夏でなくても、熱中症になる」と振り返る。今年はマスクをしなければいけない場面も増え「熱中症対策と新型コロナ対策の両立しなければならず、農家への注意喚起が難しい」と頭を悩ませる。
 

5月に死者も全国で注意 近畿以西で気温高め 気象庁1カ月予報


 総務省消防庁は、2015年から5月の熱中症による救急搬送者数を調べ始めた。昨年5月は4448人にも上った。5月でも亡くなっている人がいるのが実態だ。17年から19年までの5~9月の熱中症による救急搬送者のうち、毎年4割近くが自宅で発症し、田畑などの農林漁業の作業中も3%近くと一定数いる。

 気象庁の14日発表の予報によると、6月15日までの1カ月間、近畿、中国四国、九州地方で気温は高くなる。北陸や東海地方もやや高くなる恐れがある一方、北海道や東北は低温傾向となる見通し。同庁は「期間を通じれば気温が低い地域でも急激に高くなる日もあり、熱中症には全国的に注意してほしい」と呼び掛ける。
 

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