デモ行進を行う若者らを、ライフルを抱えて威嚇する白人の住民たち

 デモ行進を行う若者らを、ライフルを抱えて威嚇する白人の住民たち。テレビで見た米国の小さな町の光景である▼白人の警官に首を押さえ付けられ黒人男性が死亡、それを契機に人種差別に抗議するデモが全米に広がった。冒頭のデモもそう。この国の人種差別の根深さと分断社会の深刻さを映す▼歴史学者の上杉忍さんは『アメリカ黒人の歴史 奴隷貿易からオバマ大統領まで』(中公新書)で、有毒ガスを検知する「炭鉱のカナリア」に黒人を例えた。「黒人は、アメリカ社会・経済の矛盾を最も敏感に感じ取り警告を発する存在だ」と。公民権法が1964年に成立、法的には差別が撤廃され、憲法が保障する権利が黒人らにも認められた。その9年前のある事件を、この本は紹介している▼バスの中で15歳の黒人少女が白人に席を譲らなかったため逮捕された。「私がここに座るのは憲法に保障された権利です」と少女は主張した。きょうは米国の独立記念日。独立宣言は、全ての人は平等であり、生命、自由、幸福追求の権利を持つとうたう。以来244年。権利に血を通わせる闘いが、人種と世代を超えて続く▼コロナ禍は、日本のどういった矛盾をあぶり出しただろう。歌わなくなったカナリアがどこかにいないか。目を凝らし、耳を澄ましたい。

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